普段見ることのできない解体工事現場の奥に潜入し、驚きの職人技に密着するNHK総合の番組『解体キングダム』。10月11日の放送では、JR九州の小倉総合車両センターに潜入し、同社で一時代を築いた特急形電車783系「ハイパーサルーン」の解体を見届ける。
10月14日の「鉄道の日」にちなみ、『解体キングダム』流の「鉄道の日スペシャル」を放送。1988(昭和63)年から投入が始まり、「ハイパーサルーン」の愛称で親しまれたJR九州の特急形電車783系が今回の解体ターゲットとなる。JR九州の「心臓部」といえる小倉総合車両センターに魔裟斗さんが潜入する。
国鉄時代の特急形電車はほぼ横並びで似たような車両が多かった。国鉄が分割民営化した後、JR九州初の特急車両として投入され、同社にとって「肝いりの電車」が783系「ハイパーサルーン」だった。九州新幹線の開業まで「九州の大動脈」だった鹿児島本線博多~西鹿児島(現・鹿児島中央)間などで活躍し、新時代の象徴となっていく。
当時最先端の装備を詰め込み、錆に強く耐久性に優れたステンレスを車体に採用。先頭部は近未来的な流線形で、フロントガラスや客室窓も大型化され、大パノラマの展望を誇った。自慢の設備はビジネスマンから観光客まで好評を博し、JR九州の「立て直し」にもひと役買った。いま現在もJR九州が挑戦を続ける豪華観光列車開発のルーツともいえる成功例だった。
デビューから35年が経過し、現在も一部の特急列車で活躍中だが、役目を終えた783系は順次廃車に。今回、解体を任された職人たちは、JR九州が誇るスペシャリスト軍団。蒸気機関車や新幹線の解体だけでなく、現在活躍する観光列車の施工までも手がけるという。
まずは内装を手がけ、リサイクルのために窓、椅子、照明、荷物棚まで細かく仕分けて解体。一方、JR九州の特急史上初めて採用されたというステンレス製の薄くてかたい車体は、今回の解体において難関となった。通常の解体に用いられる重機アタッチメントでは歯が立たず、特殊なカッターを用意して挑んだとのこと。
特別編として、JR九州の1,400両もの車両を受け入れ、全解体しての大規模修繕を行うという小倉総合車両センターの優れた鉄道メンテナンス技術も紹介。車両の大規模メンテナンスを特別に見せてもらい、鉄道の車体と台車を分ける作業をはじめ、車輪の調整、車体の修復、エンジンの解体に至るまで、鉄道の安全を下支えする優れた技術を目撃する。
『解体キングダム』の「密着! 鉄道車両工場 特急を解体せよ」は、NHK総合にて10月11日の19時57分から20時42分まで放送予定となっている。