鉄道総合技術研究所は3日、国際電気標準会議(IEC)にて、日本が主導して取り組んできた「車両補助回路用バッテリー : リチウムイオン電池」に関する国際規格(IEC62973-5)が発行されたと発表した。
鉄道車両には、主電動機(モーター)などに電力を供給するための主回路と、主回路を制御する機器や照明・ドアなどを動作させるための補助回路がある。主回路については、ハイブリッド車両などで小型・大容量のリチウムイオン電池が用いられており、2017年に日本が主導し、日本の技術を反映した国際規格「車上リチウムイオン電池(IEC62928)」が発行されている。
補助回路については、これまで用いられたニッケル・カドミウム電池および鉛蓄電池からリチウムイオン電池への転換が期待されていたが、こちらには国際規格がなかったため、日本の技術を反映した国際規格の発行が待たれていたという。
国際規格「鉄道分野 -補助回路用バッテリー- 第5部 : リチウムイオン電池」(IEC62973-5)では、リチウムイオン電池特有の規定を定めている。リチウムイオン電池特有の用語として、「リチウムイオン電池セル」「リチウムイオン電池の定格容量」などを規定。リチウムイオン電池の過充電、過放電の防止、温度管理といったバッテリマネジメントシステムを規定したほか、リチウムイオン電池の輸送・保管時に必要な充電条件に関する要求事項も規定。試験方法に関して、一般的な電気的性能試験に加え、リチウムイオン電池が特有な電解液(可燃性)を使用しているため、衝撃・振動に対する性能等を確認する試験を規定した。
今回の国際規格制定により、日本が開発した小型・大容量のリチウムイオン電池について、補助回路用バッテリーとしてより一層の採用につながる環境づくりに貢献すると考えているという。