JR東海は7日、中央新幹線への導入をめざし、打音検査のロボットによる自動化に向けて開発を進めてきた「トンネル検査ロボット」のプロトタイプが完成したと発表した。
「トンネル検査ロボット」は、接触式検査装置を取り付けたロボットアームとレーザー測量機で構成され、自動でトンネル壁面に接触式検査装置を押し当てて打撃を加え、振動を直接取得してコンクリート内部の状態を評価するしくみとなっている。
現在、トンネル内の打音検査は現在、人力で行っており、壁面をハンマーで複数回打撃し、音や感触の違いによってコンクリート内部の状態を評価している。これをロボットに置き換える場合、音を検知する際に周囲の作業音等の影響を受ける可能性があった。JR東海は、壁面を打撃したことで起きる振動をセンサーで直接取得することにより、従来と同等以上の正確な検査を行う装置を開発。ロボットアームを活用し、移動しながら連続的に検査できるため、作業効率も向上するという。
内壁と検査装置の位置関係や、壁面の状態をレーザー測量機であらかじめ測定し、その結果に従ってロボットアームを自動制御する方式も開発。これにより、コンクリート内壁の形状のばらつきにかかわらず、検査装置を壁面に一定の力で押し付け、連続的に検査を行えるようにした。
従来の打音検査は高所作業を行う検査員の身体的負担が大きく、また個人の経験にもとづく技量による面もあったが、「トンネル検査ロボット」の導入で、検査員の身体的負担軽減や作業時間短縮といった効果が期待できるという。検査の安全性と効率性も向上し、検査員の経験に依存しない正確で均質な検査の実現にもつながるとしている。
今年度末まで小牧研究施設と山梨実験線で検証試験を実施し、基礎技術の確立をめざす。その後、トンネル区間の多い中央新幹線への導入をめざし、試験の実施を検討する考え。在来線や新幹線のトンネル検査への適用についても検討していくとのこと。