「勘弁してください」は、相手からの要望や依頼を断りたといときに使える言葉です。日常会話だけでなくビジネスシーンでも見聞きしますが、目上の人に使っていいのか悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、「勘弁してください」の意味や正しい使い方・例文を解説するとともに、類語・言い換え表現や英語表現についても紹介します。
「勘弁してください」の意味とは?
まず、「勘弁」という言葉は辞書で以下のように説明されています。
かん‐べん 【勘弁】
過失を許したり、すべきことを免じたりすること。堪忍。
『広辞苑 第七版』
つまり、「勘弁してください」は「許してください」という意味になります。ただし、許しを請うというよりは、「これ以上はやめてください」「見逃してください」といった意味合いで使われることの方が多いです。
ビジネスシーンにおいては、主に相手からの要望や依頼を断りたい場面で使われます。
「勘弁してください」の正しい使い方・例文
「勘弁してください」は、否定的・直接的な意味の言葉を角の立たない言い回しにして伝える婉曲表現の一種です。
相手の要望や依頼を断りたい場合に、「できません」や「不可能です」のように直接的な言葉を使って断ると、相手に不快な思いをさせる可能性があるでしょう。そこで代わりに「勘弁してください」を使うと、はっきり断るよりも柔らかい印象を与えられます。
目上の人に使える敬語?
「ください」は「くださる」の命令形で、「くださる」は「くれる」の尊敬語です。つまり「勘弁してください」は敬語になりますが、ビジネスシーンではより丁寧な敬語表現である「ご勘弁ください」を使うのが一般的です。
ただし、敬語表現であっても使う相手には注意した方がいいでしょう。日常会話では「勘弁してください」を「いい加減にしてくれ」という相手に非があるようなニュアンスで使うことも多いため、場合によっては失礼だと思われてしまう可能性があります。
目上の人に断りを入れたい場合は、他の言い回しを使った方がいいかもしれません。
ビジネスシーンで使える例文
・これ以上は予算を捻出できないので勘弁してください
・今回はこの条件で勘弁してください
・改修は現実的に厳しいのでご勘弁ください
・工数が足りないため、本件についてはご勘弁ください
「勘弁してください」の類語・言い換え表現
「勘弁してください」と似た意味合いで使われる言葉や、言い換え表現を紹介します。
ご容赦ください
「ご容赦ください」は「勘弁してください」と同じく、「許してください」という意味の言葉です。ただし、ビジネスシーンでは主に「ご理解ください」という意味合いで使われます。
【例文】
・上記理由により納期が遅れますが、ご容赦くださいませ
・準備中のため、詳細についてはご容赦ください
堪忍
「堪忍」は、「怒りをこらえて人の過ちを許すこと」という意味を持ちます。勘弁と近い意味合いですが、ビジネスシーンではあまり使われません。
【例文】
・やむを得ない事情があったので堪忍してもらった
・今回だけは堪忍してほしい
寛恕
「寛恕」は「かんじょ」と読み、「過ちを咎めずに寛大な心で許すこと」という意味を持ちます。許してほしいときや大目にみてほしいときに「ご寛恕ください」という表現で使えますが、あまり一般的な言葉ではないので、相手に瞬時に理解してもらえない可能性がある点には注意しましょう。
【例文】
・本件のみ後日の案内となりますが、ご寛恕ください
・こちらの分お値引きいたしますので、ご寛恕くださいませ
「勘弁してください」の英語表現
「勘弁してください」を英語で言いたい場合に使える表現を紹介します。
forgive
「forgive」は「許す」「勘弁する」などの意味を持つ言葉です。「Please forgive me」で、「許してください」という意味になります。
【例文】
I beg you to forgive me. (どうか許してください)
Will you forgive me? (許してくれますか?)
excuse
「excuse」も「許す」「勘弁する」という意味の言葉です。「excuse my ~」で「~をお許しください」という意味になります。
【例文】
Excuse my poor pronunciation. (下手な発音を、お許しください)
give me a break
「give me a break」は直訳すると「休憩をください」になりますが、「勘弁してください」 という意味合いで使われるフレーズです。
【例文】
Please give me a break, I don't have time. (時間がないので勘弁してください)
「勘弁してください」を正しく理解して使おう
「勘弁してください」の意味や正しい使い方・例文、類語などを紹介してきました。
「勘弁してください」は「許してください」という意味ですが、ビジネスシーンでは「これ以上はやめてください」「見逃してください」という意味合いで使われます。相手からの要望や依頼を、角が立たないように断りたいときに使える表現です。
ただし、日常会話では「いい加減にしてくれ」という意味合いで使われることも多く、失礼だと思われてしまう可能性もあるので、ビジネスシーンでは使う相手や場面に注意しましょう。