2003年に放送されたスーパー戦隊シリーズ第27作『爆竜戦隊アバレンジャー』の20周年を記念したVシネクスト『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』が、2023年9月1日より期間限定上映される。

  • 三条幸人/アバレブルーを演じた富田翔と心優しい竜人アスカ/アバレブラックを演じた阿部薫

    左より富田翔(とみた・しょう) 1982年生まれ、東京都出身。2002年、テレビドラマ『ごくせん』で俳優デビュー。翌2003年に『爆竜戦隊アバレンジャー』三条幸人/アバレブルー役で出演し、人気を博す。『逆転裁判』逆転検事』『ラズベリーボーイ!!』『刀剣乱舞』といった人気シリーズをはじめとする、多くの舞台で活躍中。阿部薫(あべ・かおる) 1980年生まれ、秋田県出身。2000年に俳優デビューし、2003年『爆竜戦隊アバレンジャー』で竜人アスカ/アバレブラックを演じて、子どもから大人まで幅広い年齢層から人気を得る。その後もテレビドラマ、配信ドラマ、映画、CM、舞台で精力的に活動中。 撮影:大塚素久(SYASYA)

異次元世界・ダイノアースを滅ぼした邪命体エヴォリアンの侵略から、我々の住む地球=アナザーアースを守りぬいたアバレンジャー。しかし若き社会学者・五百田葵(演:大友花恋)はテレビを通じて、20年前のアバレンジャーの戦い方を批判。思いがけない言動や行動が「炎上」の火種となり、いつしかアバレンジャー批判が途方もなく拡散していく。「20年前のヒーローも、令和の今では問題だらけ!?」というキャッチコピーが示すとおり、あのころはOKだったアバレンジャーの「アバレ」が現代日本では許される行為なのか、というヒーロー作品のアンチテーゼが込められた本作は、まさしく20周年記念として世に送り出されるにふさわしい作品といえる。

  • 『爆竜戦隊アバレンジャー』の20周年を記念したVシネクスト『爆竜戦隊アバレンジャー20th 許されざるアバレ』

公開記念インタビューの今回は、無口でクールだが、心の中に熱いものを備えるカリスマ整体師・三条幸人/アバレブルーを演じた富田翔と、ダイノアースからやってきた心優しい竜人アスカ/アバレブラックを演じた阿部薫のスペシャル対談をお届け。20年という時を経て新しい『アバレンジャー』を作ることができた喜びや、オリジナルキャストの面々と再会を果たしたときの感動、そして『アバレンジャー』の面白さのエッセンスがすべて詰まっている本作の出来栄えについて、熱いトークが繰り広げられた。

――20年ぶりの『アバレンジャー』ということで、当時と同じく東映東京撮影所に行かれたとき、それはもう懐かしかったのではないでしょうか。

富田:懐かしかったです。『アバレンジャー』をやっていたころは「朝4時に撮影所集合」とか普通にありましたけど、今回も集合時間が早かったですから。

阿部:早朝集合だと、自然に昔のことを思い出しますよね。

富田:まだ電車が動いていないから、タクシーで行くんですけど、あのころは毎日こんな感じだったなあと記憶がよみがえってきて、僕はそこに幸せを感じました。また早起きして、あのころのように『アバレンジャー』をやることができるのか!と(笑)。今は舞台を中心に活動していますから、こんなに朝早くから集まって何かするということ自体が久しぶりでした。撮影やっている感というのが、すごくありました。

阿部:翔くんとは帰り道が同じだからよく一緒に帰ったり、家に泊めてもらったりしたよね。

富田:僕の家のほうが、まだ撮影所に近かったからね。

阿部:昨日のことのように思い出します(笑)。今はもっと遠くに住んでいますから、今回の集合時間に間に合うかどうか不安なので、撮影所付近のホテルに泊まって万全を期していました。

富田:僕は撮影直前まで舞台の本番があって、千秋楽を終えてすぐこちらのほうにかかったという感じでした。体を休めている暇がなかったからわりと大変ではありましたが、そういう状態だったからギラギラしながら撮影に臨むことができたのかな。

――当時の衣装をそのまま身につけられているとうかがいました。20年の歳月を感じさせないフィット感で、驚かされます。

阿部:20年経って、アスカが太っていたらちょっとなあ……と思って、それなりに体を絞ろうと心がけていました。当時の衣装も、入らなかったらショックだと思ってましたし。

富田:でも阿部くんは当時、こんなに筋肉ムキムキじゃなかったですけどね(笑)。

阿部:『アバレンジャー』を撮影していたころは時間もなかったから、ここまでトレーニングできなかったなあ。逆に、ロケ弁当を食べ過ぎて、ちょっと太った時期があった(笑)。

富田:たしか、1か月で7キロ増えたときがあったんだよね。

阿部:そう。7キロ増えて、その後7キロ落ちた(笑)。それらの変化のすべてが、映像として残っています。

  • 三条幸人/アバレブルーを演じた富田翔と心優しい竜人アスカ/アバレブラックを演じた阿部薫

――撮影が始まって、思わず心にグッと来たのはどんなときでしたか。

富田:このアバレジャケットを着て、アスカを迎え入れたシーンを撮っているときですね。阿部くん本人とはこれまでに何度も会ってるんですけど、アスカの衣装や竜人のツメ、アクセサリーを身に着けた姿を間近で見た瞬間、思わずウルっと来ました。僕がそういう思いを抱いたということは、三条幸人にも同じ感情があるはずだと思い、このときの気持ちを大事にしながら演技をしようと努めました。

阿部:僕も芝居しながら感動してきちゃって、けっこうセリフを噛んじゃいました(笑)。みんなが役衣装でそろったとき、普通じゃいられない感情がこみあげてきたんです。

富田:出番を目前にすると、どうしてもソワソワするしね。

阿部:同じです。さあ出番だ、行こうと思ったとき、変身後のアバレブラックがアクションの練習をしている場所に出くわしたりすると、うわあ懐かしいなあ、帰ってきたんだなあといった思いがあふれました。

富田:ダイノブレスの小道具も、当時と同じでね。

阿部:ちょっとキズがついている部分も含め、愛おしかった。

富田:撮影に際して、きれいにリペイントしてくださっているんですけど、形状が昔のままだから、ブレスを着けるとあのころを思い出し、感動するんです。感動といえば、(いとう)あいこ(アバレイエロー/樹らんる役)と再会できたときも嬉しかった。確か、10年くらい前に『獣電戦隊キョウリュウジャーVSゴーバスターズ 恐竜大決戦! さらば永遠の友よ』(2014年)で会って以来じゃないかな。

阿部:(田中)幸太朗(アバレキラー/仲代壬琴役)も含め、アフレコルームで5人のアバレンジャーがいっしょにいるとき、特別な感じがして楽しかったです。