「ならでは」と「ならでわ」は、どちらも見かける表記ですが、実は片方は間違い。本記事では、どちらが正しい表記なのかを解説した上で使い方・例文を紹介します。また、類語・言い換え表現、英語表現なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。
「ならでは」と「ならでわ」はどっちが正しい表記?
混同しやすい「ならでは」と「ならでわ」ですが、正しいのは「ならでは」です。「ならでわ」は「ならでは」の誤用で、辞書にも掲載されていません。
発音すると「ならでわ」になるため、書くときにも同じように書きたくなってしまいますが、間違った表記なので注意しましょう。特に、ビジネスなど正しい言葉遣いが求められるシーンでは気をつけてください。
「ならでは」の意味とは
「ならでは」は、そもそもどのような意味を持つ言葉なのでしょうか。ここでは、言葉の意味や成り立ちを紹介します。
「ならでは」の意味
「ならでは」は、「~でなくては」「~以外には」を意味し、「〜に特有の、〜が持つ特別な、〜だからこその」などの意味合いで使う言葉です。
主に名詞と組み合わせ、そのものの特徴が他ではあまり見られない固有のものであることや、唯一無二のものであることを表します。例えば「沖縄ならではの景色を楽しめる」のような使い方ができ、基本的にはポジティブな意味合いで使われます。
「ならでは」の成り立ち
「ならでは」は、「なら」「で」「は」の3つの言葉が組み合わさってできた連語です。
「なら」は、断定の助動詞「なり」の未然形を表します。「で」は、打ち消しの意味を持つ接続助詞、「は」は強意・区別の意味を持つ係助詞です。
上記3語を組み合わせてできたのが「ならでは」となります。成り立ちを覚えておくと、「ならでわ」と「ならでは」で迷うこともなくなるかもしれません。
「ならでは」の正しい使い方・例文
「ならでは」を日常会話やビジネスシーンで、どのように使うのかわからない方もいるでしょう。ここからは、「ならでは」の正しい使い方を例文とともに紹介していきます。
人や物を対象とする場合
・あなたならではの意見を聞かせてください。
・長年研究開発に取り組んできた企業ならではの特別な技術だ。
・支払いのスムーズさはキャッシュレス決済ならではの利点といえるだろう。
「ならでは」と特定の人や物を接続することで、その人(物)独自のという意味合いを強く印象付けられます。
場所を対象とする場合{#id7}
・華道や茶道は日本ならではの文化として海外でも人気が高い。
・旅行に出かけると、その土地ならではの料理や景色を楽しめます。
場所を表す言葉の後に「ならでは」を置いた例文です。単に日本の文化、その土地の料理とするよりも、「ならでは」を挟んだ方が「そこにしかない」「そこでしか味わえない」という特別感をより強く表現できます。
季節や時期を対象とする場合
・自粛ムードが終わり、桜の季節ならではの花見の光景が戻ってきた。
・花火というと日本では、夏ならではの風物詩という印象が強い。
・客足が落ちる閑散期ならではの集客方法を考える必要がありそうだ。
季節や時期の後に「ならでは」を組み合わせることで、「その季節(時期)特有の」「その季節(時期)限定の」という意味を表現できます。
体言止めのように使う場合
・通勤の負担が軽減できるというメリットはリモートワークならでは。
・冷たい麺を美味しく楽しめるのは夏ならでは。
上記のように「ならでは」の後に言葉を置かず、体言止めのように使用することもできます。
「ならでは」の類語・言い換え表現
「ならでは」を特定の人・物だから実現できる(他では実現できない)という意味で使う場合は、「〜だからこそ」「〜のなせるわざ」と言い換えが可能です。例えば、「プロならでは」という言葉であれば、「プロだからこそ」「プロのなせるわざ」と表現できます。
また、「ならでは」をその人・物だけが持っている性質という意味で使う場合は、「名物の」「固有の」「独特の」「オリジナルの」と言い換えが可能です。例えば、「日本ならでは」という言葉であれば、「日本名物の」「日本固有の」「日本独特の」「日本オリジナルの」と表現できます。
「ならでは」の英語表現
「ならでは」には、さまざまな英語表現があります。まず代表的な表現として挙げられるのは、「unique to〜」でしょう。例えば、「日本ならではの」であれば「unique to Japan」、「子どもならではの」であれば「unique to children」と表せます。
そのほか、「special to〜」「distinctive of〜」「characteristic of〜」なども、〜の部分に人や物を表す名詞を組み合わせることで、「ならでは」を表現できます。
「ならでわ」は間違い! 正しい表記「ならでは」を使おう
「ならでは」についてくわしく紹介してきました。
「ならでは」は、対象となる人や物が持つ特徴や特別さを表現するときに使う言葉です。場所や季節・時期などに対して使うこともできます。「ならでわ」は誤用なので注意してください。
日常会話だけでなくビジネスシーンでも使える言葉なので、今回紹介した例文を参考に正しい使い方を覚えておきましょう。