第82期順位戦C級1組(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)は、5回戦の全5局が9月26日(火)に各地の対局場で行われました。このうち、東京・将棋会館で行われた先崎学九段-伊藤匠七段戦は97手で伊藤七段が勝利。2敗をキープして昇級に望みをつなぎました。
力戦形の相掛かり
先崎九段は3勝1敗、伊藤七段は2勝2敗で迎えた本局は上位を目指すうえでどちらも負けられない一局。後手となった先崎九段はいきなり9筋の歩を2回突いて力戦志向の態度を示しました。駆け引きのすえ戦型は相掛かり調の展開となりますが、先崎九段が玉を動かす代わりに雁木の枠組みを優先した点が目を引きます。
ともに飛車を大きく活用する空中戦が一段落すると局面は一転して間合いの計り合いへ。第二次駒組みへの移行も予想されるなか、実戦は後手の先崎九段が角道を開けたことで局面が動き出しました。伊藤七段が敵陣に角を打ち込んで香得を果たせば、先崎九段も先手陣に馬を作りつつ銀を取って駒損を解消します。
伊藤七段が大一番制す
激しいやり取りのすえ先手の伊藤七段は竜を作ることに成功。後手玉を直接狙うこの竜の働きが大きく、局面は先手有利に転じました。後手としては4筋にとどまる銀が邪魔駒となって飛車をさばく目途が立たないのが響きます。手番を得た先崎九段も強気の反撃で局面の好転を目指しますが、伊藤七段の受けは的確でした。
終局時刻は21時29分、最後は自玉の詰みを認めた先崎九段が投了。一局を通じて後手の歩越し飛車の悪形をとがめる伊藤七段の指し回しが光りました。これで勝った伊藤七段、敗れた先崎九段ともに3勝2敗に。伊藤七段―斎藤明日斗五段戦、先崎九段-門倉啓太五段戦を含む次回6回戦は10月17日(火)に予定されています。
水留 啓(将棋情報局)
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