タリーズコーヒージャパンは、「TULLY'S COFFEE」ブランド方針発表会を9月14日に東京都内で開催した。「タリーズコーヒー」の展開や生産者との取り組み、また伊藤園が手掛ける新製品の販売戦略をレポートする。

  • 「TULLY'S COFFEE」ブランド方針発表会を開催、写真左よりタリーズコーヒージャパン 南川剛士氏・工藤和幸氏、伊藤園 相澤治氏

「Experience a warmer cup of coffee」の理念

タリーズコーヒージャパンは2023年に創業26年を迎えるコーヒーショップだ。2006年には伊藤園グループに入り、2014年に全国47都道府県すべてに出展、現在全国に約770店舗を展開する。

コロナ後は人流の回復とともに売上・利益ともに上げてきており、新たな店舗開発やロケーションの良い出店を加速。伊藤園グループの強みを生かした「紅茶体験」をコンセプトとした「タリーズコーヒー &TEA」や、ドリンク中心でクイックかつシンプルにコーヒーを提供する「TULLY'S COFFEE -SELECT-」、ドライブスルー型店舗などコロナ後の生活様式にあわせ、多様な店舗戦略も行っている。

  • タリーズコーヒー マーケティング本部 工藤和幸氏

タリーズコーヒー マーケティング本部 工藤和幸氏は、タリーズが大切にしていることとして「Experience a warmer cup of coffee、コーヒーのぬくもりだけでなく、温かい一杯のコーヒーからうまれる素晴らしいひとときの体験を提供すること」を挙げる。「これはお客様だけでなく、従業員や地域社会の皆様、取引先の皆様、すべてのタリーズに関わる方に、素晴らしいひとときを体験していただきたい、という思いで大切にしているメッセージです」と工藤氏。

  • タリーズコーヒーの運営ポリシー

また、運営ポリシーとして「5つの最高」を掲げる。「最高の豆、最高の焙煎、最高のバリスタ、最高ホスピタリティ」、そして最後にある「そして最高の…!」は、一人ひとりが日々店舗で考えて実践し、行動することだという。

「一人ひとりの思いやりや気遣い、そういったものをもって1杯のコーヒーが出来上がる。それがタリーズコーヒーのビジネスと考えています」と工藤氏は同社の理念をメディアに伝えた。

高品質なコーヒーを作る、産地との取り組み

続いてタリーズコーヒージャパン プロダクト本部商品開発部 ビーンズ開発グループ グループ長 南川剛士氏より、コーヒー産地との取り組みに関する紹介が行われた。

  • タリーズコーヒージャパン プロダクト本部商品開発部 ビーンズ開発グループ グループ長 南川剛士氏

タリーズコーヒーは、生豆調達の基本的な3つのポリシーとして「ユニークで際立った特徴を持っているか」「オリジンごと、農園ごと、品種ごとに異なるそれぞれの特徴がはっきりと感じられるか」「タリーズの商品に不可欠な品質・特徴を持っているか」を掲げる。

しかし需要拡大により激化するコーヒーの買い付け競争や、温暖化による産地環境の変化を原因とする品質低下といった影響を受け、高品質なコーヒーの確保は世界的に難しい状況にあるという。そういったなか、タリーズでは生産者との信頼関係を強化し、産地により深く入り込んだ取り組みを行っている。発表会ではその事例として、世界のコーヒー産地で収穫から精製までのプロセスをアドバイスし、品質の維持・向上を行う取り組みや、接ぎ木で高品質なコーヒーの苗木を育成するペルーでのプロジェクトが紹介された。

  • 10月11日に発売する「マイクロロット・コスタリカ 2023ロット」

また10月11日に発売する「マイクロロット・コスタリカ」は、中南米・コスタリカで2008年から実施している小規模生産(マイクロロット)による最高品質のコーヒーを作り上げるプロジェクトから生まれた商品だ。

同プロジェクトは、コスタリカでも特に品質の高いドータ農協とともに行っており、今年で16回目の開催だ。タリーズコーヒーの担当者が現地へ赴いて審査を行いより品質の高い生豆を選定、日本全国のタリーズコーヒーで商品として販売される。

正しく品質を評価され正当な対価を得ることは、生産者が安心してコーヒーの生産を続けられること、また生産者のモチベーションを高めることにもつながるという。ドータでは8~9割の人がコーヒー農業に関わっているが、プロジェクトを通して若年層が戻ってきて農業を始めたり、雇用にも繋がっていると南川氏は語る。

なお「マイクロロット・コスタリカ 2023ロット」は、10月11日より全国7エリアごとに地域限定で7種類を展開する。

「BARISTA'S BLACK」新作は華やかなブラック

また、タリーズコーヒーは店舗以外でも楽しむことができる。「TULLY'S COFFEE」ブランドを手掛ける伊藤園 マーケティング本部コーヒーブランドグループ ブランドマネジャー 相澤治氏からは、ボトル缶「TULLY'S COFFEE BARISTA'S BLACK」をはじめとした商品の紹介が行われた。

  • 伊藤園 マーケティング本部コーヒーブランドグループ ブランドマネジャー 相澤治氏

「TULLY'S COFFEE BARISTA'S BLACK」は、タリーズコーヒーのバリスタが豆の選定、焙煎を監修した「PROFESSIONAL QUALITY」の商品だ。焼きたて・挽きたて・淹れたての「3たて」にこだわっている。

  • 9月11日発売「BARISTA'S BLACK キリマンジャロ」

その「BARISTA'S BLACK」シリーズより、9月11日には新作「BARISTA'S BLACK キリマンジャロ」が登場する。「BARISTA'S BLACK」はしっかりしたコクとキレの良い苦みが楽しめる商品だが、タンザニア産キリマンジャロ豆を使用した「BARISTA'S BLACK キリマンジャロ」は、キリマンジャロ特有の華やかな香りが特徴だ。

「飲料の無糖化が進み、ブラックコーヒーはチャンスがあります。若い方はブラックコーヒーを飲む人が少ないですが、華やかな香りの『BARISTA'S BLACK キリマンジャロ』は若年層が飲むきっかけとなる商品に間違いなくなる、コーヒー市場にユーザーを連れて来ることができると考えています」と相澤氏は期待を寄せる。

  • 自宅で楽しめるドリップバッグも新商品が登場

またコロナ禍を通して、自宅でコーヒーを楽しむ方も増える傾向にある。そういった状況から、2023年秋冬の「TULLY'S COFFEE」では、希釈タイプやドリップ、インスタントなど様々なシーンでたのしめる新商品も登場、9月18日からは店頭プロモーションも注力していくという。