「こすい」という言葉を聞いたことはあっても、「意味はよくわからない」あるいは「使ったことはない」という人も多いのではないでしょうか。

本記事では、「こすい」の意味や方言なのかどうかを解説した上で、正しい使い方・例文を紹介します。また、類語・言い換え表現についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

「こすい」の意味とは?

  • 「こすい」の意味とは?

「こすい」という言葉の意味を辞書で引くと、次のように説明されています。

こす・い 【狡い】
① わるがしこい。ずるい。
② けちである。吝嗇(りんしょく)である。
『広辞苑 第七版』

上記の通り「こすい」は、「ずる賢いさま」や「けちなさま」を意味し、ネガティブな意味合いで使われる言葉です。

江戸時代の俳諧集「炭俵」の中に登場するほど古くから存在する言葉ですが、現代でも日常会話で使われています。

「ずるい」や「せこい」との違い

「ずる賢いさま」や「けちなさま」を表す言葉としては「こすい」のほかに、「ずるい」や「せこい」などもあります。ほとんど同じ意味合いで使われていますが、「ずるい」や「せこい」の方がより一般的に浸透している言葉です。

「こすい」は、意味を知らないという人もいるので、相手に意味を瞬時に理解してほしい場合は、「ずるい」や「せこい」を使った方が良いでしょう。

「こすい」はどこの方言?

  • 「こすい」はどこの方言?

「こすい」という言葉は、関西地方の方言であると紹介されることも少なくありませんが、実は全国的に使われている言葉で標準語だといいます。ただし、日常的に使っているかどうかは地域によって差があり、例えば関東ではあまり使われていないと言われているため、相手によっては通じない可能性もあるという点を覚えておきましょう。

「こすい」の正しい使い方・例文

  • 「こすい」の正しい使い方と例文

「こすい」は、自分の利益のために相手を騙したり利用したりするような人・行動などを指す際に使います。誰が見ても悪いとわかるような目立った行動をするのではなく、周囲に気付かれないように上手く立ち回りながら行動するというニュアンスです。また、お金や物を必要以上に惜しむ人・行動を指す場合にも使われます。

「こすい」は批判する意味合いで使う言葉のため、対象の相手に面と向かって使うことはほとんどありません。相手に向かって直接「こすい」と言ってしまうとケンカになる恐れもあるので、注意しましょう。

【例文】
・こちらの同意を得ずに進めるなんて Aさんもこすいな
・こんなこすいやり方が思いつくなんて、さすがBさんだ
・隣の部署のC部長は困るとすぐにこすいことで有名だ
・こすいことをして成功しても、いつかバチが当たる
・今回の政府の対応はこすいと思わずにいられない
・「この前のクリスマス、彼がプレゼントくれなかったの」「え~彼氏こすいね」

「こすい」の類語・言い換え表現

  • 「こすい」の類語・言い換え表現

ここでは、「こすい」と似たような意味を持つ類語や言い換え表現を紹介します。

狡猾

「狡猾」は「こうかつ」と読み、「ずる賢いこと・悪賢いさま」を意味する言葉です。どちらも「ずるい」という意味を持つ「狡」と「猾」を重ねることで、「ずるい」という意味を強調しています。

【例文】
・Aさんの狡猾さには課長も呆れていた
・犯人の供述が報道されると、その狡猾な手口に注目が集まった

関連記事: 「狡猾」の意味とは? 使い方や類語、狡猾な人についても解説

老獪

「老獪」は広辞苑で、「長い間世俗の経験を積んで狡猾なこと」「世故にたけて悪賢いこと」を意味する言葉として紹介されています。「こすい」や「狡猾」と同じように、ずる賢いことや悪賢いことを表しますが、「長い間世俗の経験を積んで」という意味合いが含まれている点に違いがあります。読み方は「ろうかい」です。

【例文】
・彼は一部の人たちから老獪な政治家と言われていた
・この世界で生きていくには、多少の老獪さが必要なのかもしれない

狡っ辛い

「狡っ辛い」は「こすっからい」と読み、悪賢いさまや、ずるく抜け目がないさまを意味します。「こすい」や「狡猾」などと比べて使われる機会は少ないです。

【例文】
・あの人はいつも狡っ辛く振舞っている
・あのような状況では誰でも狡っ辛くなるだろう

小賢しい

小賢しいは「こざかしい」と読み、「利口ぶっていて生意気であること」や「悪賢くて要領がいい様子」を意味します。「狡っ辛い」よりは見聞きする機会の多い言葉ですが、「聞いたことはあるけど意味は知らない」という人も少なくありません。

【例文】
・彼は小賢しいやり方をして申し訳なかったと反省していた
・彼女の小賢しいところが嫌になり別れた

関連記事: 小賢しいの意味とは? 褒め言葉に使えるのかや「あざとい」などの類語を紹介

「こすい」を正しく使おう

  • 「こすい」を正しく使おう

「こすい」の意味や使い方、類語などを紹介してきました。

「こすい」は、「ずる賢いさま」や「けちなさま」を意味し、誰かを批判する際などに使われる言葉です。関西地方の方言として紹介されることが多いですが、実は全国的に使われています。

ただし、あまり使わないという地域もあるので、意味が通じるか不安な場合は「ずる賢い」「けちだ」あるいは「ずるい」「せこい」などの言葉で言い換えると良いでしょう。