新規就農者でも大規模農家を目指せる

神明ホールディングス(兵庫県神戸市)傘下でコメ卸最大手の神明と、埼玉県を中心に農作物の生産などを手掛ける農業生産法人のりすは9月1日付で、神明アグリイノベーション(埼玉県加須市)を設立した。神明の藤尾益雄(ふじお・みつお)社長は21日の記者会見で生産者不足や農地面積減少などの課題に触れ、「もっと若い人たちに農業に取り組んでもらいたい。新規就農者であっても大規模農家を目指せるようにし、儲かる農業を支援していきたい」と新会社設立の背景を説明。のりすの互泰行(たがい・やすゆき)社長は「本当に経営が成り立つ農業者を育てようという思い」と話した。

神明アグリイノベーションは10月下旬以降、独立就農意欲のある35歳以上の募集を開始し、5名を従業員として迎える予定。給料を支払いながら、栽培技術や農業機械の操作方法、農作物のブランド化など大規模経営に必要なノウハウを伝える。加須市周辺の耕作放棄地などでコメ、小麦、大豆、そば、トウモロコシの5品目による複合経営に従事してもらい、2~4年後には「のれん分け」の形で独立就農を支援する。以降も毎年3〜5人ほどの若手就農希望者を募集していくという。

神明アグリイノベーションの取締役会長に就任する神明米穀事業本部農産部の市川治郎(いちかわ・じろう)シニアアドバイザーは「複合経営モデルで栽培技術を習得してもらい、大規模経営に必要なマネジメントについても学んでほしい」と述べた。