アップルが先日開催したスペシャルイベントで、AirPods Pro(第2世代)の新モデルが登場しました。iPhoneとともに、コネクターをUSB-C(USB Type-C)に一新したのがポイントですが、使い勝手が向上する新機能「適応型オーディオ」も追加されます。Lightningコネクター搭載の第2世代AirPods Proユーザーもアップデートで使えるようになるこの新機能、“ちょうどいい”使い心地が好ましいと感じました。
「適応型オーディオ」が新たに加わる
米国で開かれたアップルのスペシャルイベントでは、iPhone 15シリーズやApple Watchに加え、AirPods Proも新モデルが登場しました。名称が「AirPods Pro(第2世代、USB-C)」とわずかに変わっただけなので、「コネクターがLightningからUSB-Cに置き換わっただけかな」と思っている人もいるはず。
しかし、改良はそれだけにとどまりません。新機能「適応型オーディオ」(Adaptive Audio)が追加されました。これは「外部音取り込みモード」と「アクティブノイズキャンセリングモード」のいいとこ取りといえるモードで、ある程度のノイズキャンセリングをかけて街のノイズを抑えつつ、周囲にいる人の声や電車のアナウンスは聞こえるようになります。各モードの切り替えは、設定画面やコントロールセンターの音量の長押しで実行できます。
実際に、電車の中で適応型オーディオを試したところ、アクティブノイズキャンセリングの効果は半分ほどになり、アナウンスが聞こえるようになりました。耳穴の奥にかかるノイズキャンセリング特有の“圧”も小さくなるので、この圧が苦手な人にも好ましいちょうどいいモードといえます。
「歩いている時も音楽を聴きたいが、周囲の音はある程度聞こえないと心配」「自宅でもAirPods Proを使いたいが、家族から不意に声をかけられても気づかないのは困る」といった悩みを持つ人も、より多くのシーンでAirPods Proを積極的に使えるようになる便利なモードだと感じました。
話しかけるとボリュームを自動で抑える機能なども備える
適応型オーディオには、周囲の状況に応じて外部音取り込みやノイズキャンセリングの効果をリアルタイムに調整する機能も備わります。
その1つが「会話感知」。AirPods Proを装着している人が、オフィスや学校で話しかけられた際に「なに?」と応答したり、飲食店での注文時に「すみません」と声を出すと、自身の声を検知して聞いている音楽のボリュームを自動的に下げ、相手の声がしっかり聞こえるようにしてくれます。
もう1つが「パーソナライズされた音量」。周囲の騒音に応じて音量を自動調整する機能で、周囲が静かな場所に行くとボリュームを抑えて耳の健康への悪影響を抑えてくれます。ふだん設定している音量など、自身の利用状況を機械学習で理解して自動調整してくれるといい、使い込むほどに状況に合わせて自然にちょうどいい音量にしてくれそうです。
以上の適応型オーディオは、今回登場したUSB-Cコネクター搭載のAirPods Pro(第2世代)だけでなく、2022年9月に登場したLightningコネクター搭載のAirPods Pro(第2世代)も無料のアップデートで対応します。これはうれしいポイントといえます。
完全ワイヤレスイヤホンのスタンダードといえる存在のAirPods Proですが、適応型オーディオの搭載でさらに“ちょうどいい”使い勝手を備えるイヤホンになりました。イヤホン本体だけでなくケースもIP54等級の防塵性能と耐汗耐水性能を備えるようになったり、iPhoneやiPad、Macとの接続の切り替えもより速くなるなど、細かな改良も加わっています。価格は39,800円とちょっとお高めですが、より多くのシーンで快適に使えることを考えると、満足度の高いイヤホンといえそうです。