8月から日本AMDの社長に就任したジョン・ロボトム氏
日本AMDは2023年9月12日、法人PC向けのプロセッサ、Ryzen PROの最新状況について説明するラウンドテーブルを開催。まず、8月3日から日本AMDの代表取締役社長に就任した(ジョン・ロボトム氏)が登壇して挨拶しました。
IT業界ではよくあることですが、直近までレノボ・エンタープライズ・ソリューションズの(社長を務めており)、日本のIT業界では20年近いキャリアがあります。
ロボトム氏は「最近のAMDは変化し続けており、クラウドや5G、AI、ゲームと幅広く利用されているだけでなく、業績も2022年は過去最高の$23.6Bと前年比44%もの成長を実現しました」と言及。さらに2020年と2022年を比較すると、スパコンのTOP500ランキングでは採用システムが4から94と大きく躍進していると説明しました。
今日の話題であるコマーシャルクライアントでも、60から100以上へと大きく成長するとともに、ワークステーションへの採用が進んでいることについても紹介しています。
引き続き本日のメインスピーカーであるのジャスティン・ガルトン氏(AMD コマーシャルクライアントビジネスワールドワイドMNCセグメントリーダー)が、ビジネス向けCPUであるRyzen PRO 7000シリーズの説明と、世界5カ国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本)のITリーダーに対して行った調査「AIの展望:IT部門はAI時代の到来に備えているか」の日本サマリーを紹介しました。
現在のコンピューティングの現状としては、コロナ禍で急速に導入が進んだリモートコラボレーションがしっかり普及しており、次いで不確実性が高い情勢の変化に備える必要性とIT投資に対するROIが求められていると言います。
特に日本市場では消費電力が重要であり、AMDはパフォーマンス/ワットに優れた技術を用いて、妥協せずに性能を上げているとのこと。AMDのポートフォリオではChromebook、WindowsノートPC、デスクトップPCやワークステーションと幅広く展開しており、日本の需要に応えられるものと主張します。特に、コマーシャルPC向けにはRyzen PRO 7040シリーズ(コードネーム:Phoenix)が有効だとアピール。
Ryzen PRO 7040シリーズは最新のアーキテクチャ「Zen 4」を採用し、電力効率に優れる4nmプロセスで製造され、前世代比2倍の性能を持つ「RDNA 3」ベースのグラフィックスに加えてRyzen AIも搭載しており、ライバル製品に対して高い電力効率と性能、AI機能を統合した製品であると紹介しました。
AMDのラボテストでは、Intel Core i7と比較してもパフォーマンスが優れており、例えばMicrosoft Teamsの利用時間で比較するとより長く会議が行え、実際の製品ベースでのテストでもすべての項目でAMD製品のほうがベターだとガルトン氏は説明していました。
現在の主な製品はHP / Lenovo / Acerから販売されており、日本ブランドでもNEC、富士通、Dynabookでも搭載モデルを展開中。モバイルワークステーションもHP / Lenovoを中心に販売されているので、入手性が大幅に高まっているとのこと。
大企業向けについてもIntel vPROのような機能をRyzen PROで実現しており、セキュリティや管理性、ビジネスに対する対応・準備で堅牢なものを提供していると言います。
AIに関してはRyzen 7040シリーズでx86プロセッサ内にAIプロセッサを世界で初めて統合し、クライアントPC上でAIエンジンを動かすことができます。これによってCPU / GPUの負荷をAIエンジンにオフロードするだけでなく、AMDはクラウドAIとクライアントAIのハイブリッド構成でプライバシーやセキュリティに配慮し、低レイテンシーの面でも有利になります。
具体的な利用例としては、ビデオコラボレーションの体験をより自然に行えるようになるほか、今後18カ月以内に新たなものが発表できるので楽しみにしてほしいと語っていました。
日本のITリーダーに対するAIの調査結果に関しては、AIに対する優先順位を高めているほか、企業はAIに楽観的な見方をしていると言います。
一方でAIに対する不透明感・懸念・障害もあり、セキュリティリスクやAIに対応したITインフラが足りない、組織としての従業員に対するトレーニング不足について懸念がある模様。
AMDとしてはAIコミュニティの一員として企業のAI導入を推し進めていきたいとし、XilinxやRadeon/Instinctのようなアクセラレーター、EPYCサーバー、Ryzen PRO 7000のワークステーションと幅広いポートフォリオで応えていきたいと言います。