伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は予選が進行中。9月13日(水)には第3ブロックの西尾明七段―近藤誠也七段戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、107手で快勝した近藤七段が次回戦進出を決めました。
矢倉対雁木の急戦形
本予選は20名前後からなるトーナメントを勝ち抜いた8名の棋士が挑戦者決定リーグに進出するもの。勝ち上がりには4~5連勝が必要となります。振り駒が行われた本局は後手となった西尾七段は雁木の作戦を採用。これを見た先手の近藤七段は矢倉の構えを作ったのち、早繰り銀の要領で先攻を目指しました。
右辺で銀の取り合いが行われて局面は一段落かと思われたところで、近藤七段は読みの入った中盤の勝負手を繰り出します。後手からの飛車先の歩突きを手抜いて角を飛び出したのが好タイミングの反応。この角は敵銀と刺し違えることになりますが、近藤七段は後手が歩切れになることを重く見ています。
近藤七段が厚みで押し切る
先手は歩得を、後手は自陣に引き付けた馬を主張して難解な中盤戦が続きます。後手の西尾七段は馬による歩交換でなんとか歩切れの解消を図りますが、これに対する近藤七段の手厚い銀打ちがプロ好みの好手でした。近藤七段は立て続けにもう1枚の銀も打ち付け、後手の馬を弾き飛ばす金銀4枚の手厚い柱を作ることに成功しました。
左辺の厚みを軸にペースをつかんだ近藤七段は軽やかな指し回しで優位を拡大。右辺で遊んでいた飛車を切って角を入手したのが決め手で、こうなると近藤七段が「堅い囲い+切れない攻め」という理想の勝ちパターンを実現した格好です。終局時刻は19時11分、攻防ともに見込みなしと認めた西尾七段が投了を告げて近藤七段の勝利が決まりました。
勝った近藤七段は予選突破まであと3勝に。次局で佐藤秀司八段-横山泰明七段戦の勝者と対戦します。
水留 啓(将棋情報局)
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