第9期叡王戦(主催:株式会社不二家)は段位別予選が進行中。9月25日(月)には九段戦の高橋道雄九段-深浦康市九段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、137手の熱戦を制した深浦九段が次回戦進出を決めました。
矢倉対雁木の相居飛車戦
振り駒で先手となった深浦九段が飛車先の歩を突いて対局開始。対する後手の高橋九段は自陣の金銀を早めに動かす力戦調の駒組を進めます。角換わりなどの研究勝負を避けて高橋九段得意の矢倉戦に持ち込む狙いですが、先手に一歩交換を許すのはデメリット。局面は雁木対矢倉の持久戦に落ち着きました。
戦機が煮詰まると気になるのが、どちらが仕掛けるのかという点。菊水矢倉に組み替えた後手の高橋九段は6筋に飛車を回って一歩交換を目指しましたが、局後の検討ではここでさらに手待ちを続ける手も有力とされました。高橋九段は「待っているほうが実戦的だったか」と振り返ります。
深浦九段の押さえ込み完成
高橋九段が歩交換を果たしたところで先手の深浦九段は意表の反撃を用意していました。自らの玉頭の歩を突いたのがそれで、飛車筋がそれたために8筋にいる後手の角が弱い駒になっていたのを的確に突いています。この数手後、じっと同じ筋の歩を伸ばしてと金の種としたのが継続の好手で深浦九段がリードを奪いました。
盤面左方での激しい攻防のすえ深浦九段は角・成桂・と金の3枚を使ってついにこの一帯を支配することに成功します。終局時刻は12時24分(持ち時間各1時間)、最後は自玉の詰みを認めた高橋九段が投了。後手の大駒を押さえ込むという深浦九段の構想が光る一局となりました。
水留 啓(将棋情報局)
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