ドラマや映画に加え、舞台にも精力的に出演している俳優・高杉真宙。上演中の舞台『ロミオとジュリエット』ではロミオ役を務めている。高杉にインタビューし、本作や舞台に対する思いを聞いた。
■ロミオ役「できる限りまっすぐ演じたい」
ウィリアム・シェイクスピアの代表作のひとつである『ロミオとジュリエット』は、モンタギュー家のロミオと敵対するキャピュレット家の令嬢・ジュリエットの5日間の恋の結末を描いた物語。今回、故・蜷川幸雄さんの演出助手・演出補を務めてきた井上尊晶氏が演出を手掛け、ロミオ役を高杉、ジュリエット役を藤野涼子が演じる。
高杉は、ロミオ役での出演が決定した際、緊張と喜びがあったという。
「『ロミオとジュリエット』は多くの人が知っている作品なので、緊張する部分がありましたが、いつかやってみたい作品の一つだったので、お話をいただけてうれしかったです。演劇といえば、という作品には関わっていきたいという気持ちがあり、それが舞台をやる上での目標にもなっていて、その中でも『ロミオとジュリエット』は出演したいと思っていました」
『ロミオとジュリエット』の魅力については、「詩的な表現」を挙げた。
「セリフを読んでいて楽しいです。あんな風に詩で会話できることがうらやましいなと。昔でいうと和歌を送り合うことで、それが海外だと詩的な表現になる。詩で思いを伝え合うことって素敵だなと思うので、セリフをしゃべっていてすごく楽しいです」
ロミオをどのように演じたいか尋ねると、「できる限りまっすぐ演じたい」と答えた。
「どんな風に演じるのか僕自身も楽しみにしているところですが、まっすぐ生きるというのを一番大事にしていけたら。ロミオの気持ちに従って、それを舞台上で表現していきたいと思います」
■稽古で何度も芝居を深めることができる
2009年に舞台『エブリ リトル シング'09』で俳優デビューを果たした高杉。それ以降、舞台にも積極的に出演を続けているが、「舞台は原点」だと語る。
「初めての仕事が舞台ですし、それだけではなく、いろいろな面で原点という感じがします。舞台をやることによって気持ちのリセットができますし、舞台をやっている間は、舞台のことだけを考えて生きていられるのですごく楽しいです」
そして、舞台の魅力について「何回も演じられること」を挙げた。
「僕は稽古がすごく有意義だと感じていて、一番好きなんです。同じことを何度もお芝居する機会って映像だとありませんが、舞台は稽古を通じて、どんな風にセリフを言おうか何度でも深めることができる。アドバイスもたくさんもらって芝居を深めていくことができ、役者にとって幸せな場所だなと思います」
さらに、「舞台をやるたびに、これまでやってきたことの無力さを毎回感じる」とも告白。「もちろん役者として成長していたいという思いはありますが、改めて0から考える頭を持つべきだなと思わせてくれるというか、技術ではなく、とことん考えることの重要性を毎回感じさせてくれる場所になっています」と説明した。
高杉にとってかけがえのない場所になっている舞台。「目の前のことに必死すぎて客観視できていないので、どういう風に生きているのかわからないですが、間違いなく成長につながっていると思います」と述べ、「舞台はこれからも続けていきたいです」と力を込めた。