北野武監督の最新映画『首』(11月23日公開)の本予告と本ポスターが25日、公開された。

映画『首』

同作は、原作・監督・脚本・編集を北野武が務める最新作。天下統一を掲げる織田信長(加瀬亮)は激しい戦いを繰り広げていたが、その最中に家臣・荒木村重(遠藤憲一)が反乱を起こし姿を消す。信長は家臣を一堂に集め、自身の跡目相続を餌に村重の捜索を命じるが、明智光秀(西島秀俊)はなぜか村重を殺さず匿う。村重の行方が分からず苛立つ信長は、思いもよらない方向へ疑いの目を向け始めるが、それはすべて仕組まれた罠だった。波乱の展開が、 “本能寺の変”に向かって動き出すこととなる。

織田信長(加瀬亮)・羽柴秀吉(北野武)ら武将たちが集結

本予告は、野ざらしにされた屍が転がっている戦場、燃え上がる本能寺が映し出されて始まる。大義も情けも無い狂乱の戦国の世を生きる織田信長(加瀬亮)・羽柴秀吉(北野武)・徳川家康(小林薫)・明智光秀(西島秀俊)ら武将たち、そして忍・芸人・百姓と、それぞれの野望・欲望・裏切り・策略が入り乱れるさまが描かれている。

さらに、荒木村重(遠藤憲一)、難波茂助(中村獅童)、曽呂利新左衛門(木村祐一)、羽柴秀長(大森南朋)、黒田官兵衛(浅野忠信)、千利休(岸部一徳)といった日本映画界を代表する錚々たる俳優陣も登場。燃え上がる本能寺や、血肉飛び散る“山崎の戦い”が映し出され、スケール感と迫力のある映像となっている。

本予告と同時に本ポスターも完成。狂気を纏う天下人・織田信長、“本能寺の変”を策略する羽柴秀吉、織田信長に複雑な感情を抱く明智光秀をはじめ、徳川家康、秀吉を支える軍師・黒田官兵衛、秀吉の弟の羽柴秀長、秀吉に憧れる百姓・難波茂助、徳川家康、千利休ら狂乱の戦国の世を生きる曲者たちの眼光の鋭さから強い覚悟・野望・欲望が感じられるものになっている。

本作で明智光秀を演じた西島は本作の台本を読んで独特の世界観を感じたという。「生きるか死ぬかの毎日で、首だけになってしまえば、地位も名誉も何もないという無常観。死と隣り合わせの日々の中、滑稽なことと笑った直後に悲惨なことが起きたり……他の監督では感じることのできない、北野監督ならではの世界観があった」。また織田信長を演じた加瀬も「北野監督は色々な戦いを経てトップに立った方。その中で色々を感じたことをあらゆるキャラクターに散りばめていて、それぞれの武将たちには監督の人生とも重ねられると思った」というのが最初の印象だったと明かした。

西島は『Dolls』(2002年)以来の北野組への参加となり「急遽追加になったシーンで大掛かりなセットを組んだのに1カットで終わったことがあった。準備にいくらかけても『ここは撮り切った、もう大丈夫』という判断、切り替えは当初と変わらない。今回も直前で追加になった大掛かりなシーンがあって、すごい労をかけたのですが、ヒキのカットを撮ってすぐ終わってしまう。そういったところに監督の美学を感じたし、ずっと変わっていないと感じた」と撮影中のエピソードを交えて振り返った。

一方で『アウトレイジ』シリーズにも出演した加瀬は「今までは助監督を通じて演出を受けていたが、今回は北野監督が直接現場に来て、一言ふた言おっしゃってくれることが多く、丁寧な演出を多く受けた感じがした」と話す。また「すぐ本番に行くという恐怖がある」と北野組を振り返るのは大森。何もするなという空気を感じながらも、役者として何もしないわけにもいかず「一度、どこまで許されるのか、北野監督との気配でせめぎ合うというか……でもこれは本当に怖い。よっぽどのことがないと北野監督は『もう1回』っておっしゃらないんですよ。何回も同じことをやるのも大変ですが、1回しかできないという緊張感。これもすごく感じました」と、それぞれが北野監督と過ごした撮影時間を明かした。