アイロボットジャパンは9月12日、人気ロボット掃除機「ルンバ」の新製品となる「ルンバ j9」シリーズ(以下、j9)を発表しました。従来のプレミアムモデル「ルンバ j7」から、ロボット掃除機本体、充電ドック、ソフトウェアの3つを進化させた最上位モデルとなります。

  • 4モデルのルンバ j9シリーズ。左から「ルンバ コンボ j9+」「ルンバ コンボ j9+ SD」「ルンバ j9+」「ルンバ j9」です。「ルンバ コンボ j9+ SD」のみ9月29日の発売予定となっており、それ以外は9月22日発売予定

j9シリーズのラインナップとしては、水拭き機能の有無や付属する充電ドックの違いによって、「ルンバ コンボ j9+」「ルンバ コンボ j9+ SD」「ルンバ j9+」「ルンバ j9」という4つのモデルがあります。直販価格は「ルンバ コンボ j9+」が199,800円、「ルンバ コンボ j9+ SD」が169,800円、「ルンバ j9+」が139,800円、「ルンバ j9」が109,800円です。

なかでも注目は、スマート給水機能を備えるフラッグシップモデル「ルンバ コンボ j9+」でしょう。アイロボットジャパン社にて実機を体験してきたので、ファーストインプレッションをお届けします。

  • 注目の最上位モデル「ルンバ コンボ j9+」は、日本では初登場となる専用ドックを付属しています

4モデルの違いは? 注目の自動給水機能付きクリーンベースとは?

4モデルの違いは、上述のように水拭き機能の有無と、充電ドックの違い。j9シリーズは、水拭き機能を持つ「ルンバ コンボ j9」が2モデルと、吸引掃除のみの「ルンバ j9」が2モデルという全4モデルの構成です。

  • 吸引+水拭き機能の「ルンバ コンボ j9」(写真左)と、吸引掃除のみの「ルンバ j9」(写真右)のロボット掃除機本体。ルンバ コンボは現行のi7とほぼ同じカラーとデザイン、ルンバは天面のカラーが茶系統になりました。本体サイズはいずれも直径33.9×高さ8.7cm。重さはルンバ コンボが約4.1kg、ルンバが約3.4kgです

  • ルンバの水拭き機能の特徴でもある変形機能も健在。水拭き掃除しないときや、カーペットなど濡らしたくない床面を検知すると、モップ部分が天面に移動します(後半に変形動画あり)

ルンバ コンボ j9は、クリーンベース(自動ゴミ収集機能付きの充電ドック)が異なる2モデルを用意。ひとつはi5+にも付属する、自動ゴミ収集機能のみのクリーンベース。もうひとつは、新たに加わったゴミ収集+スマート給水機能を搭載したクリーンベースです。

  • 左の新クリーンベースを付属するのが、最上位モデルの「ルンバ コンボ j9+」(サイズ:幅41.7×奥行き40.1×高さ41.5cm)です。右のクリーンベース(従来同様)を付属するのは「ルンバ コンボ j9+ SD」(サイズ:幅31×奥行き40×高さ34cm)。どちらも「クリーンベース」という名称ですが、サイズの違いは歴然!

  • 新クリーンベースは大容量の水タンクを内蔵するので、かなりのビッグサイズ。マイナビニュース +Digitalの林編集長と並ぶと大きさをイメージできるでしょうか?

ルンバはかつて、自動ゴミ収集機能を備えたクリーンベースによって、最大1年間はゴミ捨ていらずになりました。しかし、水拭き掃除ができる「コンボ」が登場すると、今度はタンクへの頻繁な水補充が必要になってしまったのです。

そこで新クリーンベースでは、自動給水可能な3L分の大容量水タンクを装備して、水の補充も最大30日間必要なくなりました。掃除の途中でロボット掃除機本体の水が切れた場合も、新クリーンベースモデルなら、人がわざわざ水を補充する必要はありません。ロボット掃除機が新クリーンベースに帰還して、水を補充してから水拭きを再開します。留守中に水が切れて、水拭き掃除が途中で終わるという残念なシチュエーションを回避できるのです(ロボット掃除機本体とクリーンベースの両方で水が切れると止まってしまいますが……)。

新クリーンベースでは、吸引掃除のゴミは最大60日分を収集可能。従来のクリーンベースが最大1年分のゴミを収集できていたので、ゴミ収集容量は減りました(ルンバ コンボ j9+ SD、ルンバ j9+は最大1年間のゴミ収集を継続)。水タンクが場所を取るので、ここは仕方ないところでしょう。

  • クリーンベースのサイズは大きいですが、天面にちょっとした物を置けるようになっています。木目の天板をデザイン的なアクセントにしていて、サイドテーブルのように使えるのは便利かも!

