災害が起きたとき、互いの安否確認や身近な人との連絡は非常に重要。しかし、被災時の連絡方法について、「171って何?」「LINEと伝言板の使い分けはどうすれば良い? 」といった疑問を抱える人も多いのではないでしょうか?

もしもの時のための連絡ツールは多く提供されていますが、災害が起きた際に素早く活用するためには事前の準備と理解が大切。そこで本記事では、9月1日の防災の日に、5つの連絡手段の使い方や利用料金、今日からできる具体的なアクションを解説します。

公衆電話もOK『災害用伝言ダイヤル(171)』

大規模な災害発生時、意外と大切な”スマートフォンの電池残量”。スマホ以外の電話でも簡単に使える連絡手段が、『災害用伝言ダイヤル(171)』です。

災害用伝言ダイヤルとは、NTT(東日本/西日本)が提供している伝言の録音・再生サービス。地震や台風といった災害が起こった際にのみシステムが開放され、携帯電話や固定電話、公衆電話などから利用可能になります。

利用料金

NTT東日本/西日本の電話サービス:無料
公衆電話:無料
NTTを除く各通信事業社の電話サービス:事業者により異なる(有料の場合が多い)

使い方

1.「171」をダイヤル
2.音声ガイダンスを聞き、録音または再生、暗証番号の有無を「1(録音・暗証番号なし)」「2(再生・暗証番号なし)」「3(録音・暗証番号あり)」「4(再生・暗証番号あり)」で指定
3.ガイダンスに従い、被災地にいる人の電話番号(携帯電話の番号も可)を入力する
4.センターへの接続後にメッセージを録音、または再生されるのを待つ
5.自動もしくは手動で通話を終了する

ちなみに、大規模な災害発生時には、被災地の回線や交換機にアクセスが集中し、電話がつながりにくくなる”ふくそう(輻輳)”現象が発生することも。

各通信事業者が対策を行っていますが、電話の繋がりにくさが心配な場合は「災害時優先電話」として優先的に171や各電話番号への発信権をもつ公衆電話を利用するとよいでしょう。

今日からできるアクションとしては、伝言登録時に指定する電話番号を家族で統一し、全員分の録音をまとめて再生できるようにすることが挙げられます。

  • 災害用伝言ダイヤル(171)の今日からできる災害対策

    災害用伝言ダイヤル(171)の今日からできる災害対策

なお、同じ電話番号に登録されている伝言は新しいものから自動的に連続再生されるため、複数の録音を聞くために特別な操作をする必要はありません。

災害に備えて自分が普段使っているスマートフォンや固定電話で171を実際に使ってみたい方は、以下の体験利用期間も参考にしてみてください。

体験利用期間

毎月1日・15日:00:00~24:00
正月三が日:1月1日00:00~1月3日24:00
防災週間:8月30日9:00~9月5日17:00
防災とボランティア週間:1月15日9:00~1月21日17:00
参考ページ:NTT西日本「災害用伝言ダイヤル(171)」

各通信事業者が利便性を追求『災害用伝言板』

各通信事業者が運用しており、テキストで身近な人へのメッセージを残せる『災害用伝言板』。詳細は事業者によって異なるものの、自社のサービスと契約している電話であれば無料で利用できるケースが大半を占めています。

音声による伝言は騒音が発生しやすい場所では録音・再生に難があるため、屋外や避難所では特にテキスト式での伝言が有効。NTTやKDDI、ソフトバンクといった大手キャリアに加え、近年ではY!mobileや楽天モバイルも独自の災害用伝言板を設置しています。

利用料金

伝言板の運用元キャリアと契約している携帯電話:基本無料(パケット通信料の有無はキャリアにより異なる)
他社の携帯電話・パソコンなど:パケット通信料が必要

使い方(詳細はキャリアによって異なる)

1.各キャリアのポータルサイトもしくは災害用アプリにアクセスする
2.画面の案内に従い、伝言や安否情報を登録または閲覧する

災害用伝言板は、171へ発信するだけで済む災害伝言ダイヤルと異なり、ポータルサイトへ接続してバナーをクリックしたり、アプリをダウンロードして立ち上げたりと、ゼロから伝言板へアクセスするまでに2ステップ以上の手間がかかります。

