Appleが9月13日に発表した「iPhone 15」シリーズは、充電やデータ転送に使う独自のLightningコネクタが廃止され、ついにUSB-Cになった。

いずれもUSB-C(USB Type-C)端子を介して充電やデータ転送、オーディオ/ビデオの再生をサポート。iPhone 15とiPhone 15 Plusは「USB 2」(最大480MB/s)に対応する。さらに、上位のiPhone 15 Pro/Pro Maxでは「USB 3」に対応し、対応デバイスを転送速度10GB/sのUSB 3ケーブルでつないだときは、最大速度(10GB/s)でデータ転送が可能とする。

どちらもUSB-Cの仕様欄に「DisplayPort」の表記があり、ビデオ再生の項目には「対応するビデオミラーリングとビデオ出力」として「USB-C経由のDisplayPort出力(標準対応)」、または別売の「USB-C Digital AVアダプタ(モデルA2119)」経由では最大4K/HDRでの再生出力が可能としている(ただし「標準ダイナミックレンジのビデオコンテンツのみ」との注記もある)。

USB-C端子に刷新した完全ワイヤレスイヤホン「AirPods Pro(第2世代)」とiPhone 15シリーズをUSB-C to Cケーブルでつなぎ、iPhoneからAirPods Proへといわゆる“おすそ分け充電”をすることもできる模様。このほか、有線イヤホン「EarPods」にもUSB-Cモデルを新たに用意し、iPhone 15シリーズとシームレスに連携できるとする。

  • iPhone 15シリーズからAirPods Pro(第2世代)へいわゆる“おすそ分け充電”が可能に

  • iPhone 15シリーズとAirPods Pro(第2世代)をUSB-Cケーブルでつないだところ

  • USB-CになったEarPods

Lightningコネクタの歴史、「iPhoneのUSB-C採用」までの振り返り

Appleが2012年に発表した「iPhone 5」で初めて採用されたLightningコネクタ。同年発売の「iPod touch(第5世代)」や、「iPod nano(第7世代)」でも採用しており、これ以降のiPhone/iPadやiPodシリーズ、周辺機器において11年にわたり採用されてきた。

裏表なしで対応デバイスに挿せるという特徴は、LightningコネクタとUSB Type-C端子のどちらにも共通するが、転送速度や電力供給の面でさまざまな違いがあり、Lightningコネクタを備えたケーブルや周辺機器はAppleが提供する「MFi認証」(Made for iPhone/iPad/iPod)によって互換性を保証する点も大きく異なる(それぞれの規格の詳細や経緯については、海老原昭氏による過去のレポート記事に詳しい)。

「iPhoneのLightningコネクタが将来的にUSB-C端子へと置き換えられる」という話題は、2017〜2018年頃から注目されはじめた。2018年発売の12.9インチ/11インチ「iPad Pro」では実際に、それまで歴代iPadシリーズで採用してきたLightningコネクタを廃し、USB-C端子を新たに採用。これによってiPhoneもLightning廃止/USB-C採用の流れにならう可能性が高まったと受け止められた

その後2022年には、欧州で販売されるスマートフォンなど電子機器の充電端子を2024年後半までにUSB-Cへ統一することを義務づける法案が欧州連合(EU)の欧州委員会によって正式に提出され、EU議会がこれを可決したことで、“iPhoneのUSB-C採用”は既定路線になると見られていた

2022年発売の「iPhone 14シリーズ」は、“Lightningコネクタを搭載した最後のiPhone”となる。なお執筆時点では、Lightningコネクタ搭載のiPhone 14/13/SE(第3世代)は引き続き、Apple Storeにおいて併売している。