トヨタ自動車の商用車「プロボックス」は高品質かつプレーンなクルマなのでカスタムのベース車両にピッタリだが、それゆえにカスタムを手掛ける業者も増えているらしい。そんな中、専門店のプロボスタイル(PROBO STYLE)が作りだしたのが「釣り」に特化した1台だ。実際に車両を見ながら特徴を聞いてきた。
プロボックスのカスタムはアイデア勝負?
釣具のシマノでインストラクターを務める“ショア侍JOE”こと湯川マサタカさんとのコラボで2023年6月に完成したばかりの同モデル。普段は実際に湯川さんが愛用しているというが、プロボスタイル社長の長尾圭二さんによると、希望があれば全く同じスタイルで誰でも購入することができるそうだ。
アングラーとのコラボだけあって、このクルマには釣り人に嬉しい装備がいろいろと付いている。
例えば、ラッゲジスペース上部のロッドホルダーは釣竿をそのまま収納できるので、釣り場に着いてすぐに釣りをすることができるし、帰る際も楽チンだ。
ルーフの専用ボックスも、釣り人の使い勝手を考えたアイテムだという。長尾さんはこう語る。
「やっぱり、釣りをしていると服が濡れたり汚れたりすることが多いんです。そんな時は着替えますが、このボックスは完全防水なので、濡れた服をそのまま入れても水滴がボトボトと落ちてきません」(以下、カッコ内は長尾さん)
後部座席を倒してラゲッジスペースと一体化させれば就寝スペースとしても使える。
「釣りに行くときは車中泊をすることもあります。このクルマはラゲッジスペースに板を敷いてあるのですが、フラットにすればここで寝ることができます。ロッドホルダーに釣竿を格納しておけば、就寝スペースの邪魔にもなりません」
このカスタム車を製作するにあたっては、実際に釣り人から話を聞いて参考にしたと長尾さん。自身も釣りが趣味だというから説得力も抜群だ。
商用車の弱点を改善?
最近はプロボックスに乗用車として乗る人も増えているが、元来が商用車であるため、乗り心地が弱点として指摘されることは少なくない。そのあたりを考慮して、プロボスタイルでは乗り心地を改善するためのカスタムも施しているという。
「シートを新しくして2cmの厚みを持たせていますから、座り心地はいいんです。リフトアップをスプリングのみで行っているのも乗り心地を考慮しての工夫です。乗っていただけば、商用車とは一味違う感触を体感してもらえると思います」
そうなると気になるのが販売価格だが、長尾さんによれば、そこにもプロポックスならではの強みがあるという。
「プロボックスは、やっぱり安いです。新車のハイブリッドでも、上位グレードでなければ200万円くらいで手に入ります。今回のクルマも、パーツの部分しか塗装を変えていないので、そこまでコストはかかっていません」
プロボックス人気の高まりでカスタムを手がける競合も増えているというが、この動きを長尾さんは好意的に捉えている。
「プロボックスのカスタム車に乗られる方、プロボスタイルに来られる方は、以前は『コア』なお客様が多かった印象ですが、今はプロボックスを選ぶユーザーの母数が増えています。確かに競合も増えましたが、お客様は気に入ったスタイルで分かれていく感じで、当社のシェアも落ちていません。今回の『釣り特化型』のように、今後もアイデア次第で戦っていけると思うので、プロボックスの可能性はまだまだあると思います」