よ~く見るとみんな三本脚なのですね。この黒くて不思議な形状をした生き物たちと円卓に並べられた食べられない御馳走の数々。いったいこの奇妙なお食事会をセッティングしたのはどこの誰?

「なんだコイツ」 「人間っていうらしいぞ」 「珍しいな」 「喰うか? 」 「腹へってるか? 」 「泊まってくか? 」 「いくつだ? 」 「あんま質問ばっかすんな」 「腹へった」 「これ喰え」 「ゆっくりしてけ」

  • (Twitter 浅野暢晴@asanonobuharuより より引用)

この不思議な生き物たちの生みの親は彫刻家の浅野暢晴さん。1979年、茨城県生まれ。2004年には第9回日本現代陶彫展銀賞、2013年にはグランシップアートコンペ2013 グランシップ賞を受賞している気鋭のアーティストです。作者が名づけた三本脚たちの名称は「トリックスター」。

モノの本によるとトリックスターとは、神話や物語の中で神や自然界の秩序を破り、物語を展開する者とのこと。確かに異形のモノノケたちが日常生活の中に置かれている光景を見ると、当たり前に思えていた日々の暮らしがほころびを見せて、異なる世界に引き込まれそうになります。このトリックスターたちの食事会を見たフォロワーたちもついつい異形の世界に引き込まれていったようで…

「大好きな世界観です! 」「喰うか? って子供食べようとしてるのかと思って時折怖かった」「今まで芸術とか興味なかったけど一目惚れした」「見た目の割に優しい」「大人になって見えなくなっちゃったのか.....」「神様って案外こんな感じなのかもしれない」「異文化交流って感じがしていいね」などなど。投稿者であり作者である浅野暢晴さんにお話を伺いました。

■作者に聞く

……この作品を撮影したのはいつ、場所はどこでしょうか。

2023年8月21日に中之条ビエンナーレの展示会場である「やませ」という場所で撮られた写真です。

……この円卓を囲む状況を思いついたのはどんなきっけかでしょうか。

7年前に「やませ」を見に行った時に思いついたアイデアが元にあり、今回展示するにあたって円卓という状況を思いつきました。

……この作品を撮影してみて、作者として改めて思った感想は?

鑑賞者の方に座ってもらうことで作品に新たな姿を与えられるのは、面白いな、と思いました。

……ちなみにこの少年は作品について何といっていたでしょうか。

実は写真に写っているのは自分の息子たちなのですが、いつも身の回りに作品がある環境なので、慣れっこな様子でした。あの部屋や食卓の上に一体幾つの彫刻が置かれているのか、一生懸命数えてましたね。

▼「なんだコイツ」 「人間っていうらしいぞ」 「珍しいな」 「喰うか? 」 「腹へってるか? 」 「泊まってくか? 」 「いくつだ? 」 「あんま質問ばっかすんな」 「腹へった」 「これ喰え」 「ゆっくりしてけ」