いざという時にすぐ伝言板を開けるよう、今日から各通信事業者の災害用アプリやポータルサイトをスマホにインストールしたり、ホーム画面に追加したりするとよいでしょう。

  • 災害用伝言板の今日からできる災害対策

    災害用伝言板の今日からできる災害対策

通信事業者が運用する災害用伝言板は、自社のサービスと契約している携帯では利用しやすい一方で、他社の携帯電話やキャリアと契約していないパソコンでは伝言板への情報登録が基本的にできない点がデメリットです。

他社のデバイスでも情報の確認は可能ですが、双方向性のやり取りをする場合はその他のツールの利用が推奨されます。

体験利用期間(別日程の場合あり)

※時間帯はキャリアによって異なる
毎月1日・15日
正月三が日(1月1日~1月3日)
防災週間(8月30日~9月5日)
防災とボランティア週間(1月15日~1月21日)

格安SIM・パソコンでも使える『災害用伝言版(Web171)』

前述した災害用伝言板サービスは、近年利用者が増加している格安SIMでは提供していないことも。そのような格安SIMやパソコンユーザーに適した被災時の連絡ツールが、『災害用伝言板(Web171)』です。

Web171は、NTTが提供するインターネットを経由したテキスト登録サービス。携帯電話のキャリアによる使用制限がなく、格安SIMやパソコンからでも伝言を登録・確認できる仕様になっています。

加えて、すでに各通信事業者の災害用伝言板にメッセージが登録されている場合は、Web171のサイト上においてもそれらの伝言を閲覧することが可能です。

利用料金

無料(通信料は別途必要)

使い方

【伝言の登録】
1.Web171のトップ画面(https://www.web171.jp/)にアクセスする
2.「電話番号」欄に伝言を登録したい電話番号を入力し、「登録」をクリックする
3.伝言登録画面で名前、安否情報、伝言を入力して「登録」をクリックする

【伝言の確認】
1.Web171のトップ画面(https://www.web171.jp/)にアクセスする
2.伝言を確認したい電話番号を入力し、「確認」をクリックする
3.伝言の内容を確認する
※各通信事業者の災害用伝言板にすでにメッセージが登録されている場合、確認を押した後に表示される登録済み伝言一覧に併せて表示される

災害用伝言板(Web171)について今すぐできる具体的な行動としては、Web171のトップ画面をブックマークに登録することが挙げられます。

  • 災害用伝言板(Web171)の今日からできる災害対策

    災害用伝言板(Web171)の今日からできる災害対策

なお、Web 171はインターネット経由のサービスのため、正常に動作するための推奨環境がNTTの公式サイト上に記載されています。シェア率の低いブラウザアプリや特殊環境のOSでは正しく機能しない場合があるので注意しましょう。

推奨環境(2023年8月23日時点)

※PC・スマートフォン・タブレットの場合
【 OS 】
Microsoft Windows macOS
Android OS
iOS
【 ブラウザ 】
Microsoft Internet Explorer
Google Chrome
Mozilla Firefox
Safari

体験利用期間

※災害用伝言ダイヤルと同スケジュール
毎月1日・15日:00:00~24:00
正月三が日:1月1日00:00~1月3日24:00
防災週間:8月30日9:00~9月5日17:00
防災とボランティア週間:1月15日9:00~1月21日17:00
参考サイト:NTT東日本「災害用伝言板(web171)概要とご提供のしくみ」

大人数と情報共有しやすい『LINE』

月間利用者数9500万人超のコミュニケーションアプリ『LINE』。実は東日本大震災で連絡が取りづらいかったことをきっかけに2011年6月に誕生し、現在の人気に至っています。

以下では、災害時におけるLINEの活用例から3つをピックアップし、簡単な概要と使い方を紹介します。なお、1と2については災害時の活用が中心の方法であるため、まずは3の「位置情報の使用」を日常で試してみるとよいでしょう。

  • LINEの今日からできる災害対策

    LINEの今日からできる災害対策

1.「LINE安否確認」を利用する

安否確認は最優先で行いたい事項であるものの、友人や地元の知り合いなど、一人一人に連絡して確認を取るのは手間や負担がかかるのが事実。そこで役立つのが、LINEの安否確認機能です。

