俳優の甲本雅裕が、21日に放送されるテレビ朝日系ドラマ『遺留捜査スペシャル』(20:00~)のメインゲストとして出演、レギュラーキャラクター・村木繁とあわせ1人2役に挑戦することが7日に分かった。
■『遺留捜査スペシャル』メインゲストに1人2役・甲本雅裕が登場
事件現場に残された“遺留品”が持つ意味を徹底的に探り、声なき遺体が訴えたかったメッセージを代弁、事件そのものを解決するだけでなく、遺族の心情をも救う優しさと超マイペースで空気を読まない不思議キャラで視聴者を虜にしてきた刑事・糸村聡(上川)。彼の活躍を描くミステリー『遺留捜査』の新作スペシャルの放送が決定した。2022年夏クールにお送りした第7シーズンで歴史ある「木曜ミステリー」枠のフィナーレを飾ってから1年、糸村がスペシャルで帰ってくる。
最新スペシャルの舞台は、瀬戸内海に浮かぶ架空の島、“蒼海島(あおみじま)”。そして、京都市内で不動産会社の営業スタッフ・坂上千尋(横山めぐみ)の遺体が見つかったことから物語が始まる。調べたところ、彼女はかつて蒼海島出身の男性と結婚し、島で暮らしていたことが判明。さらに最近、蒼海島の土地売買をめぐって島民とトラブルを起こしていた事実も浮上する。そんな中、糸村は被害者が持っていた神秘的なガラス玉に魅せられ、蒼海島のガラス工房へ。そこで出会ったのは被害者の元夫でガラス職人の相良克典(甲本)。彼は殺された千尋の元夫であり、島の土地売却を強引に進めようとする千尋に強い憤りを抱いていたようで――!?
第1シーズンから『遺留捜査』の世界になくてはならないキャラクター・村木繁を演じてきた甲本が本作ではメインゲストとしても登場、村木はもちろんのこと、事件の鍵を握るガラス職人・相良克典を演じる。甲本は今回のチャレンジについて「“2役になるかも……”ということはだいぶ前にお聞きしていたのですが、村木に似た人物が糸村さんの前をちょっと横切るぐらいかなと思っていたんです。ふたを開けたら、メインゲストだったので冷や汗が出ました(笑)。でも10年以上関わってきた『遺留捜査』をまた別の角度から見ることができることにすごくワクワクしました」と胸躍らせつつ、「“村木に似ている人が出ている”のではなく、“たまたま相良に似ていたのが村木だった”という物語になればいいなと思いながら撮影に挑みました」と真摯にそれぞれの役柄に向き合ったことを明かした。
■ゲストに横山めぐみ・小越勇輝ら レギュラーメンバーも集結
新作スペシャルにはそのほかにも豪華ゲストが。被害者であり、相良の別れた妻でもある坂上千尋役を演じるのは横山。何者かの凶行によって帰らぬ人になってしまった彼女の人生を強くやさしく、そして美しく表現する。また、相良と千尋の間に生まれた娘・波琉を小西桜子が熱演。千尋が土地の売却を交渉していた蒼海島の地主・桂木慎之介は小野武彦が演じる。一見、好々爺然とした桂木は捜査のために島を訪れた糸村たちを温かく迎えるが、何かを隠しているようで……。小越勇輝は蒼海島の所轄署の新人刑事・阿波野健作役で参戦。もちろん神崎莉緒(栗山千明)、佐倉路花(戸田恵子)、雨宮宏(永井大)、沖田悟(戸塚純貴)ら、個性豊かな特対メンバーも集結する。
■上川隆也(糸村聡役)×甲本雅裕(村木繁役)コメント
――甲本さんが2役を演じるというストーリーを聞いたときのお気持ちを教えてください。
上川:脚本をいただいたときから、甲本氏がどんなお芝居を作品に持ち込んでくれるのか、撮影を心待ちにしていました。やはり演じる人物が違えば、お芝居の組み立て方から物語のとらえ方まで変わるんだということが如実に表れ、共演13年目にしてとても新鮮でした。
甲本:“2役になるかも……”ということはだいぶ前にお聞きしていたのですが、村木に似た人物が糸村さんの前をちょっと横切るぐらいかなと思っていたんです。ふたを開けたら、メインゲストだったので冷や汗が出ました(笑)。でも10年以上関わってきた『遺留捜査』をまた別の角度から見ることができることにすごくワクワクしましたね。上川くんとも話したことですが、“村木に似ている人が出ている”のではなく、“たまたま相良に似ていたのが村木だった”という物語になればいいなと思いながら撮影に挑みました。
――2役それぞれのシーンを続けて撮影することもあったとうかがいましたが、2役の面白さ、難しさとは?
