アイドルグループ・Hey! Say! JUMPの中島裕翔が主演を務めるPARCO劇場開場50周年記念シリーズの舞台『ひげよ、さらば』の初日前会見と公開ゲネプロが8日、渋谷・PARCO劇場で行われ、中島、柄本時生、音月桂、忍成修吾、石田佳央、一ノ瀬ワタル、屋比久知奈、中村梅雀、蓬莱竜太氏(脚本・演出)が登壇。一同が意気込みを語った。
■児童文学の傑作を舞台化『ひげよ、さらば』
上野瞭氏が1982年に理論社より出版した児童文学の傑作を原作に、蓬莱竜太が脚本・演出を手掛ける同作は、野良犬たちに狙われている野良猫たちを描く。統率力を持って動く犬たちに、勝手気ままに暮らす猫たちが住む峠が支配されるのは時間の問題であった。そして猫の片目(柄本時生)は、一匹だけそんな状況に危機感を持っていた。ある時、峠に記憶をなくし自分の名前しか覚えていない猫・ヨゴロウザ(中島)が辿り着いてくる。片目は野良犬たちと対抗する組織を作るためにヨゴロウザを峠のリーダーに担ぎ上げ、頑なな心を持った峠の猫たちも、リーダーシップを発揮していくヨゴロウザに対して徐々に心を開いていく。
■中島裕翔「チームワークがすでにもう出来上がっている」
記憶をなくしたヨゴロウザを演じる中島は、2021年の『ウェンディ&ピーターパン』以来、2年ぶりの舞台出演となる。初日を前に「いよいよだなという気持ちと、期待感と緊張感」と心境を語りつつ、「でもすごく安心してできる座組というか。和気あいあいとしていてチームワークがすでにもう出来上がっているので、何があっても大丈夫だろうなと。身を任せてやりたいです。すごく楽しみですね」とカンパニーの絆を語った。そんな中島と舞台では初共演となる片目役の柄本が「とても緊張しております」と口を開くと、一同は「ウソだ!」と総ツッコミ。柄本は「意外と“緊張しい”よ?」と説明しつつ、「一生懸命頑張りたいです」と意気込んだ。
演出・脚本の蓬莱氏は「とてもワクワクしていますし、どうなるだろうという気持ちです。お客さんの前で芝居を見ていただくことが僕たちの力になっていくと思いますので、楽しみにしています」と客席の反応に期待。学者猫役の音月も「舞台ってお客様の反応も感じながらどんどん育っていくものだと思うので、今は自分のできることをして、お客様のリアクションを楽しみながらできるといいなと思っています」と話す。さらに「裕翔くんが“和気あいあいとしてる”って言ってたんですけど、稽古場では皆さんどんどんチャレンジする、アスリートのように高みを目指す方ばかりだったので、私もそこに便乗して、お芝居ができたら」と、カンパニーの雰囲気を伝えた。
オトシダネ役の忍成は「稽古入ってからあっという間で、もう初日かと。通すたびに熱量が上がっていってるので、小屋に入って、場当たりして、ゲネで通して、またさらに熱が上がるんだろうなとすごく楽しみにしています」とコメント。この中では唯一の犬・ナキワスレ役の石田が「ド緊張してます」と吐露すると、中島は「一番見えない!」と驚き。石田は「ヒットマンみたいな格好をさせていただいて、一言も噛めないような役」と笑い、「蓬莱さんが素晴らしい本を書いてくださって、“満を持して”感がものすごく強いので、ド緊張しております。頑張ります」と気を引き締める。
黒ひげ役の一ノ瀬は「俺、猫好きっすから」と猫を演じることに意欲を見せ、「野良猫と野良犬の話なんですけど、もう野良猫大変やなって。俺はこの作品で、二本足(今作の人間の呼び方)が、少しでも猫や犬に優しい世界になればいいなと思って頑張りたい」と壮大な目標を掲げると、一同は爆笑。中島は「確かにそういうメッセージもありますからね」と笑顔でフォローした。星からきた猫役の屋比久は「素晴らしい皆さんと素晴らしいものを作り上げてきたと思うので、お客様が見てどう思うのかが私自身とても楽しみですし、その反応を楽しみながら精一杯頑張りたいと思います」と語る。くずれ猫役の中村は「ものすごい運動量の作品。皆本当にアスリートっぽく頑張れる人たちで、すごいなーって。僕は彼らのほぼ2倍生きてるので、だんだんキツくなってきたなと思いつつ」と体力勝負の演目の苦労をにじませると、中島は「キツくなってその俊敏さですか!」とビックリ。中村は「お客様のパワーに助けられてどこまで乗っかっていけるかなと。怪我ないように千秋楽を迎えたら」と気合いを入れた。
■演出・脚本の蓬莱竜太氏「猫たちと科学反応起こす中島くんが見どころ」
今作の見どころについて蓬莱氏は「中島くん演じるヨゴロウザは、記憶をなくした無地のキャンパスが、いろんな色に染まって、最後に自分の色を見つけるような変化を見せていく、個性ある猫たちと科学反応を起こしていく中島くんが見どころかなと思います。それぞれの猫の生き方がこの作品を面白くしてくれると思うので、そういうところを楽しみに見てくださったら」と呼びかけた。
会見では、キャストのコメントにツッコんだりフォローしたりと細やかな対応を見せていた中島。「PARCO劇場開場50周年シリーズということで、こんな素晴らしい節目に、素晴らしいストーリー、キャスト、スタッフに囲まれて、恵まれて舞台に立てるということは、自分にとって光栄なことです」と感謝し、「猫の設定を借りて人間ドラマを描いていくという面白さだったり、それに乗っかる演劇の面白さだったり、いろいろなエンタメ性が詰まっている、未だかつて見たことないような舞台になると思いますので、楽しみにしていてほしいなと思いますし、千秋楽まで無事に頑張りたいです。見に来てくださる方だったり、応援してくださる方、そしてこの座組のために、一生懸命やりたいなと思います」と力強く語った。
東京公演は、9日~30日に渋谷・PARCO劇場で、大阪公演は、10月4日~9日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで上演される。