9月17日にNHK Eテレで放送する『カラーでよみがえる 古今亭志ん生』(14:00~14:30)、9月16日にNHKラジオ第1放送に放送する『真打ち競演』(13:05~13:55)の公開収録がこのほど、埼玉・川口市のSKIPシティで行われ、落語家の五街道雲助と古今亭文菊、女優の池波志乃が出席した。

  • 左から古今亭文菊、池波志乃、五街道雲助

"落語の神様"と称される昭和の大名人、五代目古今亭志ん生。今年で没後50年という節目に合わせて、『カラーでよみがえる 古今亭志ん生』では志ん生の高座映像のうち1955年に収録された「風呂敷」をAIによりカラー化にして放送する。また、『真打ち競演』では『没後50年 カラーでよみがえる古今亭志ん生』の関連番組として志ん生の孫弟子で今年人間国宝にもなった五街道雲助、同じく志ん生の孫弟子・古今亭文菊が落語を披露。なお、志ん生の孫でもある池波志乃は『カラーでよみがえる 古今亭志ん生』に登場して雲助や文菊とともにトークショーを行った。

公開収録後に報道陣向けの取材に応じた五街道雲助ら出演陣。五代目古今亭志ん生の魅力について文菊は「まさに人間というものの生きている可笑しさと、可笑しさだけでなく哀しさや苦しさ、色んなモノが混ざり合って発酵し、醸し出されたモノが空気になります。理屈や理論では説明できるモノではありません。戦争という時代があり、今の我々は想像するしかありませんが、独特のくぐり抜け方をしたからあの雰囲気が出てくるんです」と語った。

孫の池波は「昔は家族が仕事場でチョロチョロするなと言われ、お婆ちゃんやお母さんも行ったことがないんです」と落語を生で見たことがないというが、「あれだけ笑い飛ばしていい加減さを売りにしたのは一種の憧れの対象だと思います。今にも通じるものがあり、そういう人がいたんだなと聞いていただきたいですね」と懐かしそうに振り返った。

今年7月に落語家としては4人目の人間国宝となった五街道雲助。「志ん生師匠に近づけた?」という報道陣の質問に「比べようがないんですけどね。我々にとっては神みたいな存在で、辿り着けたかは自分でも思いもしません」と謙そん。また、志ん生の自宅に通っていた若かりし日の頃の話題となり、「師匠がよく晩酌をしていて、何故か私も同席していたんです。師匠としーちゃん(池波)の話になり、『今は色気がないけど3年も経てば色気が出る。どうだい?』と。その時に『はい! お受けします』と言ったら一緒になっていたかも。そこへ中尾彬という男性が出てきちゃって、人生わからないですよね」と明かしていた。