里見香奈白玲に西山朋佳女流三冠が挑戦するヒューリック杯第3期白玲戦七番勝負は、第3局が9月16日(土)に石川県金沢市の「ホテル日航金沢」で行われました。対局の結果、相振り飛車の力戦を61手の短手数で制した西山女流三冠が2勝1敗と勝ち越しました。
力戦形の相三間飛車
後手番で1勝ずつを挙げて迎えた第3局、先手の西山女流三冠は初手に飛車を振って三間飛車を明示。右銀を上がって美濃囲いの枠組みを作る手を急いだのが工夫で、これを見た里見白玲が角道を開けたことで本局はさっそく駆け引きの様相を呈しました。
ともに居玉のままの力戦形を前に、両者慎重に時間を使って考慮を進めます。三間飛車に構えた後手の里見白玲は3筋で歩をぶつけて戦いを起こします。この直後、西山女流三冠が突き違いの歩の手筋で後手の銀を不安定な位置に導いた局面が早くも勝負所となりました。5筋の歩を突いて銀の逃げ場を作った里見白玲ですが、局後この手がどうだったかと振り返ることに。代えては垂れ歩で先手陣にプレッシャーをかける手が検討されました。
西山女流三冠が攻め切って快勝
チャンスと見た先手の西山女流三冠は3筋の歩を伸ばして反撃を開始。続く桂跳ねで後手の銀をいじめつつ桂頭を攻める手が成立したのが大きく、ここで先手がリードを奪いました。西山女流三冠はさらに、敵陣に打ち込んだ角で飛車を手にして駒得を拡大。木村一基九段をはじめとする控室の検討陣も逆転は厳しいとの雰囲気に落ち着きました。
終局時刻は15時33分、追いすがる里見白玲の反撃をかわしつつ冷静な手順で後手玉を寄せきった西山女流三冠が快勝。スコアを2勝1敗と白星先行に転じさせました。敗れた里見白玲は「序盤がパッとしなかった」との感想を残しています。注目の第4局は9月30日(土)に奈良県奈良市の「ふふ奈良」「瑜伽山園地 茶室:䕪庵」で行われます。
水留 啓(将棋情報局)