開幕まで1カ月を切った国際自転車ロードレース「マイナビ ツール・ド・九州2023」。10月6~9日の4日間にわたり、福岡、熊本、大分の3県を舞台に国内外のトップ選手が九州の街や自然を駆け抜ける。自転車ファンならずとも注目が集まる大会に参加する18チームのうち、九州にゆかりのあるチームを紹介する。

  • ポーズをとる「Sparkle Oita Racing Team」の黒枝士揮(右)と住吉宏太

大分市を拠点に2021年に設立された「Sparkle Oita Racing Team」(スパークルおおいた)。「地域密着で自転車を通じて地元を盛り上げたい」という思いがチーム創設の背景とあり、大分市出身でチームのまとめ役の黒枝士揮(31)は「今まで九州にはなかったすごく大きな国際大会。僕らにも、地元や九州の自転車ファンにも、すごく熱い大会となる」と力を込めた。

スプリンターが多いことがチームの特徴だ。大会初日の小周回コース「小倉城クリテリウム」や最終日の「大分ステージ」は平たん基調。黒枝士は「チームとして向いているコースでトップが狙える」と指摘する。一方で、途中の「福岡」「熊本阿蘇」両ステージは起伏があるコース。黒枝士は「福岡、熊本阿蘇の厳しいステージを何とか乗り越え、最終日の地元ステージでトップをつかみたい」と意気込む。

チーム内で数少ない上りのコースが得意なのが住吉宏太(32)。福岡で生まれ、物心がつく前に熊本に引越した。他チームで実績を積み、22年シーズンから加入。大会の開催3県すべてに縁があり「ツール・ド・九州に出るために移籍してきたと言っても過言ではない」と笑う。

黒枝士は「レースになれば、それぞれがチームのために全力で働くという意識を強く持っている」と自負する。「ロードレースはチーム競技」と話す住吉も「メンバーとは一緒にいる時間が長いから、言葉にせずとも意思疎通が図れる。それぞれが自分のやるべきことを把握している」と語った。「地元チームとして存在感を示したい」と黒枝士。創設時の思いを実現する瞬間は、もう目の前だ。(森亮輔)