開幕まで1カ月を切った国際自転車ロードレース「マイナビ ツール・ド・九州2023」。10月6~9日の4日間にわたり、福岡、熊本、大分の3県を舞台に国内外のトップ選手が九州の街や自然を駆け抜ける。自転車ファンならずとも注目が集まる大会に参加する18チームのうち、九州にゆかりのあるチームを紹介する。

  • ポーズをとる「VC FUKUOKA」の渡辺諒馬(右)と鎌田晃輝

「とにかく勝ちたい」

「VC FUKUOKA」が誇るスプリンター渡辺諒馬(21)の言葉からは勝利への貪欲さがにじみ出る。ツール・ド・九州に向けて「地元で開かれるレース。より一層、力を入れて挑みたい」と意気込む。

見据えるのは、自らのスプリント力が発揮できる大会初日の小周回コース「小倉城クリテリウム」。号砲とともに観客の注目が集まる光景をイメージし「勝つところを見てほしい」と語る。

チームには平たん、起伏にとらわれず、オールラウンドに走れる選手が多いという。佐藤信哉監督は「1人のエースに頼らず、さまざまなコースで活躍できる可能性がある選手がそろう」と自信を示した。

今年加入の鎌田晃輝(19)が勢いをもたらす存在だ。愛媛・松山学院高3年だった昨夏の全国高校総体の男子個人ロードレースで優勝し、6月には全日本選手権のロードレース23歳以下カテゴリーを制した。中学時代は「VC FUKUOKA」の下部組織に所属しており、チームへの愛着は強い。「ツール・ド・九州で(チームのことを)全国に知ってほしい」と目を輝かせた。

活躍が期待されるのは起伏に富む「熊本阿蘇ステージ」だ。若きホープは「平たんなコースではチームメートの力を温存させるアシスト役を務め、山岳コースでは僕が上位を狙いに行く」と静かな闘志を燃やす。

チームとして、今年は海外の国際レースに初参戦し、高みを目指すシーズンと位置づける。国際自転車競技連合(UCI)認定レースの今大会は成長への格好の舞台となる。佐藤監督は「今大会をきっかけに、国際的に競争力のあるチームを目指す。地元で熱い走りを見せたい」と誓った。(森亮輔)