一年を通して需要が高いイチゴ。旬ではない夏秋に栽培できれば大きなビジネスチャンスに!
「日本を代表するフルーツは?」と聞かれたとき、多くの方はイチゴをイメージするのではないでしょうか。ケーキの王道の存在としてはもちろん、今では旬の季節になると様々なブランド名を冠したイチゴがメディアで紹介され、その美味しさから海外でも人気を博しています。そんなイチゴは年中スーパーや通販などで手に入れることができますが、やはり旬の時期以外は品薄になり、高値が付けられます。
実は夏秋のイチゴの約9割がアメリカからの輸入に頼っていることをご存知でしょうか。
イチゴは冷涼な気候でしか育たないため、夏秋に栽培できるのは北海道や東北地方、長野県など日本の一部に限られるのです。
また温度変化に弱いため、海外から輸入される場合は冷凍がほとんど。輸送費に加えて鮮度保持のための燃料コストなども加わるため、旬のイチゴと比べて味わいが劣るわりに高額になってしまうのです。それでも日本では人気があり、一年を通してイチゴ需要が高いのが実情。
ならば、もし夏秋に日本のどこでも、例えば人口も菓子店も多い首都圏で、イチゴが栽培できて安定出荷することができれば、とても大きなビジネスチャンスとなるはず。それを可能にしたのが、日栄インテック株式会社が開発した『スーパーアグリハウス』なのです。
『スーパーアグリハウス』は、ハウス内の温度を調節してイチゴ栽培に適した温度を維持できることはもちろん、様々な特長を備えることで、一年を通して安定してイチゴを生産することができます。他にはないその特長について、日栄インテックの関さんと水元さんに紹介してもらいました。
日栄インテックの技術とノウハウが詰まった新製品『スーパーアグリハウス』とは?
日栄インテック株式会社は、設備用配管支持金具や立体駐車場をメイン事業とし、太陽光発電・LED照明・植物工場や鮮度保持システムなどの開発も手がけています。では、なぜ「夏にイチゴを作れるハウス」を開発したのでしょうか。
「実は当社は、新しい事業の柱を作ろうと10年以上前から農業分野への参入にチャレンジしています。手がけているのは2つあり、ひとつは生物農薬分野。送粉昆虫や天敵製剤などですね。これらは研究開発と販売を株式会社アグリ総研・株式会社アグリセクトというグループ会社で活動しています。もうひとつの分野が、LED照明などのノウハウを活かした人工光型植物工場です。『スーパーアグリハウス』はこれらの分野が開発した製品で、本体である日栄インテックが製造販売を手がけています」と話すのは関さん。
「世の中にある植物工場の約7割が太陽光型です。人工光型植物工場に加え、太陽光型植物工場を製品ラインナップし、充実させようと、2年前に開発をスタートしたのが『スーパーアグリハウス』です。」
太陽光型植物工場で育てる作物をいろいろ検討している中で、候補に挙がったのがイチゴだったと言います。
「日栄インテックは太陽光型植物工場では後発のため、大きな差別化がないと他社と戦えません。そこで1年を通して高い需要があるのに、夏秋は日本の一部でしか作れないイチゴに目をつけました。収量当たりの単価が圧倒的に高いのも魅力的でした。」
ではスーパーアグリハウスにはどんな特長があるのでしょうか。
「イチゴは冷涼な気候でなければ栽培ができません。ですが、当社が目指したのは年々暑さが厳しくなっている関東での夏の栽培。そのために技術とノウハウ、それに様々なアイデアを複合的に組み合わせて『スーパーアグリハウス』は作られています」。
大きくは「自然の力を活用した省エネ型の環境制御」が、スーパーアグリハウスの特長だということ。日中は水平カーテンでハウス内の体積を狭くして冷房効率を上げつつ、温まった空気を気流を活かしてハウス外へ排出し、温度を下げています。これにより真夏の昼間で30℃、夜間で15℃までハウス内の温度を下げ、北海道のような冷涼地の気候を再現することができます。
また、目を引く高設ベンチでの栽培にも秘訣があり、イチゴの根の部分に冷たい風を送ることで、イチゴ自体の温度を冷やすことができるといいます。屋根には太陽光発電パネルが設置され、電気を作りつつ、太陽光でハウスが温まりすぎないよう日除けの効果も狙っているといいます。
「ハウス内の管理がスマホやPCのアプリを使って遠隔監視・遠隔操作できるのも大きな特長です」と関さん。アプリでリアルタイムにスーパーアグリハウスの室温や養液の量などを確認できるため、スマホがあれば手元で管理ができます。またこのアプリからヒートポンプやカーテン、側窓、天窓などの操作も可能です。
