テクニカル分析専門サイト「テクニカルブック」は、投資での損失による生活への影響を調査する目的で、過去に投資をしたことがある270名を対象にアンケートを行った。
同調査は2023年8月10日~8月12日、ジャストシステム「Fastask」によるインターネット調査にて実施。調査の結果からは、生活に影響が出るような失敗を避けるためのヒントが見えてきた。
過去最大の損失を出したことによる生活への影響を質問したところ、最も多かったのは「特に影響はなかった」の40.7%という結果となった。このことからは、過去最大の損失を出しても、多くの場合は生活に影響が出ることはなかったことがうかがえる。
また、2位は「投資をやめた」の21.1%、3位は「投資に回す資金(保有するポジション)を減らした」の20.7%となっており、損失の影響で投資の取り組み方を変えざるを得なかったことがわかる。
なお4位は「日常生活費を削り家計の支出を減らした」で12.6%、5位は「旅行や趣味の支出を減らした」で11.1%となっている。少ないながらも、生活レベルを下げる影響が出た人も一定数いるようだ。
過去最大の損失金額については、上記グラフの結果となった。「100万円以上」の損失を出したのが26.2%となっており、4人に1人以上が「100万円以上」の損失を経験していることがわかる。
上のグラフは、過去最大の損失を出したことによる生活への影響の有無を損失金額別に集計したもの。これによると損失金額が「10万円未満」の場合は、「特に影響はなかった」と回答した人が69.8%と多数を占める結果となった。
一方で損失金額が「10万円〜49万円」になると、「特に影響はなかった」と回答した人は33.3%にまで大きく減少し、生活への影響が大きくなっていることがわかる。
さらに損失金額が「500万円以上」をみてみると、「特に影響はなかった」と回答した人は2割を切っており、8割以上が生活に何らかの影響が出たことがうかがえる。
最大損失を出した際の投資目的について質問したところ、最も多かったのは「短期的な利益獲得」の30.0%に。続いて多かったのは「長期的な資産形成」の23.7%、「定期的な収益/配当の獲得」の15.2%という結果となっている。
過去最大の損失を出したことによる生活への影響を、自由記述形式で募集した。結果は、余裕資金なので「大きな影響はなかった」人が多い一方で、「生活を見直した」という声も。投資への取り組み方によって、大きな失敗をした際の影響が異なることが推測できる。
以下では、寄せられたエピソードから18個をピックアップして紹介している。
・余剰資金でしたので、遊行費を節約するくらいでなんとかなりました。これもよい経験でした。(50代/男性/栃木県)
・泡銭だったので生活に支障はなかったが、貯金しておけばよかったなと後悔し気持ちが落ち込んだ。(40代/女性/埼玉県)
・生活への影響はない。影響するような無計画な資金投入はしない。(70代/女性/千葉県)
・生活に影響を及ぼさない範囲での投資をしている。(70代/男性/兵庫県)
・余剰金で運用していたため、特に生活への影響はなかった。(70代/男性/茨城県)
・余裕資金で投資しているので生活への影響はなかったが、他の資産(株式)を売却して穴埋めをした。(50代/男性/三重県)
・株式投資は金額の余裕の範囲で行ったし生活のレベルをあまり落とさなくできた。(70代/男性/岡山県)
・俗に言う 余裕資金だったので生活には影響なかったが、精神的に辛かった。(60代/男性/神奈川県)
・趣味の時間を減らした。旅行をやめた。(60代/男性/大阪府)
・家を買う時期が延びた。(50代/男性/東京都)
・趣味や投資資金などの費用全体を洗い直した。(60代/男性/東京都)
・会社員のときの貯金をほとんど吐き出して貯金が無くなった。(50代/男性/大阪府)
・生活費の見直しをし、月々のお小遣いを減らされた。(60代/男性/長野県)
・特に影響はなく半額になった外国債を売り払って別の投資に資金を投入しました。(50代/男性/福島県)
・投資をすっぱりやめた。(40代/男性/茨城県)
・海外移住が目的だったがまあ今でも諦めてはいないのでこつこつやっている。(70代/男性/北海道)
・投資に回せる資金が少なくなったので、取引回数が減った(60代/男性/広島県)
・投資に回すお金がなくなり、当面投資から距離を置いた。(50代/男性/山口県)
◆余裕資金で投資することで致命的な失敗を回避しやすくなる
今回の調査結果をまとめると、以下の通りとなった。
・生活への影響が出る場合は、投資の取り組み方が変わるケース(投資をやめた/縮小した)が最も多い
・余裕資金で投資をしているので生活に影響が出なかったケースが多い
・短期的な利益獲得を狙う中で最大損失を出した人が最も多い
以上の結果からは、投資において生活へ影響を与えるような失敗を経験した人は多くないことがわかる。また、生活への影響がある場合も、投資に対する取り組み方が変わるのみで、生活が苦しくなるというケースは限られているといえるだろう。
なお、大きな失敗をしても、余裕資金で投資をしていた人は、生活に大きな影響は出ていないようだ。投資はリスクを伴うが、適切なリスク管理のもと取り組むことで、致命的な失敗は回避できる可能性が高いといえるだろう。
同調査の結果を踏まえて「テクニカルブック」は、「投資に興味のある初心者の人が適切なリスク管理を行いながら資産運用ができるよう、有用な情報提供に尽力してまいります」と結んでいる。