JR西日本は3日、芸備線の備中神代~備後庄原間(68.5km)について、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」にもとづき、再構築協議会の設置を国土交通大臣に要請したと発表した。

  • 新見発備後落合行の普通列車

芸備線の備中神代駅(岡山県新見市)から備後庄原駅(広島県庄原市)まで、現在は優等列車や貨物列車の設定がなく、普通列車のみ運行される。人口減少や少子高齢化に加え、道路整備や道路を中心としたまちづくりの進展等で芸備線を取り巻く環境は変化しており、利用が大きく減少。備中神代~備後庄原間において、2019年度の区間別平均通過人員(輸送密度)は48人/日という状況になっている。

同区間における2019年度の駅別乗車人員は、備後庄原駅の127人/日に対し、備後西城駅36人/日、備後落合駅14人/日、東城駅11人/日など、主要な駅でも利用が少なく、さらには1人/日(高駅、小奴可駅)、0人/日(道後山駅、備後八幡駅)の駅も。東城~備後落合間は上下各3本のみの運行で、2019年度の区間別平均通過人員(輸送密度)は11人/日と、非常に厳しい状況にある。

  • 三次発備後落合行の普通列車

JR西日本は備中神代~備後庄原間について、「将来の地域のまちづくり計画と移動ニーズに適した持続可能な交通体系の実現に向けて、地域の皆様と議論をすることが必要」との認識を示している。2021年6月、岡山県新見市・広島県庄原市の沿線地域を対象に、「芸備線沿線の地域公共交通計画に関する申入れ」を行い、2021年8月から利用促進等に関する検討会議を開始。2022年5月に行われた会議(第4回)で、JR西日本は「特定の前提を置かず、地域公共交通の姿を速やかに議論開始したい旨を表明」したが、2022年11月に行われた会議(第5回)で、「当社申し出の交通体系に関する議論は利用促進等に関する検討会議では扱わない旨が決定」したという。これを受けて、JR西日本は「国へ検討会設置と検討開始の相談」を行ったとしている。