夏休みも明けて、日本中の高校では2学期(あるいは後期)の授業が始まりました。写真部では、夏休みに撮った写真をプリントしたり、お互いに見せ合う時期ではないでしょうか。

夏の間、北海道東川町を中心に行われた写真甲子園のレポートをお送りしてきましたが、いくつかの出場校の監督(顧問の先生)に話を聞くと、1~2年生が来年の予選に向けてもう動き始めているとのことでした。1年生にもチャンスを与えるため、4月になってから本格的に撮り始める高校もあるようですが、早く始動するほうが有利なのはいうまでもありません。また明確な目標は、部員のレベルやモチベーションを高める効果もあります。

ぜひ多くの高校写真部に、2024年の写真甲子園を目指して頑張ってほしいと思います。というわけで、少しばかり写真で今年の写真甲子園を振り返ってみたいと思います。

  • 緯度の高い北海道は、沈んでいく太陽の角度が低く、夕焼けが本当に美しい。選手たちを追いかけていると、まさに青春の1ページといった雰囲気が。これからは全国各地でも夕日が美しくなる時期なので、放課後はぜひ生かして撮影を

  • 今回選手たちに渡されたのは「EOS RP」。使用する機材が全選手共通で、デジタル一眼レフになってからはエントリークラスの機種が用意される年が多かったが、ミラーレスに移行するとともにフォーマットもフルサイズへ。ボケを生かした表現がしやすくなった

  • 「なんかボケてよ!」「ボケても写真に写らないし」。そんな会話があったとかなかったとか

  • 1回目の公開審査会で課されたテーマは「あふれる」。そこで水を撮っていた選手も多かった。でも、ただあふれる水を撮っただけでは、審査のコメントが厳しくなる…ということも選手たちは把握済み。実に難しい

  • 水を追いかけるあまり、こんな状況になってしまった選手も。身体能力も問われる写真甲子園である

  • 「おはようございます! 写真甲子園でやってきました!」。人物狙いの高校は、撮影先でひたすらこれの繰り返し。でもこれがいい体験になる。なかには高校を卒業しても撮影先との交流が続くというOB・OGも

  • アポなし突撃よりも難しいのは子どもかもしれない。パパがアシストしてくれても、なかなか要望に応えてくれず…

  • ちなみに大会期間中、選手たちは支給されたロゴ入りの白いTシャツ(寄せ書きやペイントは可)を着用。その選手たちに、必ず黄色いTシャツを着た高校生が同行している。東川高校など近隣の高校生たちで、表彰式の最後に流すエンディングスライド用の写真を撮影しているのだ

  • 地元高校生たちによるもうひとつの写真甲子園は、華やかな大会の裏で、しかし本戦以上のハードスケジュールで進行している。最後のスライドでは涙を流す選手も…

  • 大会のマスコットはモモンガ。大阪の帝塚山学院高等学校は手作りのモモンガ人形を持参

  • 公開審査会のプレゼンもモモンガと一緒。ちなみに帝塚山学院高等学校の監督は、かつて同校の選手として写真甲子園に出場していた。教員として母校に戻り、そして写真甲子園にも戻ってきた

  • そんなふうに、監督たちにもドラマがあるのが写真甲子園。選手たちが記念撮影をしたあとは、同じポジションで監督たちの記念撮影も。ジャンプの高さが選手たちよりだいぶ低いのはご愛嬌

  • 監督も一生懸命だけど、選手たちは本当に精力的。あるとき、ふと遠くを見ると、配達中の郵便局員さんに声をかけて撮っている選手が。ちなみに後ろに写っている弁当屋さん、ひっきりなしにお客さんが買いに来ていた。きっとおいしいんだろうな…

  • 上の弁当屋さんの弁当は食べられなかったのだが、食は写真甲子園取材の楽しみのひとつ。とくに、東川町は水と米などの農作物に恵まれ、おいしい店が多い。これは町の中心街にある「讃岐うどん千幸」のとり天うどんと豚丼。いつも行列の名店

  • 表彰式でも「町民が選ぶ特別賞」や優勝校には、副賞として東川産の米が贈られる。プレゼンターも選手も、米俵が重たい!という芝居をするのがお約束

  • 初回から実に30年間も審査委員長を務め、今回で勇退する立木義浩氏にも小さな米俵が。「お、結構重たいぞ!」

  • 一時は男子選手が2~3人という時期もあった写真甲子園だが、2023年の今大会は57名中21人が男子。肩身の狭さはなくなったように思うが、終了後の選手交流会でも男子は男子でかたまるところが高校生らしい(笑)

野球の甲子園では、優勝した慶應義塾高校の「エンジョイ・ベースボール」が話題になりました。写真部にもぜひ「エンジョイ・フォトグラフ」を実践してほしいと思います。そして来年の夏は北海道東川町で、さらにエンジョイしてほしいと思います。