  • 上に物を置いたままでもアクセスできるよう、新クリーンベースは前面が開く珍しい仕様。扉部分に冷蔵庫のようなポケットがあり、換えの水拭きパッドや紙パックなども収納できます。本体部分は、一番上に水タンク、その下に紙パックをセットする引き出しを配置

先に「最大30日間水補充不要」と書きましたが、床を拭いた後のパッドは1カ月放置というわけにはいきません。ルンバ コンボ j9のパッドは自動洗い機能こそありませんが、本体とは面テープで固定するため着脱は簡単。メンテナンスにそこまで手間はかかりません。

一方で、水の補給は本体から水タンクを抜いて水タンク用のキャップを外し、水を補給して、タンクを本体に戻す……という複数のステップが必要で少々面倒です。

最近は複数の他社が「水の補充とともに、モップも自動洗浄するロボット掃除機」を発売しています。アイロボットはクリーンベースのサイズや汚水メンテナンスの手間などを考え、あえて「パッドの自動掃除機能」は取り入れていないそうです。確かに、モップ自動掃除機能を搭載した他社のドックよりも、新クリーンベースは一回り小さい印象があります。

  • ルンバ コンボ j9+のダストカップ一体型水タンク。スマート給水機能のないコンボ j9+ SDは、毎回タンクを外して水を補給します

【動画】面白い水の補充方法。水タンクは充電端子の反対側に配置されているので、充電時と反対側からドックに入ります。水が補充されたら一度ドックから出て反対を向いて最突入
(音声が流れます。ご注意ください)

水拭き機能のないj9は、コンボ j9+ SDと同じ自動ゴミ収集機能搭載のクリーンベースを付属した「ルンバ j9+」と、充電機能のみのホームベースを付属した「ルンバ j9」の2モデルとなります。ルンバ j9は頻繁なゴミ捨てが必要となりますが、ホームベースはかなりコンパクト。置き場所によっては、ホームベースタイプを選ぶのも選択肢のひとつかもしれませんね。

  • 水拭き機能のないルンバ j9シリーズ。左が自動ゴミ収集機能搭載クリーンベース。右が充電のみのホームベース

水拭きは前後にゴシゴシしっかり掃除、吸引力も最大2倍に

ロボット掃除機本体も進化しています。j9シリーズは掃除力が大幅にパワーアップ。吸引力は、これまでのルンバiシリーズと比較して最大2倍までパワーアップしました。ただし、常に最大パワーで吸引するとバッテリー消費量と運転音が大きいというデメリットもあることから、標準モードではゴミを吸引しにくいカーペットやラグを検知したときに最大パワーで吸引掃除します。

水拭き掃除も「スマートスクラブ」という動きを取り入れることで、通常の床拭きモードと比べて2倍しっかり拭き掃除できるとのこと。スマートスクラブとは、ロボット掃除機が前後に細かく動くことで、床をゴシゴシと掃除する新しい動きの水拭きモードです。

  • 専用アプリの設定画面。エリアごとに、吸引力を「低・中・高」の3モードから手動で選ぶことも可能です。アイロボットによると、従来モデルの吸引力は「低」とほぼ同程度。「高」なら従来モデルの約2倍の吸引力になるそうです

【動画】ルンバ コンボの特徴でもある変形する「パッドリフティングシステム」の動きと、従来モデルと比べて2倍の床拭き性能があるという「スマートスクラブ」の動き
(音声が流れます。ご注意ください)

ルンバのプレミアムモデルといえば、部屋ごとに掃除方法を変えたり、ペットの糞や電源ケーブルなどを認識して障害物を避けながら掃除する「賢さ」も特徴のひとつ。今回のj9シリーズは、この賢いiRobot OSも強化されています。

新iRobot OSの注目機能は「Dirt Detective(ダートディテクティブ)」。これは、掃除中にゴミの量を検知して「どの部屋が汚れやすいか」「どの部屋がどれくらいの期間で汚れるのか」などを学習する機能です。学習後は汚れている部屋から順番に清掃するなど、アプリが家中を効率的に掃除するための清掃プランを提案してくれます。

  • 専用アプリのダートディテクティブ画面。過去の学習結果から、汚れているであろう部屋を濃い緑で表示。汚れにあわせて吸引力や水掃除時の水分量の調整もできます

以上、気になる新ルンバ j9シリーズの抑えておきたいポイントでした。さまざまな新機能が搭載されましたが、筆者がとくに気に入ったのは新クリーンベースのデザイン。現在、ルンバ以外の水拭き対応ロボット掃除機が水タンク内蔵の充電ドックを付属していますが、多くはドック上部が開く構造です。

ルンバ コンボ j9+の新クリーンベースは前面をドア式にすることで、ドック上部を机のように利用できます。ドック天面は木目調なので、一見すると小さな家具のようにも見えます。水タンク内蔵ドックはどうしてもサイズが大きくなりがちですが、「どうせ大きいなら活用できるようにしよう」といういわば逆転の発想はさすがアイロボット。いままで充電ドックは「できれば隠したい家電」の筆頭クラスでしたが、新クリーンベースはむしろソファなどの横に置いておきたいと思わせてくれました。