三菱電機の家電、空調機器、住宅設備、オフィス設備などが一堂に会するイベント「三菱電機 暮らしと設備の総合展」、コロナ禍の中で開催が見送られてきましたが、2023年は4年ぶりにリアル開催が復活。メディア向けのツアーから、エアコンの新製品や新サービスを中心に紹介します。
オフィス照明や空調機器から調理家電、乾電池、エアコンなどの家電まで展示
この展示会は、量販店などの家電販売や住宅業界といった関係者向けの催しです。そのため、三菱電機が手がける製品やサービスの大半を見て回れます。ビル用マルチエアコン、天井埋め込み型照明、ビルシステムなどのオフィス設備、エコキュート、住宅用換気扇などの住宅設備、エアコン、冷蔵庫、IHジャー炊飯器、クリーナー、ふとん乾燥機といった家電、さらには家電総合アプリケーションや見守りサービスまで多岐にわたります。
カットモデルや体験コーナーも用意されており、それぞれの機器について特徴を理解しやすくなっています。今回は新たな取り組みとして、メタバース空間を用いたオフィス向けの空調・換気・照明の提案なども行われていました。
人の感情を推定して、温度や気流を制御するエアコンを拡充
当日はツアー形式で会場を巡るスタイル。ここではエアコンやふとん乾燥機の新製品についてまとめます。
ルームエアコン「霧ヶ峰」からは、人の気持ちを推定して空調を制御する「エモコテック」を搭載した4シリーズを10月6日に発売します。これまでエモコテックに対応していたのは最上位のFZシリーズのみでしたが、今回は搭載ラインナップを4シリーズに増やしました。
エモコテックを簡単に説明すると、「エモコアイ」というセンサーが発する微弱な電波の反射を解析して、人の脈をとらえます。人は緊張しているときとリラックスしているときでは脈が違うため、脈のデータから人の気持ちをおおよそ推定できるのです。
もう1つキーになるのは、赤外線センサー「ムーブアイmirA.I.+」。外気温の変化、窓から逃げる熱による室温の変化、人の体感温度などをAI予測し、運転モードやオンオフを切り替えて制御します。これら2つのセンサーを使って、空調をムダなくコントロールする仕組みを「エモコテック」と呼んでいます。
今までのエアコンは、人の体温、部屋の温湿度、人の出入り、間取りなどをセンサーで検知して、人が快適であると予想して空調を制御していました。エモコアイの場合、空調を制御したあと、実際に人間の脈をとらえることで快適に感じている(リラックスしているか)を判断できるわけです。人の気持ちを推し量りながら、快適で省エネな運転をエアコンが勝手にやってくれるので、リモコンでいろいろ調節しなくていいのはラクですね。
一般的なエアコンは人がいる場所もいない場所も空調しますが、「ムーブアイmirA.I.+」を持つ霧ヶ峰エアコンは、人がいる場所を中心に空調することでムダを抑えます。さらに「FZシリーズ」と「Zシリーズ」では、住宅性能(広さ、気密性、断熱性など)を学習し、もっとも電力を使うエアコンの立ち上げ時に省エネ運転をします。
また、暖房機能の説明もありました。一般的に、エアコンは暖房運転のとき、室外機の熱交換器に付いた霜を溶かす「霜取り運転」を定期的に実行しています。霜取り運転時は暖房を停止するため、室温が下がります。そこでFZシリーズとZシリーズは、霜付きのモニタリングを改善。これまで最大90分に1回の頻度で行っていた霜取り運転を、霜が付いていないときには実行しません。最大で600分間、連続で暖房できるようになりました。
また、「FDシリーズ」と「ZDシリーズ」では、室外機の回路を調整して、霜取り運転中にも最高約50℃の温風を室内に送り込めるようになりました。これなら寒さが厳しい日でも快適に使えそうです。
マットとマットなし、どっちも選べるふとん乾燥機
続いてふとん乾燥機「AD-PS80BC」です。ふとん乾燥機は、出してすぐ使える「マットなし」タイプが定番化しています。AD-PS8-BCでは、念入りに乾燥したいときにはマットあり、手軽に使いたいときはマットなしと、どちらも選べる点が特徴です。
このマットは「ヒートパンチマット」というのですが、約65℃の温風でふとん全体を暖め、中綿までしっかり乾燥させます。ダニの活動を抑制するといわれる約50℃以上まで温度が上がるため、ダニ対策に使う人が多いようです。
とはいえ最近では、低反発マットなど高温で乾燥できない素材のふとんも増えていますよね。そんなふとん向けに便利なのが「陰干し乾燥コース」です。ヒーターを使わず、乾いた風と風圧で乾燥させるので、熱に弱い機能性寝具に使えることに加えて、電気代も抑えられます。
筆者が暮らすマンションはふとんの外干しが実質ムリでして、ふとん乾燥機をよく使います。毎回マットをセットするのはちょっと面倒に感じることもありますが、ダニが活発になるシーズンはしっかり乾燥したくなるもの。本機のように、マットあり・なしが選べるのはうれしいところです。
万が一のとき、生活用水に使えるエコキュート
ここからは、会場で気になったものピックアップします。
家庭用の電気給湯器「エコキュート」は、電気を使って沸かしたお湯を貯湯タンクに溜めておく仕組み。災害などで断水したときでも、タンクのお湯(水)を生活用水として使えます。
三菱電機の「エコキュート」は、扉式パネルの中に大きな取水口があり、作業しやすくなっています。以前はネジを外してパネルを外していたのですが、災害時は手元に工具があるとは限らず、扉式ならすぐ取水できます。外から見たときも場所がわかりやすい作りですね。
続いて、コードレススティッククリーナー「iNSTICK ZUBAQ(ズバキュー)」。充電スタンドに置いた状態から、本体を上に引っ張ればハンディクリーナーになり、手前に引けばスティック掃除機としてすぐにフロア掃除ができる点が特徴です。
7月21日に発売した新製品は、本体の傾きを検知して、ボタンを押さなくても電源がオンになる「らくイックモーション」を新たに装備。さらに掃除を始めやすくなりました。
電源スイッチって、掃除機によって配置が違いますよね。製品によっては、片手で掃除機を支えて反対側の手を使わないと押せなかったり、スイッチ位置が微妙に手のサイズと合わなかったりすることがあります(もちろん使っていくうちに慣れますが)。本体のハンドルを持ってスタンドから外せば電源オンになるという新型iNSTICK ZUBAQは、そんなちょっとしたストレスを減らしてくれそうです。なお、自動で電源オンになる機能は、無効にすることもできます。
ヘッド裏のブラシは、毛を高密度にして隙間に髪の毛などが入りにくい構造。上位モデルの「HC-JD2C」は現行モデルから引き続き、クリーナー本体を充電スタンドへ戻したときに、ブラシに残った毛やゴミを自動で絡め取って吸引する機能を備えています。