Zepp Health Corporationは7月25日、ランニング利用を想定したスマートウォッチ「Amazfit Cheetah/Cheetah Pro」の2モデルを発売しました。同社が展開するスマートウォッチブランド「Amazfit(アマズフィット)」シリーズにおいては、初めてランナー向けを謳(うた)う機種となります。
ランニング向けの中上位スマートウォッチ「Cheetah」
まずAmazfitブランドにおける「Amazfit Cheetah/Cheetah Pro」の立ち位置を確認しておきましょう。
Amazfitの公式サイトをチェックすると、9月1日現在において販売中の製品数は12種類。以下のように、多様なラインナップが用意されています。
- Amazfit Falcon(89,900円):チタンボディ採用の20気圧防水対応モデル
- Amazfit T-Rex Ultra(69,900円)/T-Rex 2(35,800円):高耐久なアウトドアシリーズ
- Amazfit Cheetah Pro(49,900円)/Cheetah(39,900円):ランニング向けシリーズ
- Amazfit GTR 4(33,000円)/GTR Mini(19,800円):ビジネスからスポーツまで対応するシリーズ
- Amazfit GTS 4(33,000円)/GTS 4 Mini(16,800円):薄型軽量のファッション向けシリーズ
- Amazfit Bip 3 Pro(13,750円)/Bip 3(9,900円):高コスパなシリーズ
- Amazfit Band 7(7,980円):スマートバンド型のエントリーモデル
こうして一覧にしてみると、「Cheetah(チーター)」シリーズの2モデルは、ラインナップのなかでも中上位に位置する選択肢であることがわかります。
運動習慣としてジョギングを続けている人や、これから市民マラソンに挑戦しようと思っている人などが、バッテリー持ちの良いスマートウォッチを探しているときに狙い目のモデルだと言えそうです。
続いて、両モデルの主な仕様をチェックしていきましょう。
スタンダードモデルの「Amazfit Cheetah」は、公式サイトでの価格で39,900円。こちらはエントリーレベルのシティランナー向けを想定したモデルです。
ディスプレイには、1.39インチのAMOLEDが採用されています。ボディ素材には、繊維強化ポリマー製ミドルフレームが使われており、バンド部を含めて47gというランニングウォッチらしい軽さに整えられています。防水グレードも、5ATMをサポートします。
バッテリー容量は440mAhで、標準的な使用で最大14日間、ハードな使用で最大7日間、省電力モードで最大24日間のバッテリー持ちを謳(うた)います。
センサー類としては、血中酸素レベルの測定に対応した「BioTracker PPG生体センサー」に加え、地磁気センサー、気圧高度計、環境光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーを搭載。衛星測位はデュアルバンド(L1+L5)&6衛星測位に対応します。通信仕様は、Bluetooth 5.3 BLEをサポートします。
一方、上位モデルの「Amazfit Cheetah Pro」は、公式サイトでの価格で49,900円。スタンダードモデルより+1万円高く設定されており、より高みを目指すランナーをターゲットに据えた一台です。
ディスプレイは1.45インチのAMOLEDで、少し大きめ。ボディ素材については、繊維強化ポリマー製ミドルフレームをベースにしつつ、ベゼルではチタン合金も使われています。一方、質量はバンド部含めて43gに抑えられており、スタンダードモデルよりも軽いです。防水グレードは、同じく5ATM。
なお、バッテリー容量や、使用時間の仕様表記については、スタンダードモデルと差がありません。センサー類や衛星測位についても同様です。
ただし、通信使用については、Bluetooth 5.0 BLEのほか、Wi-Fi(WLAN 2.4GHz)での通信に対応していることが差異になります。また、本体スピーカーを用いた音楽再生が行えることもProならではのポイントです。
実機を装着、ストラップバンドにこだわりを感じる
今回は、スタンダードモデルの「Amazfit Cheetah」(スピードスターグレー)を試用したので、以下はそのディティールや使用感についてお届けしていきます。
1.39インチのディスプレイは、情報を表示するうえで、十分に広く感じます。筆者は男性で手首周りが18cmほどありますが、ケースサイズは運動時の利用にもぴったりという印象。質量は47gなので、ずば抜けて軽いというほどではありませんが、スポーツ向けウォッチとしてストレスなく使うための軽さは十分に満たしています。
