蒸留ベンチャーのエシカル・スピリッツは、新たな蒸留所を茨城県つくば市に建設すると発表した。
エシカル・スピリッツとBar BenFiddichのオーナー・鹿山博康氏が共同で立ち上げた「WoodSpirits」は、国立研究開発法人森林研究・整備機構・整備機構「森林総合研究所」と共同研究契約、特許実施許諾契約を締結し、"木の酒"を民間事業者として製品化および販売するプロジェクト。
"木の酒"は、特殊なミキサーで木材を天然水とともに微粉砕、ピーナッツクリーム状(スラリー)にすることで、酵母が木材を分解、発酵できる状態にする「湿式ミリング処理」と呼ばれる技術を活用。木材を粉砕し、木そのものを発酵・蒸留させることで、新たなお酒として製造されている。原材料として、森の間伐の際に生まれる「間伐材」などの未利用資源を活用しているのも特徴。
新蒸留所は、「東京リバーサイド蒸溜所」(東京・蔵前)に次ぐ、2つ目の蒸留所となる。今回建設が決定した場所は、茨城県つくば市の小学校跡地(旧作岡小学校)。廃校舎の利活用として、これまでつくば市との協議を重ね、2023年8月31日付けで賃貸借契約を締結した。
新蒸留所については、廃校舎としてつくば市が利活用の課題を感じていた「旧作岡小学校跡地」を活用することで、エシカル・スピリッツの理念である "Starring the hidden gem(隠れた才能をステージへ)"という考えにも合致。体育館を中心に643平米で開発を予定しているという。
生産の内容、規模としては、世界初(※1)となる"木の酒"の生産販売に挑戦するプロジェクト「WoodSpirits」の木の酒の他に、これまで「東京リバーサイド蒸溜所」で蒸留してきたクラフトジンなどの増産蒸留も予定。2024年3月には新蒸留所しゅん工予定で、2024年冬から試験販売が開始される。
今後「WoodSpirits」は、生産に向けて新蒸留所の建設を遂行すると同時に、"木の酒" の味わいやし好性を高めるべく、レシピの研究開発を行うフェーズに入る。
また、10月8日(木の日)には「東京リバーサイド蒸溜所」にて、「WoodSpirits」初となる一般向け試飲会を開催することが決定。試飲会については、応募者の中から選ばれた10名が参加できる。なお、応募期間は9月30日までとなっている。
※1:森林総合研究所が開発した木材中の繊維を糖化・発酵する技術を活用し、民間事業者が商品化する「木の酒」として世界初