カラフルなデスクや椅子、カフェのような休憩スペース、ゆったりとソファに背を預けてパソコンワーク……ドラマに出てくるようなオフィスには憧れるものの、まるで現実感がなかった筆者にコクヨ北海道販売から「札幌ライブオフィス」公開の案内が届きました。
アフターコロナの働き方、オフィスのあり方を考え続けているという同社が、今どのような提案をしようとしているのか、リニューアルしたばかりだという同社のオフィスをリアルに体験してきました。
今年のリニューアルコンセプトは「moviiing」
今の時代に必要とされるであろうオフィス空間のヒントとして、来場者に同社オフィスでの働き方を公開する取り組みが「ライブオフィス」です。コクヨ北海道販売の社員にとっては、まさに日常の職場そのものです。
本取り組みをスタートさせたのは、2017年。以降、時代によって移り変わるビジネストレンドを反映させながら年に1回リニューアルを続けているそうです。
経営管理部 部長 寺澤亨さんは「今はアフターコロナの働き方について多くの企業が模索し、オフィスの役割を見直す動きが活発です。特にリアルコミュニケーションに対するニーズの高まりを感じています」と解説します。
このような時代背景を踏まえ、今年のコンセプトづくりに同社の若手社員数名が春から議論を重ねてきました。リーダーは、チャネル営業部 ファニチャーグループの石郷(いしごう)友子さんです。
「制限が多かったコロナ禍を経てアフターコロナのオフィスには何が求められるか、チームみんなで意見を出し合いました。そして、『動き』をキーワードにコンセプトを練り上げたんです」(石郷さん)
そして、「moviiing〜心を動かす 人を動かす オフィスを動かす〜」をコンセプトに同社のオフィスをリニューアルしました。
部署や役職を超えたコミュニケーションが活発に!
テレワークやweb会議などコロナ禍をきっかけに多様な働き方が普及しましたが、オフィスでのリアルなコミュニケーションが減っているという悩みをかかえる企業が多くなっているそうです。
「札幌ライブオフィス」には、社員間・世代間・部署間の円滑なコミュニケーションを促すためのさまざまな提案やアイデアが散りばめられています。
まずは、フリーアドレスの採用。その日の仕事内容や気分に応じて役員も新入社員も好きな席に着くことにより、部署や役職を超えた自然なコミュニケーションが生まれやすくなります。
また、数名から多人数での打ち合わせが増えてスペースが不足しているという課題を解決するために、キャスター付きの机とチェアを使ってフレキシブルにスペースを活用する方法を提案しています。
「話しかけたくても会議室に入ってしまっていたら状況がわからず遠慮してしまいがちです。フリーアドレスや可変性のある打ち合わせエリアによって相手の様子がわかりやすく、相談するタイミングを逃さずにすみます」(石郷さん)
さらに、もっともカジュアルにコミュニケーションをとりやすいのが、「DAYS カフェ」と呼ばれるエリアです。
社員が気軽に立ち寄れるよう、フロアーのほぼ中央に配置。ドリンクなどでリフレッシュするのはもちろん、リラックスモードで仕事をすることで質の高いアイデアや結果が生まれやすくなっているそうです。
周囲を気にせずに集中できるクローズ空間にも注目!
オープンでフレキシブルなオフィス環境はとても魅力的ですが、もっとも配慮が必要になるのは周囲の「音」でしょうか。電話やweb会議、作業に集中したいときなどには、特に気になるでしょう。
同社は、この課題にも力を入れて取り組んでいます。
数名でのweb会議やミーティングに適したこちらのブースを囲っているのは、吸音パネルです。
実際に中へ入ると、外の音が気にならなくなり、お互いの声がクリアに聞こえるので声を張り上げる必要はなさそうです。パーティションタイプもあるので、ミーティングエリアとワークエリアを隔てるなど必要な場所に設置できます。
こちらはweb会議や電話をするときに最適な一人用ブース。外部の音が遮断され、換気や温度調整にも配慮している快適空間です。オフィスをはじめ最近は大学からも関心を寄せられているそうです。
「就活ではweb面接が増えましたが、自宅でその環境を整えるのは難しい人も多いでしょう。そのような学生にこの一人用ブースを貸し出している大学もあり、幅広く活用されています。まさに今の時代を象徴するような商品です」(寺澤さん)
さらに一人で集中して仕事をしたいときには、こちらのスペースにおこもりできます。吸音パネルに囲まれたソロブースです。
「細かい数値の計算をするときなどによく使っています」と石郷さんは時間を忘れるほど集中できると言います。
職場を見れば働く場を想像しやすい
今回紹介した他にも心くすぐられるポイントが満載の「札幌ライブオフィス」。
ハードとしての家具を展示するショールームとのいちばんの違いは、その活用方法まで提案してくれること。カタログだけでは自分の会社に合うかどうかイメージしにくいものですが、実際の職場を見て、使ってみるとオフィスをどう創り上げていくか想像しやすくなるでしょう。
同社ではオフィス見学の機会を随時希望に応じて調整・対応しています。
「わざわざ出勤したくなるオフィス、家より仕事がしやすいと感じられるオフィスを私たちはご提案していきます。実際、弊社の社員からも評判がいい今年のオフィスをより多くの方にご覧いただきたいです!」(石郷さん)
今回一緒に参加した人たちから「へぇ~」「なるほど」とたくさんの歓声が聞こえていました。
ジロジロ見られる社員は落ち着かないのではと少々同情しましたが、それ以上に同社の取り組みに対する自信や誇りを感じられる「ライブオフィス」でした。