第82期A級順位戦(主催:朝日新聞社・毎日新聞社)は、3回戦の稲葉陽八段-菅井竜也八段戦が9月14日(木)に関西将棋会館で行われました。対局の結果、相穴熊の熱戦を132手で制した稲葉八段が待望の今期初勝利を挙げました。
久々の同門対決
ともに井上慶太九段門下の兄弟弟子対決となった本局は、先手・菅井八段の三間飛車穴熊に後手・稲葉八段が居飛車穴熊で対抗する構図に。相穴熊戦という点では昨年12月に戦われた両者のA級順位戦と同じ戦型で、その際は菅井八段が終盤の勝負手を通し逆転勝ちを収めています。
さて本局、お互い四枚穴熊の堅陣に組み上げて駒組みが頂点に達したところで稲葉八段が動きます。守りの金を前線に繰り出したのが直前の角上がりと連動した攻めで、そのまま角をさばいた稲葉八段が首尾よく先手陣に馬を作ることに成功しました。菅井八段は石田流に構えた飛車の裏を突かれた格好です。
稲葉八段が快勝
手番を握った後手の稲葉八段はこの馬を活用して主導権をつかみます。押さえ込みをチラつかせることで先手の焦りを誘ったのが胆力のある指し回しで、手順に角銀交換の駒得を果たしてリードを拡大しました。菅井八段も必死の食いつきで追い上げますが、稲葉八段は戦いながら囲いを再生して攻めを寄せつけません。
優勢を築いてからの稲葉八段の指し手は冷静でした。終局時刻は翌15日0時19分、最後は寄せ合い一手負けを読み切った菅井八段が投了。これで勝った稲葉八段は1勝2敗、敗れた菅井八段は2勝1敗となりました。次回4回戦で稲葉八段は斎藤慎太郎八段、菅井八段は広瀬章人八段と対戦します。
水留 啓(将棋情報局)
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