甲本:映像で2役を演じるのは初めてでしたが、村木はそもそもカーリングでいう“もぐもぐタイム”。一方、相良という役柄はまさに完全試合中の投手のような、真剣勝負で挑むキャラクター。それほど違うので、難しいというより、むしろ楽しくて……。今まででいちばん遺留捜査を楽しみましたね。村木でも十分楽しいと思っていたのに、“こんなに楽しいんだーー!”って思いました。
上川:僕は甲本雅裕という役者の演じわけ、そして、役への没入の度合いをそばで見て、感心しきりでした。改めて彼の素晴らしさを再認識したといいますか、とても新鮮でしたし、甲本という男の役者ぶりを惚れ惚れしながら見ていました。でも、彼がいちばん長く糸村という人物と相対しているにもかかわらず、初めて相良さんと糸村が出会うシーン、何回やっても笑うんですよ。本当は笑ってはいけないシーンなのに、会った瞬間、顔がほころんでしまう。「どうして笑うの」と聞いたら、「糸村ってこんなに変な人だったんだね」って(笑)。
甲本:いや、本当に今までのゲストのみなさんは糸村さんが突然現れたとき、よく笑わなかったなと思いましたよ。今回、相良を演じてみて、糸村さんって本当に不思議な人だなって再認識したというか、そんな人物を主人公にしたシリーズが10年以上続いていることに改めてビックリしました(笑)。
――“糸村木”のシーンはお2人で練り上げながら撮影されると聞いていますが、相良と糸村のシーンのお芝居はどのように作り上げたのでしょうか?
甲本:もちろん相良のシーンでも上川くんに相談しましたし、村木は村木で撮影のたびに相談しました。今回、ひとつ上川くんにお願いしたのは、この作品の中で相良と村木を結びつけられるのは糸村さんだけなので、糸村さんが科捜研に現れたとき、2人をつなぐような芝居を盛りこめたらいいな、と。それがどんなふうになっているかは放送を見ていただいてのお楽しみです。
上川:何を置いても“作品愛”です。彼はすべてにおいてみなさんに作品をどう楽しんでいただくかというところから発想しているので、だからこそ村木としてはっちゃけますし、相良としての立ち振る舞いを削り込むように作っていきます。その“愛”は、今回のスペシャルの随所に感じられると思います。
甲本:それを言うなら何を置いても、やっぱりこの『遺留捜査』は、最後の3分間じゃないですか! 今回、メッセージを受け取る側で立ち会えたことはうれしかったですね。糸村さんが僕に向かって話しかけてくれるっていう……それはもうたまらんものがありましたよ。あやうく芝居を忘れそうになる瞬間もあって、幸せでしかなかったです。上川くんってやっぱりすげぇって思いました。
――新作スペシャルのみどころを教えてください。
上川:今回は大きく2つ。甲本氏の2役と舞台となる岡山の島々の風景です。それが何よりご覧いただきたいところで、そういう意味では全編がみどころといえます。
甲本:今、上川くんが言ってくれたことに尽きますが、見終わったあとみなさんに“やっぱり『遺留捜査』だな”と思ってもらえたら最高! そこがみどころだと思っています。