第49期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は、挑戦者決定トーナメント3回戦の永瀬拓矢王座―菅井竜也八段戦が9月4日(月)に東京・将棋会館で行われました。対局の結果、相穴熊の熱戦を115手で制した菅井八段が準々決勝進出を決めました。
菅井流の相穴熊
13度目となる両者の対戦(永瀬王座から見て7勝5敗)は、先手の菅井八段が得意の5筋位取り中飛車に構えてスタート。菅井八段は左辺で銀対抗の構えを作ったのち早くも穴熊の態度を明示します。後手の永瀬王座も居飛車穴熊で応じたことで本局の戦型は対抗形の相穴熊に落ち着きました。
菅井八段は4筋に飛車を転換して右辺から仕掛けの糸口を探ります。これを見た永瀬王座は右銀を繰り出して、がら空きとなった先手の角頭を狙いますが、ここから菅井流の指し回しを目の当たりにすることに。角取りをかけられた菅井八段がこの角をスパッと後手の金と刺し違えたのがその幕開けです。
菅井八段が攻め切って快勝
先手の菅井八段は立て続けに飛車を切って角を入手。瞬間的に飛車金交換の駒損に陥りますが、後手の右銀が遊んでいるため双方の穴熊に堅さの差が生じていることを重く見ています。菅井八段はその後も手番を握りながら敵玉そばに馬・金・歩の3枚の攻め駒を配置することに成功しました。
守勢の時間が続く後手の永瀬王座も先手陣に飛車を打ち込んで反撃を目論見ますが、ここで菅井八段が5筋に打った金底の歩が当然とはいえ好手。自玉の安全を確かなものにした菅井八段は、満を持して馬を切って居飛車穴熊を崩壊に追い込みました。終局時刻は18時53分、逆転の見込みなしと認めた永瀬王座が投了を告げて菅井八段の勝ちが決まりました。
勝った菅井八段は次局で渡辺明九段-本田奎六段の勝者と対戦します。
水留 啓(将棋情報局)
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