ディリゲントは、独BitwigのDAWソフト「Bitwig Studio」の最新版となるバージョン5.0.9をリリースした。このバージョンでは、米PreSonusとの提携で開発した、DAW間でデータの交換ができるオープン・ファイル・フォーマット「DAWproject」をサポートしている。
「Bitwig Studio」の最新版となるバージョン5.0.9では、米PreSonusとの提携で開発した、DAW間でデータの交換ができるオープン・ファイル・フォーマット「DAWproject」をサポート。「Bitwig Essentials」と「Bitwig Producer」でも対応している。新規ユーザーおよび有効な12カ月アップグレード・ライセンスを所有していれば、最新アップデートver5.0.9を導入することで、DAWprojectフォーマットファイルの書き出し、読み込みができるようになる。なお、PreSonusのDAW「Studio One」のユーザーは、ver6.5以上で利用が可能。
ミュージシャン/プロデューサーは、一つのDAWだけではなく、複数のDAWを使用していることが多いが、DAW間でプロジェクトを行き来するのは時間がかかったり、複雑な設定を要していた。そこでBitwigとPreSonusは、あるDAWでプロジェクトを保存し、別のDAWでプロジェクトを開けるオープン・ファイル・フォーマット「DAWproject」を開発した。これまで、音楽制作におけるデータは、MIDIシーケンスを交換できる「スタンダードMIDIファイル」が存在していたが、オーディオデータを扱うにはSTEMファイルを吐き出させ、それを別なDAWに読ませるという方法を採っていた。ビデオ・ポストプロダクションの現場で利用される「AAF」はオーディオのフェードやパン、ボリュームなどのオートメーションのデータを扱えたが、MIDIのデータはサポートしていなかった。今回発表された「DAWproject」は「スタンダードMIDIファイル」と「AAF」を合わせた上で、さらにDAW内蔵のプラグインや、クリップランチャーにも対応する画期的なフォーマットとなっている。クリップランチャーはループシーケンサーの元祖と言われている独MAGIXの「ACID」で導入され(登場時の開発は米Sonic Foundry)、独Abletonの「Live」で一躍脚光を浴び、最近ではAppleの「Logic Pro」やAvidの「Pro Tools」でも似たような機能が採用されている。
DAWprojectファイルには、時間、トラック、チャンネルに関連するすべての情報だけでなく、すべてのオーディオ、ノート、オートメーションデータ、さらにはプロジェクトで使用されているプラグインの状態も含まれているのでプロジェクトを共有または転送するためにSTEMをバウンスする必要がなくなる。DAWprojectファイルは現在、Bitwig Studio 5.0.9とPreSonus Studio One 6.5でサポートしている。
その他、バージョン5.0.9での機能改善点は以下の通り。
- 相互にモジュレーションするトラックモジュレーターをコピーすると、ペースト時にモジュレーションが重複することがある問題を修正
- トラックを複製する際、ソーストラックのすべてのMIDI CCオートメーションレーンが"ピッチベンド"と呼ばれていた問題を修正
対応OSは、macOS 10.14(Mojave)以上、Windows 7/8/10/11(64bitのみ)、Flatpakがインストールされた最新のディストリビューション、またはUbuntu 20.04以上で、いずれもSSE4.1に対応したCPUが必須となる。