独Maxonは9月5日、同社のベンチマークソフトの新版「Cinebench 2024」をリリースした。同ツールはクロスプラットフォーム対応のCPUベンチマークソフトとして広く利用されているが、今日のクリエイターやデザイナー、開発者のニーズに応えられるように、約10年ぶりにGPUベンチマークを復活させた。また、AppleのApple Silicon(M1/M2シリーズ)などArm64アーキテクチャもサポートする。Cinebench 2024は、Maxonの公式Webサイトからダウンロード入手できる。

Cinebenchのようなベンチマーク・ツールは、システム管理者、アナリストやジャーナリスト、ハードウェア開発者、そして編集者、映画制作者、モーションデザイナー、視覚効果アーティストといったクリエーターやアーティストに活用が広がっている。クリエイティブな分野を中心に、ユーザーがより高度で複雑なプロジェクトに取り組み、ワークフローの要求にCPUとGPUの両方の総合的な能力評価が求められるようになった。そうした現場における性能評価のニーズの変化に応じて、MaxonはCinebenchの性能評価の再構築に乗り出した。

Cinema 4DのデフォルトレンダリングエンジンであるRedshiftをCinebench 2024に統合。高いCPU負荷でPCが安定して動作するか、厳しい3Dタスクにマシンが対応できるか、ユーザーの実行タスクに対する冷却ソリューションの効果など、モダンな環境におけるCPUのベンチマーク精度が向上している。CPUパフォーマンスの向上に加えて、対処しなければならないユーザー環境の要求が高まっており、マルチスレッドレンダリングテストでシーンの計算量をCinebench R23の6倍に増加させた。ユーザーはより新しい命令セットを利用することで、複雑でメモリへの要求が高いモダンなプロジェクトを測るベンチマークを得られる。

さらにCPUに加えて、GPUパフォーマンスに関する洞察も提供する。ベンチマークプロセスが合理的になるように、CPUとGPUの両方のテストに同じシーンファイルを利用しており、CPUとGPUが関わるタスクにおいてワークフローを改善するのにどちらの強化を優先するべきか、ユーザーはそれぞれのパフォーマンスを比較して判断できる。

また、WindowsとmacOSのx86/64アーキテクチャ(Intel/AMD)に加えて、Apple SiliconやSnapdragon computeプラットフォームなどArm64アーキテクチャもサポートし、ハードウェアの新たな領域に対応する。GPUは、AMD、Apple、NVIDIAのグラフィックプロセッサをサポートし、マルチGPUセットアップの評価も可能。

性能評価の基準を見直したことで動作要件は高くなった。メモリフットプリントの増加により、CPUテストに少なくとも6.5~8.5GB(CPU構成による)のメモリが必要で、最小必要メモリが16GB以上に設定されている(Macでは8GBでもCPUテストの実行が可能だが、ページングの影響を大きく受ける)。GPUテストの要件は、GPUメモリが8GB以上。ユニファイドメモリのApple Silicon Macはメモリ16GB以上が必要になる。