デフォルトの文字盤デザインは情報量が多めですので、好みは分かれるかもしれません。筆者としては、筐体デザインとのバランスが良くて、気に入りました。最初は、表示される数値の意味などがわからず戸惑うかもしれませんが、使っているうちにすぐ慣れるでしょう。もちろん、スマートウォッチなので文字盤デザインは変更も可能です。
ケース素材は強化繊維ポリマーですが、うっすらと光沢感があり、チープさはさほど感じません。差し色の黄緑よりのイエローも爽やかです。さすがにビジネススーツと合わせると少し浮くかもしれませんが、スポーティな服装なら合わせやすいです。
ランニング向けウォッチとしてこだわりが感じられたのが、ストラップバンドです。
仕様表記では、シリコン素材が使われた「リキッドシリコンバンド」とされています。ディティールを見てみると、バックルは2本のピンが備わったピンバックルタイプ。そして、バンド部は、中央には大きめの穴が、端に近い部分には小さい穴が、計4列であけられていて、通気性が確保されているのがわかります。
大きな文字で表示されるデータが見やすい
Amazfit Cheetahでは、同シリーズの他モデルと同じく、「運動」アプリを使って様々なワークアウトを計測できます。例えば、「ランニング(屋外)」を選択した場合、GPSの測定についての画面が表示され、その後計測がスタートします。
測定中の画面は、上下スワイプで表示スタイルを変更可能。ディスプレイが広く、文字も大きいので、昼夜問わずに視認性は良好でした。また、SELECTボタン(リューズ)の押下によって、停止・再測定開始操作を素早く行えるので、操作性もよい印象です。
測定した記録は、ウォッチ単体でも確認できます。「運動記録」というアプリを開くことで、過去のトレーニングのデータを参照可能。もちろん詳細なデータは、スマートフォン側のアプリから確認した方が視認性が良いので、ウォッチ側での操作にこだわる必要はありません(今回の試用では、iOS版の「Zepp」アプリを使って、iPhoneとペアリングしています)。
ランニングのAIコーチング機能を試してみた
さて、「Zeppアプリ」には、「Zeppコーチ」というコーチング機能が備わっています。ジョギングなどは本格的にランニングのパフォーマンスを向上させていきたい場合には、こちらを活用するとよいでしょう。
初期設定としては、「心肺機能を向上させる」「ランニングレベルを向上させる」などの目的を選択し、日頃の運動習慣、トレーニングが行いやすい曜日などについて指定します。
これらを設定することで、トレーニング計画がカスタマイズされます。また、一定の心拍数で何分トレーニングを行うのかなど、%表示での目標達成率を確認できるようになり、具体的なゴールを掲げながら日々のトレーニングを行うことが可能になります。
こうした機能を使う場合、運動をしてこなかった人が健康維持のための運動習慣づくりを目指すという視点では、やや強度が高くなりすぎる印象があります。
一方、すでにある程度の運動習慣がある人が、市民マラソンなどへの参加を目指して一層のトレーニングを行いたい場合などには、中~高強度の運動量を維持していくためのルーティンやモチベーションづくりに役立つでしょう。
ちなみに、Zeppアプリ内の「プロフィール」タブに表示される「アチーブメント予測」の項目からは、過去の屋外ランニングの記録や、体調などをもとに、10km走や、ハーフマラソン、フルマラソンなどのゴール予測時間を表示してくれます(最低3kmのランニングを行う必要があります)。シンプルな最大酸素摂取量などの表示などより、時間の目安で示してくれるのがわかりやすいです。
繰り返しになりますが、Amazfit Cheetahではシリコンバンドがしっかりと作り込まれており、ランニング中の装着感がとても安定しています。測定に関して、特段ユニークな機能が備わっているわけではありませんが、用意されたワークアウト関連機能を活かすには、よいモデルだと感じました。
また、バッテリー持ちについても、ワークアウトを日常的に実施して、1週間前後は持つ印象でしたので、使い勝手の面でも安心して選択できると思います。
ちなみに、このほかにもAmazfit Cheetahシリーズでは、オフラインマップ機能やルートナビゲーション機能も利用できることも補足しておきます。カジュアル層のランナーとしては、さほど使う機会はないかもしれませんが、もしランニングのルートを共有したいようなタイミングが出てきたら、調べてみるとよいでしょう。