LINEには、大規模災害が起こった時のみホーム画面に表示される「LINE安否確認」から安否を報告できるシステムが搭載されています。

被害情報を登録すると自分のプロフィール画面下に「無事」「被害あり」が表示されるため、LINEでつながっている友人や知人に自分の安否を素早く伝えることが可能です。

2.名前に「現在の避難場所/状況」を入れる

自宅や外出先で被害が発生して避難所に避難する必要がある場合、家族や親戚とスムーズに合流できるかが大きな課題。大切な人たちと素早く合流するためには、自分の避難場所や詳しい状況の公開が有効です。

LINEの名前は自由に設定できるため、「○○(氏名)」の後に「△△学校へ避難中」「自宅避難中」などと加えることで、安否情報だけの場合よりも具体的に現状を相手へ伝えられます。

また、詳しい情報を提供することで、知り合い一人一人に個別で返信するメッセージの分量が減り、連絡における負担の軽減につながります。

3.正確な位置情報を共有する

普段行かない場所への外出や出張時に被災した場合、そもそも自分の現在地がわからず、位置情報をテキストや音声で伝えるのが難しいことも。そのような場合、スマートフォンに搭載されているGPS機能を活用するのは非常に効果的な手段です。

加えて、GPSで把握した自分の現在地をLINEのトーク画面タブにある「位置情報」を使ってそのまま送信すれば、場所を言語化して文章に出力する手間を省きつつ、正確な位置情報を相手に届けられます。

なお、スマホのGPS機能はバッテリーを消費しやすいため、利用しない際は機能をオフにしておきましょう。

被害状況のシェア・減災に役立つ『X(旧Twitter)』

有名人から身近な知り合いまで、多くの人の情報を入手できるX(旧Twitter)。正しく活用すれば、被災地の最新情報を把握したり、減災のために役立つ情報を自分自身が発信したりすることが可能です。

以下では、フォローするアカウントやハッシュタグ、タイムラインに工夫を施し、Xを災害時に効果的に使う方法を解説します。1、2ともに今日から実践できる内容のため、スキマ時間を使って早めに行動しておくとよいかもしれません。

  • X(旧Twitter)の今日からできる災害対策

    X(旧Twitter)の今日からできる災害対策

1.「リスト」で災害情報を集める

特定ジャンルのユーザーをまとめて保存し、タイムラインをカスタマイズできる「リスト」機能。他のユーザーが作ったリストをフォローすることで、自分が作成したリスト以外の閲覧も可能です。

災害が発生したときに特におすすめなのが、Twitterライフライン(@TwitterLifeline)の都道府県別リストや、東京都 防災(@tokyo_bousai)の交通情報リスト。自分が住む地域の天気や電気、交通などに関して素早く情報収集でき、不安の軽減や今後の計画策定につながります。

2.災害情報を発信しているアカウントをフォローする

信頼性の高い災害情報を発信しているアカウントは、被災時の正確かつ素早い情報収集の大きな助けになります。いざという時に備え、非常時の情報収集のためのアカウントも事前にフォローしておくとよいでしょう。

首相官邸の公式サイトで”災害関連ツイッター”と紹介されているアカウントは、首相官邸(被災者応援情報)(@kantei_hisai)内閣府防災(@CAO_BOUSAI)気象庁防災情報(@JMA_bousai)など。

いずれのアカウントもSNS活用において懸念の多い誤情報のリスクが少ないため、被災時にはこれらのアカウントの投稿を優先的に確認するのがおすすめです。

今日からの行動でもしもの時に備えよう

なんとなく耳にする機会はあるものの、詳しい使い方や今からできる行動が分かりにくい災害時の連絡手段。これまであまり本記事でピックアップしたツールや使用方法に馴染みがなかった人は、まずは記事内で紹介した今日からできる行動を参考にしてみてはいかがでしょうか。

平和な日常生活を過ごしていると、忘れてしまいがちな地震や台風などの大災害。防災の日をきっかけに、少しのアクションを取るとよいかもしれません。