ホンダは2024年春に発売予定の新型軽商用EV(電気自動車)「N-VAN e:」(エヌバン イー)をホームページで先行公開しました。軽商用車の「N-VAN」ははたらくクルマとして大活躍中だが、EV化で使い勝手は変わるのか。

  • ホンダの新型軽商用EV「N-VAN e:」

何が変わる?

ホンダは「2050年にカーボンニュートラルの実現」という目標を掲げており、日本国内の四輪車販売については、2030年に100%をハイブリッド車を含む電動車とすることを目指している。環境負荷低減の観点で企業の電動化に対するニーズが非常に高いことから、同社では軽商用EVを皮切りにEV展開を本格スタートさせる。

パッケージングについては、軽商用車「N-VAN」の特長である積載性や空間価値をEVでも変わらず実現。誰もが運転しやすいクルマとなっているそうだ。荷室のフロア下に搭載するバッテリーは薄型化。床はフラットで低く、天井は高くすることにより、広く大容量な荷室空間を実現している。

  • ホンダの新型軽商用EV「N-VAN e:」

    デザインは「N-VAN」を踏襲。仕事に使っても全く問題なさそうだ

  • ホンダの「N-VAN」

    積載性は「N-VAN」(画像)と変わらないとのこと

助手席からリアシートまでフラットにすることで、長尺の荷物を積むことも可能とする。助手席側はセンターピラーをなくして開口部を大きく取り、横からの大小さまざまな荷物の積み降ろしがしやすくなっている。

次にデザインを見ていこう。

エクステリアは従来のN-VANのデザインを踏襲しつつ、環境負荷ゼロ社会の実現に向けた取り組みとして、使用済み自動車のバンパーをリサイクルした「バンパーリサイクル材」をフロントグリルなどに使用している。

  • ホンダの新型軽商用EV「N-VAN e:」

    使用済み自動車のバンパーをリサイクルした「バンパーリサイクル材」をフロントグリルなどに使用

インテリアは使いやすいスクエアな空間に。ニーズに合わせてフレキシブルに使える収納を用意する。エアコン操作部やシフトポジションスイッチなどの機能はドライバー席側に集中配置。利便性の高い車内となっているようだ。

何km走れる?

電動化で走りはどうなるのか。

N-VAN e:はEVならではのスムーズな走りだしを実現。荷物の重さを感じさせないパワフルな走りと低重心化による走行安定性を獲得している。低振動・低騒音なEVは、ガソリン車に比べ走行時や停車中の音を低減できるため、早朝や深夜でも静かに移動・配送することができる。

ブレーキ操作に対してリニアに反応する「電動サーボブレーキ」を軽商用バンとして初採用しているところもポイント。減速時には安心感のあるブレーキフィールが得られるそうだ。ブレーキをスムーズにかけることができれば、車内の積載物を荷崩れさせる心配も減るはずだ。積載時および降坂時の走行性能に配慮し、ブレーキディスクローターのサイズをアップさせ、「D」レンジに比べ減速度が大きくなる「B」レンジも設定する。

パワーユニットは電動アクスルの小型化、大容量かつ薄型化したバッテリーの採用、高電圧部品の集中配置により、商用車に必要な荷室空間と実用航続距離を確保。航続距離はWLTCモードで210km以上を目標に開発している。エアコンの消費電力を抑え、実用航続距離を伸ばす「ECON」モードも設定する。

充電は6.0kW出力の普通充電器に対応。充電時間は約5時間だ。夜間に充電を行っておけば、翌日は朝からフル充電の状態で仕事に出かけられる。充電リッドは車両の前部にあるので、充電・給電時にも充電コードなどを気にせず、クルマに乗り降りしたりドアを開け閉めしたりすることができる。

  • ホンダの新型軽商用EV「N-VAN e:」

    充電口はフロントにあるから、充電ケーブルが荷物の積み下ろしの邪魔になることはなさそうだ

AC車外給電用コネクターの「Honda Power Supply Connector」(パワーサプライコネクター)を使えば、N-VAN e:のバッテリーで合計1,500Wまでの電化製品を使用することが可能。停電・災害時にも簡単に電気を取り出すことができる。さらに、可搬型外部給電器「Power Exporter e: 6000」(パワーエクスポーターイー)、「Power Exporter 9000」を使用することで、それぞれ最大6kVA、9kVAの高出力給電が可能となり、災害時などに出力の高い冷蔵庫や冷暖房器具など、複数の電化製品を同時に使用することがで可能となる。