三井不動産は、地域防災イベント「東京ミッドタウン八重洲 防災フェス2023」を開催。所有する施設においての「安心安全への取り組み」を地域コミュニティにも拡大し、災害に強い街づくりに貢献する取り組みなどもイベントにあわせて発表した。
八重洲、日比谷、日本橋にて防災フェスを開催
関東大震災から100年が経過し、地域防災を考える場として三井不動産では「防災フェス2023」を実施し、8月30日に東京ミッドタウン八重洲にて開催。続く9月19日に東京ミッドタウン日比谷、9月26日に日本橋室町・福徳の森にて開催予定となっている。
八重洲ミッドタウンの会場では、起震車体験やVRを使った防災体験車、液状化現象の体験、消火器や放水体験など、さまざまな体験ブースが用意され、近隣小学校の児童や地域の方々など多くの人々が参加した。
三井不動産によるさまざまな防災への取り組み
三井不動産では施設および地域の安心安全において、大きく4つの取り組みを行っている。
その1つが「地域防災への寄与」で、今回実施された地域防災イベント開催のほか、有事の際には施設に帰宅困難者を受け入れる用意をしている。また解体前のビルを活用したエンジンカッターによるドアの開口・破壊訓練など、東京消防庁と協定して稼動中のビルではできないような実践的な合同訓練を実施。こちらは2023年10月にも日本橋において地域の消防団や懲戒とも連携して実施予定となっている。さらに日本橋、豊洲、八重洲には高い耐震性を持つ地域電力を備えており、災害時や非常時には地域企業の事業継続に貢献できるという。
続いて「組織・スタッフ教育」においては、事業者である三井不動産、運営管理を担う三井不動産ビルマネジメント、ビルメンテナンスを担う三井不動産ファシリティーズが三位一体となり、非常時対処を明確に一本化。
2020年には「三井不動産 総合技術アカデミー」を柏の葉に開口しており、平時の技術力のみならず有事の実践力向上を狙い、多彩なトラブルを想定した訓練を繰り返し実施している。また、共通のプレイルームを設けてスタッフ間の円滑なコミュニケーションを図っており、ロッカールームなどではプライバシーに配慮。仮眠室はカプセルホテルスタイルを採用し、より快適に過ごせるようにしている。
「建物の災害対策」においては、災害対策総括本部として常設の「危機管理センター」を設置した。全国11都市と接続し、災害発生時には司令塔として機能。管理職による宿日直体制をとっており、対策本部設置訓練を毎日実施し、不測の事態に備えている。管理ビルは約150棟にのぼり、災害時のバックアップ体制を支える複数の通信手段を確保。約70棟には、地震発生から約10分で建物の被災度を判定することができるシステムを導入しており、館内在留の可否を迅速に案内することができる。このシステムは専用ネットワークにより危機管理センターで操作が可能となっており、この仕組みは東日本大震災以前からすでに主要ビルに導入していたという。また、コロナ禍以降に多く利用されていたものの、最近は利用機会も減っているアクリルパーテーションを再利用したヘルメット「アクリメット」を作成するなど、新しい取り組みも行っている。
最後に「DXの活用」においては、テナント向けのオンライン防災情報サイトを開設。パソコンやスマートフォンから閲覧することができ、災害発生時になすべきことを体系化し、映像や写真でわかりやすく解説しているほか、利用ビルの避難経路などが確認できるようになっている。
また、三井不動産がフューチャー株式会社と共同で新たに設立したアンドレジリエンス株式会社では、災害時の行動強化を支援するデジタル訓練サービス「&Resilience」により、BCP(事業継続計画)における課題解決に取り組んでいる。「&Resilience」では、会員に向けて文書を作成しておくことではなく、より迅速に行動できるようになるための課題発見を目的とする訓練を実施し、改善していくことを大きな目的としている。”失敗する訓練”を通して課題を発見し、不測の事態においてもスムーズに動けるようにしておくことこそが、取り組みの本質とした。そして、課題を「見える化」した後に「出来る化」へと繋げられるよう、訓練などにより、災害発生時などに素早く動けるように態勢を整備する。
また、オンラインで設問に答えるだけで脆弱性を知ることができる診断や、災害発生を疑似的に体験できるオンデマンドコンテンツ、課題抽出と対策実施を簡単に管理できるITツールなども提供し、必要な項目を網羅したBCP文書の作成までサポート。今後もより多くの日本企業がBCPにおける課題を解決できるよう、取り組んでいくという。