電気代が高騰したことで省エネ家電に注目が集まっていますが、本気で「家庭の省エネ」を考えるなら住宅設備も重要。省エネ住宅設備の代表格は、ヒートポンプ電気給湯器「エコキュート」です。
現在は複数のメーカーがエコキュートを発売していますが、パナソニックのエコキュート製品はその多機能性もあってか人気のシリーズ。エコキュートを手がけるパナソニック 空質空調社(以下、パナソニック)は今回、エコキュートの新モデルと生産増強を発表し、新設生産現場の見学会を実施しました。敷地内に設置した全館空調熱交換気システム「with air」も披露されたので、あわせて紹介します。
エコキュートの電気代は電気給湯器の約3分の1
「エコキュート」はヒートポンプを利用した給湯器。一般的な電気給湯器は電気の力で熱を作り、この熱でお湯を沸かします。一方、大気中の熱を利用するヒートポンプは、少ない電力で給湯が可能です(集めた熱を移動させる仕組み)。一般的な電気給湯器と比較すると、エコキュートのランニングコストは約3分の1とされています。
「太陽光電力」をムダにしない機能で今後も需要拡大の見込み
パナソニックのエコキュートが備えるいろいろな便利機能のなかでも、特徴的なのは太陽光発電との連携です。電気代の節約だけではなく、カーボンニュートラルの観点から自宅に太陽光発電を導入する家庭も増えていますが、パナソニックのエコキュート上位モデルは太陽光発電の電気を賢く利用する「スマートソーラーチャージ」という機能を備えています。
太陽光発電の売電価格は年々安くなっていて、買電価格よりも売電価格が安いのが現状。太陽光余剰電力の固定価格買取制度(FIT)もありますが、期間満了(卒FIT)後は「電気を売る」よりもスマートソーラーチャージのような機能を利用して「電気を自宅で賢く使い切る」ほうがお得です。
パナソニックは「エコ」「災害対策」「太陽光発電」など複数の理由から、今後も自社製のエコキュート需要が伸びると見込んでいます。この見込みにあわせて、2021年は年間15万台だった生産を、2023年は20万台超に増加。増産に向けて、生産工場に対して2021年からの3年で約13億円を投資しています。
ちなみに、エコキュートは300リットル超の大型貯湯タンクユニットを必要とするため、ほとんどのメーカーが国内生産です。パナソニックも滋賀県の草津工場にて製品を作っています。今回は駆け足ながら、新しくなった草津工場を見学できました。
省エネハウスの理想系? パナソニックのエコナビハウス
エコキュート生産工場がある草津事業所の敷地には、最新の省エネ住宅設備を取り入れた一軒家「エコナビハウス」があります。もちろんこのエコナビハウスの給湯設備もエコキュートです。
この日、ある意味エコキュート以上に注目を集めたのは、2023年8月に発表された全館空調熱交換気システム「with air」でした。これは1台のエアコンで家中を快適に冷暖房できるという製品です。
エアコン×1台で家全体を空調できるため、各部屋にエアコンを導入するよりエコ。エアコンの寿命は約10年といわれていますが、10年ごとにエアコンを1台買い替えるだけなので、エアコンの入れ替えも手軽です。室内温度はフロアごとや部屋ごとなど、好みの温度に調節することもできます。
省エネ住宅設備は便利で省エネ効果も大とはいえ、価格や工事の必要性から導入は手軽とはいえません。ここで紹介したエコキュートやwith airも自宅にすぐ取り入れるのば難しいと思うので、将来的に新築やリフォームの計画が出てきたら、導入を検討してみるのはいかがでしょうか?