今や一般的な言葉になった「推し活」。それなりの金額を使っているという人もいるでしょう。また、「毎月推し活にいくら使っていいのかわからない」「将来の貯蓄まで手が回らない」という悩みもあるかもしれません。

そこで今回は、「手取り収入に対する支出割合の目安」や「ボーナスの黄金比率」をご紹介し、推し活にはどのくらいまでならお金を使っていいのか解説します。これを機に、推し活にかけるお金や給料、ボーナスの使い方を見直してみましょう。

  • 「推し活」にはいくらまで使っていい?

みんな推し活にいくら使っている?

好きなキャラクターやアイドルなどの「推し」をさまざまな形で応援する推し活。たとえば、推しの出演するイベントやライブに参加したり、グッズを購入したり、または、推しにゆかりのある土地を訪れることも推し活の1つです。

このように、推し活には参加費や購入費などそれなりのお金がかかるものですが、推し活をする人は推し活にどのくらいの金額をかけているのでしょうか。

R&Cが推し活をしている20〜50代の男女1,000人を対象に、「推し活にかけるお金」のアンケート調査を行ったところ、推し活に使うお金の月平均は1万6,605円という結果になりました(調査期間2023年4月27日~5月2日)。

ただし、これは全体の平均であり、推しの「分野」別に見てみると金額にはばらつきがあります。分野別で見たときに最も推し活にお金をかけているのは、「俳優(舞台)」で月平均は3万1,375円です。そして2位には「声優」の月平均1万6,686円、3位には「YouTuber・インフルエンサー」の月平均1万5,306円が続いています。

舞台には演劇やミュージカル、宝塚歌劇のほか、ゲームやアニメの世界を舞台化した「2.5次元」などがあり、舞台のチケット代は1万円〜1万5,000円ほどになります。「俳優(舞台)」の金額が突出しているのは、舞台のチケット代にお金がかかることが主な要因と言えそうです。

ただし、同じ調査で「推し活に使う金額帯のボリュームゾーン」を見てみると、「俳優(舞台)」を含む全分野において、「月平均1〜5,000円」が最も多くなっています。全体では32%の人が推し活に使う金額を月1〜5,000円と答えており、0円と答える人も18%いました。

推し活というと「推しにお金をつぎ込む」というイメージがあるかもしれませんが、実際にはあまりお金をかけない工夫をして推し活を楽しむ人も多いようです。

推し活に使っていい金額はいくら?

先ほどのアンケート調査では、大きな金額を使わずに推し活をする人も多くいるということがわかりました。では、実際には推し活に毎月いくらくらいなら使ってもいいのでしょうか。

ここで、「月の手取り収入に対する支出割合の目安」を一人暮らし、夫婦のみの家庭、子ども(小学生以下を想定)のいる家庭のケースでご紹介します。

  • 月の手取り収入に対する支出割合の目安/筆者作成

    月の手取り収入に対する支出割合の目安/筆者作成

これらの支出項目の中で、推し活にかかるお金は「娯楽費」に含まれると考えられます。もしくは、夫婦のみの家庭や子どものいる家庭では、「小遣い」に該当しそうです。

一人暮らしでは、手取り収入に対して娯楽費は5%が目安になります。一方、夫婦のみの家庭の小遣いの目安は11%、子どものいる家庭の小遣いの目安は8%となっています。

たとえば、一人暮らしで手取り収入が月25万円の場合、娯楽費は「25万円×5%=1万2,500円」となります。先ほどのアンケート調査の結果と比べると、推し活に使うお金の月平均1万6,605円よりは少なくなりますが、ボリュームゾーンが1〜5,000円であることを考えれば、推し活に月1万2,500円は充分な金額かもしれません。

また、ボーナスが出る人は、ボーナスからどのくらい推し活に使っていいのでしょうか。最近は「ボーナスは全額貯金」という人が少なくないようですが、一定の範囲で自分の好きなことに使うのは決して悪いことではありません。

ボーナスには「黄金比率」というものがあり、「貯蓄:消費:自己投資:金融資産への投資=4:3:2:1」が理想的な使い方とされています。このうち消費の部分は、必要なものの購入や自分へのご褒美などに使えます。

たとえば、ボーナスが50万円なら、「貯蓄:消費:自己投資:金融資産への投資=20万円:15万円:10万円:5万円」のように配分します。これなら、貯蓄や投資をしつつ、好きなことにもお金を使えますね。

推し活に使うお金はもちろん「消費」に当たりますので、たとえばボーナスが30万円の人なら9万円までは推し活に使えることになります。普段は大きなお金をかけない工夫をして推し活を楽しみ、ボーナスのうち一定額までは大きな出費のある推し活に使ってもよいと決めれば、貯蓄もしながら推し活を満喫できるでしょう。

ただし、ボーナスの黄金比率はあくまで目安ですので、普段貯蓄ができていない人は貯蓄割合を増やすなど調整をしましょう。また、ボーナスは必ず支給されるとは限りませんし、景気や業績などによって減額することもありますので、ボーナスに頼りすぎた資金計画は立てないよう注意が必要です。

これからも長く推し活を楽しむために

応援することで人生を豊かにしてくれる「推し活」。推しの対象や活動の方法、そして推し活に使う金額は人それぞれですが、これからも長く推し活を楽しむには、推し活に使うお金と一度向き合ってみることが大切です。さらには支出全体を見直し、上手にお金を使いながら推し活を楽しみ、将来に向けた貯蓄も両立させましょう。