伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は予選が進行中。9月19日(火)には第4ブロックの永瀬拓矢王座―本田奎六段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、千日手指し直し局を107手で制した永瀬王座が次回戦進出を決めました。
永瀬王座が千日手に持ち込む
本田六段の先手で始まった対局は、後手の永瀬王座が角道を止める持久戦調の出だしを選択しました。本田六段が腰掛け銀に組んだのは角のラインを生かして先攻を目指す狙いですが、永瀬王座も金銀四枚の強固な連携で仕掛けを許しません。間合いの計り合いが続いたのち、本田六段が仕掛けを断念したため本局は13時44分に千日手が成立しました。
千日手成立から30分後、ともに持ち時間3時間を切って開始された指し直し局はすらすらと角換わり相腰掛け銀の定跡形へ。局面が先後同型に近づくなか、先に6筋の歩を突っかけて局面の打開を図ったのが後手の本田六段の用意でした。この1年ほどで研究が進められている最新の変化で、後手番ながら積極的に攻め合いを求める狙いがあります。
読み切りの受けで永瀬王座が制勝
一方で先手の永瀬王座は6筋の折衝を収めてから右辺の端攻めで攻撃を開始。1筋突破を確実なものにして後手からの反発を誘います。後手が自陣角を打って先手の玉頭を狙ったのに対し、永瀬王座はじっと後手の銀を捕獲して駒得を主張しました。放っておくと駒損が拡大する本田六段が攻め続けるよりないのを見越しています。
手を渡された本田六段は角切りの猛攻で先手玉に迫りますが、受けの達人・永瀬王座はすみずみの変化まで読み切っていました。自陣に竜を作られても大丈夫と見た大局観が光り、やがて後手の攻めは切れ筋に。終局時刻は19時15分、最後は豊富な持ち駒を生かしてスパッと敵玉を寄せきった永瀬王座が快勝で予選突破まであと3勝としました。
水留 啓(将棋情報局)
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