「常に作物につきっきりで世話をするというイメージはスーパーアグリハウスにはありません。極端な話ですが、海外旅行に出かけていてもハウスの管理・操作は可能なのです」
「高設ベンチなので、腰を曲げることなくイチゴの生育をチェックでき、体の負担が軽いのも特長です。イチゴは病害虫も心配ですが、夜間に使用するUV-Bライトがうどんこ病やハダニから守ってくれます。そのほか、アグリセクトの天敵製剤もご利用いただけますよ」と話すのは水元さん。
またハウスには併設の建物がありますが、こちらではパッキングのスペースが設けてあるほか、LEDを利用した人工光型の小さな植物工場があり、種からイチゴの苗を育てることができます。また、鮮度保持機能のある冷蔵庫もあり、通常は冷蔵庫で1週間ほどしか保たないイチゴの鮮度を4週間程度まで保つことができ、出荷調整も可能になると言います。
「天敵製剤や送粉昆虫の利用で農薬などは一般的なハウス栽培より少なくて済みます。それもあり、イチゴの原価は多品種より抑えることができ、競争力もあります。スーパーアグリハウスなら初めての方でも安心して農業を始める事ができ、売れるイチゴがしっかりと作れますよ」
現在、日栄インテックの敷地内のスーパーアグリハウスで栽培されたイチゴは、近隣のスーパーなどでグループ会社の『CLEAN FARM』で販売をしているとのこと。粒が大きく甘いと評判も好調で「スーパーから増産を依頼されたり、パティシエさんから提携の話をいただけたりと嬉しい声も多くいただいています。私も社内向けの販売で買って食べますが、とっても美味しいですよ。これが1年中、手軽に食べられるのは、イチゴ好きの私としては嬉しいですね」と笑顔で話してくれました。
未来に持続可能な農業。『スーパーアグリハウス』はその実現のカギとなる
日栄インテックの技術とノウハウで生みだされたスーパーアグリハウスは、ターゲットを「これから農業を始めたい個人や法人、なかでも20~30代の起業家や就農を目指す方」としています。
「スーパーアグリハウスで推奨しているのは『よつぼし』というイチゴ。種からでも育てやすく、四季を通じて実を付けるのが特長です。スーパーアグリハウスなら、天候などに左右されることなく、計画的に栽培・出荷ができ、手間も通常より少ない。それも未経験の方にオススメできる理由です」と水元さん。
では気になるコストや予想されている収益はどれほどなのでしょうか。その費用対効果をまとめた表がこちらになります。
「10aでランニングコストにはイチゴの種はじめ生育に必要な肥料などコストと、水道光熱費などが含まれています。それとスーパーアグリハウスの償却費と合わせて年間1,000万円がかかる想定です。それを支払った上で、年間600万円が利益として手元に残る計算となっています」と関さん。
実際に日栄インテックで試験的運用しているスーパーアグリハウスで検証した結果も、ほぼこの収支シミュレーション通りとなっているとのこと。スーパーアグリハウスの設置費用に補助金・助成金を活用することで、より利益は多くなり、また日栄インテックによる栽培指導を受けることもできるので、失敗のリスクはかなり低いということです。
「夏秋のイチゴはとても貴重です。だからこそ、需要は高く、定量を確保したい方は多くいます。先ほどお話ししたパティシエさんや、コンビニ・スーパーの製菓部門などもそうです。スーパーアグリハウスなら1年を通して栽培できるので、そういったところとパイプができれば収益がしっかり確保できます」と水元さん。
日栄インテックが農業分野に参入した理由のひとつに「農家さんを元気にしたい」という思いがあったといいます。そのための近道は「収益が確保できる作物を手がけること」。一年を通して、なにより夏秋にイチゴが安定して栽培できるスーパーアグリハウスはそれを実現できる製品です。
「作るものが安心安全、新鮮で美味しいこと。そして、自然を活用した省エネ設備で、環境にも配慮していること。さらに省力化も実現しています。スーパーアグリハウスは、今後求められている農業のモデルケースになると自負しています」と関さん。
日栄インテックでは、今後も栽培できるブランド数を増やすこと、またブランド化を進めることなどに注力していくといいます。イチゴから日本の農業を元気にしていくスーパーアグリハウス。ぜひ今後に注目してください!
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