名古屋鉄道は1日、鉄軌道旅客運賃の変更認可申請について、同日付で国土交通大臣から認可されたと発表した。運賃改定は2024年3月16日に実施する。あわせて特別車両料金(ミューチケット)を改定するための届出も行ったとのこと。

  • 名鉄の運賃改定は2024年3月16日に実施。特別車両料金(ミューチケット)の料金も改定される見込みに

同社がおもな事業エリアとしている中京都市圏は、三大都市圏の中では人口密度が低く、マイカー保有率も高いことから公共交通の分担率が低水準であり、鉄軌道事業としては従前から厳しい環境にあったという。新型コロナウイルス感染症の流行でテレワーク等の新常態が定着し、他の輸送モードへの転換による通勤利用者の減少等もあったことから、輸送需要はコロナ禍前の水準に戻らない見込みであるとともに、電力料金や資材価格の高騰による経費増加の懸念もある。

一方で、安全・安心・安定輸送の確保に必要な既存設備の更新に加え、社会環境の変化に合わせた投資は必要不可欠。事業継続に必要な対応を実施していくにあたり、不足する費用の一部について利用者に負担を求めるため、28年6カ月ぶりの運賃改定を実施する。

おもな改定内容として、初乗り運賃は現行の170円から180円に。改定率は普通運賃10.5%(増収率9.3%)、通勤定期11.6%(増収率10.6%)、通学定期0%とされ、通勤定期割引率は現行の45.1%から44.6%、通学定期割引率は現行の82.2%から84.3%になるという。

なお、普通運賃において利用の多い7kmまでの区間は改定率を抑え、通学定期は家計負担に配慮して運賃を据え置く。知多新線、豊田線、羽島線、空港線に設定している加算運賃は変更されない。名古屋本線の一部区間に設定している暫定運賃は、対象区間や設定額を区間ごとに見直し、中部運輸局に特定運賃設定の届出を行ったとのこと。過去の駅移設にともない設定していた特定運賃(上飯田駅、西ノ口駅、柳津駅を発着する一部区間)は今回の改定に合わせて廃止し、通学定期を含め本来のキロ程に応じた運賃を適用する。

名古屋鉄道は9月1日、運賃改定と同じ日(2024年3月16日)に特別車両料金(ミューチケット)を改定するため、中部運輸局に料金変更の届出を行った。現行の料金は360円だが、改定後は基本料金450円、閑散時間帯割引料金(平日9~16時台と土休日の全時間帯)300円、車内精算料金500円とする。閑散時間帯割引料金は「名鉄ネット予約サービス」での購入時に適用され、中部国際空港駅発着の利用は対象外。これまで車内精算時における特別車の座席指定はできなかったが、空席がある場合に車掌が携帯する端末から座席確保を行えるようになる。

改定日から名鉄ネット予約サービスの機能を拡充するほか、新たに精神障害者割引が導入される。それぞれの詳細は別途に案内するとのこと。