米Mozillaは、9月26日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 118」をリリースした。Firefox 118は、Firefox 116から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 116では、2023年9月12日にマイナーバージョンアップの117.0.1がリリースされている。117.0.1では、以下の修正が行われた。
- macOS版:Firefox以外から開かれたリンクが開けないバグの修正
- 長時間実行されるタスクのイベントページを使用する拡張機能が実行中に終了し、予期しない動作の変化を引き起こすバグの修正
- JavaScriptによるURL.protocolの変更をしないようにする意図的な動作変更を一時的に元の状態に。この変更は、他のWebブラウザーおよびWebサイトとともに、後のFirefoxリリースされる予定。必要に応じて、プロトコルを変更する別の方法を見つけることを推奨
- WebAssembly例外処理を使用するサイトでオーディオワークレットが機能しない問題の修正
- [最近閉じたタブ]メニューの[すべてのタブを再度開く]オプションを選択すると、すべてのタブを開けない場合がある問題の修正
- Firefoxを最小化すると、ブックマーク メニューが部分的に表示されたままになる問題の修正
- 一部のサイトで誤ったタイムゾーンが検出される問題の修正
セキュリティアップデートでは、
- ibwebpでのヒープバッファオーバーフローの脆弱性
が修正された。今回は、117.0.1からのアップデートとなる。
Firefox 118のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 118は、図2のようになる。
新規に、Firefox 118をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。
[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。
Firefox 118の新機能
続いて、新機能であるが、以下のとおりである。
- Webコンテンツの自動翻訳が利用可能に。クラウドベースの代替手段とは異なり、翻訳はFirefoxでローカルに行われるため、翻訳中のテキストがPCから漏洩することはない
- Webオーディオで、フィンガープリントによる匿名性を向上させるために、すべてのシステムでFDLIBM数学ライブラリを使用するように
- プライベートブラウズウィンドウにおいて、フォントフィンガープリントを軽減するために、Webサイトに対するフォント表示はシステムフォントと言語パックフォントに制限
- Google Meetでビデオエフェクトと背景ぼかしを利用できるように。(注:この機能はは、Firefox 115まで遡って対応された)
- Firefox Suggest(現時点では米国のみ)で、キーワードに対応するアドオン候補をアドレスバーに表示
自動翻訳であるが、最近では著名なポータルサイトなどの翻訳エンジンを利用することが多かった。当然のことながら、その内容は追跡対象となる。今回のローカルの翻訳機能では、そういった心配が解消されるだろう。しかし、現時点では日本語には対応しておらず、今後の対応が待たれるところだ。
実際にやってみよう。まずは、翻訳したいページを表示する。
ここで、バーガーボタンから[ページを翻訳]を選択する。
次いで、翻訳言語の選択となる。ここではドイツ語を選択した。
翻訳結果は、図8のようになる。
言語ファイルなどの設定は、バーガーボタンの設定メニューの[一般]→[翻訳]から行うことができる。
翻訳のスピードも、上述したポータルサイトなどと比較するとそれほど高速とはいえない。また、日本語がないため、翻訳精度も不明である。しかし、今後、この機能は必須となっていくと思われる。
その一方で、ルック&フィール関連のアップデートはほぼなかった。
セキュリティアップデート
同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベース で9件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が6件、4段階で上から3番目の「Moderate」が2件、4段階で上から4番目の「Low」が1件がとなっている。
「High」では、
- FilterNodeD2D1での範囲外の書き込み
- PathOpsでの範囲外の書き込み
- 特権プロセスからのメモリリーク
- Ion Compilerでのメモリ解放後使用
- Ion Hintsでのメモリ破損
- Firefox 118、Firefox ESR 115.2、Firefox ESR 115.3、Thunderbird 115.3で修正されたメモリ安全性の問題
などが対応された。すみやかなアップデートをすべきであろう。