女優の杉咲花が主演を務める映画『市子』(12月8日公開)の場面写真が27日、公開された。
同作は戸田彬弘監督が主宰する劇団チーズtheater旗揚げ公演作品でもあり、サンモールスタジオ選定賞2015では最優秀脚本賞を受賞した舞台の映画化作。川辺市子(杉咲)は、3年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、忽然と姿を消す。途方に暮れる長谷川の元に市子を探しているという刑事・後藤(宇野祥平)が現れ、これまで彼女と関わりがあった人々から証言を得ていく長谷川は、かつての市子が違う名前を名乗っていたことを知る。市子が置いていったカバンの底から発見した写真の裏に書かれた住所を訪ねると、彼女が生きてきた壮絶な過去と真実を知ることになる。
■杉咲花主演『市子』、「第36回東京国際映画祭」正式出品決定
今回公開された場面写真は、雑多な部屋の中で壁にもたれかかり、無表情で冷静にも虚ろにも見える過去の市子を捉えた1枚。物が散乱する部屋からは、痛ましいほどに荒んだ市子の生活環境が読み取ることができる。
また、同作は「第36回東京国際映画祭」Nippon Cinema Now部門へ正式出品されることが決定。同映画祭でジャパンプレミア上映が行われる。今回、同作が出品されるNippon Cinema Now部門は、この1年の日本映画を対象に、特に海外に紹介されるべき日本映画という観点から選考された作品を上映する部門。昨年は計13作品が上映され、『ケイコ 目を澄ませて』や『百花』など、国内はもとより国際的にも評価の高い作品が集まる。
同映画祭のプログラミング・ディレクターを務める市山尚三氏は『市子』について「海外の映画祭関係者と話すと『日本映画は身の回りの話で完結しているものが多く、社会が見えない』という声をよく聞く。『市子』はそうではない日本映画が確実に存在することを示している。杉咲花の抜群の演技は今年の様々な女優賞の最有力候補となることは間違いない」とコメントを寄せている。
(C)2023 映画「市子」製作委員会