米Mozillaは、8月29日(現地時間)にFirefoxの新バージョンとなるWebブラウザ「Firefox 117」をリリースした。Firefox 117は、Firefox 116から4週間でのバージョンアップとなった。Firefox 116では、2023年8月4日にマイナーバージョンアップの116.0.1が、2023年8月7日に116.0.2が、2023年8月16日に116.0.3がリリースされている。116.0.1では、以下の修正が行われた。
- Windows版:チャート要素が正しくレンダリングされない問題の修正
このマイナーバージョンアップでは、セキュリティアップデートは行われなかった。116.0.2では、以下の修正が行われた。
- ZoneAlarmアンチキーロガーを使用しているユーザーのキーストロークがスクランブルされる問題の修正
このマイナーバージョンアップでは、セキュリティアップデートは行われなかった。116.0.3では、以下の修正が行われた。
- OPFSを利用するアプリ(特にAdobe Photoshopなどが該当)において、以前のバージョンでローカルにキャッシュされたファイルにアクセスできなくなる問題の修正
- Wayland環境で一部のユーザーの画面共有が中断される問題の修正
- フルスクリーン通知を無効にしても表示され続ける問題の修正
- Googleで検索を行うと、Firefoxがハングする問題の修正
今回は、116.0.3からのアップデートとなる。
Firefox 117のインストール
すでに自動アップデートが可能な状況になっているが、ここでは手動でアップデートする方法を説明したい。Firefoxメニューの[ヘルプ]→[Firefoxについて]を開くと更新が自動的に開始される。[再起動してFirefoxを更新]をクリックする(図1)。
アップデート後のFirefox 117は、図2のようになる。
新規に、Firefox 117をインストールする場合、FirefoxのWebページからインストーラをダウンロードする(図3)。
[Firefoxをダウンロード]をクリックし、保存したファイルをダブルクリックして、インストールを開始する(図4)。
画面の指示に従い、インストールを進めてほしい。以下では、新機能のいくつかを具体的に見ていこう。
Firefox 117の新機能
続いて、新機能であるが、以下のとおりである。
- クレジットカードの自動入力のサポートが、IT、ES、AT、BEおよびPL ロケールに拡張
- macOS:about:preferencesを通じてコントロールとリンクのタブ設定を制御可能に
- 具体的には、[Tab]キーを使用して、コントロールとリンクの間でフォーカスを移動する
- [Shift]キー+右クリック動作を指定しているWebサイトでの望ましくない結果を回避するためにdom.event.contextmenu.shift_suppresses_event設定が追加された。結果、コンテキストメニューが表示されなくなる
修正と変更点は以下の通り。
- スクリーンリーダーを使用していても、YouTubeビデオリストが正しくスクロールするように
- Waylandデスクトップ環境において、画面共有インジケーターが非表示に。これまでも、他のプラットフォーム上では正しく機能せず、デスクトップ環境では、これまでの共有インジケーターが表示される
今回は、ロック&フィール関連のアップデートはほぼなかった。
セキュリティアップデート
同時に行われたセキュリティアップデートであるが、修正された脆弱性はCVE番号ベース で13件である。深刻度の内訳は、4段階で上から2番目の「High」が7件、4段階で上から3番目の「Moderate」が4件、4段階で上から4番目の「Low」が2件がとなっている。
「High」では、
- IPC CanvasTranslatorでのメモリ破損
- IPC ColorPickerShownCallbackでのメモリ破損
- IPC FilePickerShownCallbackでのメモリ破損
- RecordedSourceSurfaceCreationでの整数値オーバーフロー
- JIT UpdateRegExpStaticsでのメモリ破損
- Firefox 117、Firefox ESR 115.2、Firefox ESR 102.15、Thunderbird 102.15、Thunderbird 115.2で修正されたメモリ安全性の問題
- Firefox 117、Firefox ESR 115.2、Thunderbird 115.2で修正されたメモリ安全性の問題
などが対応された。すみやかなアップデートをすべきであろう。