総務省は8月29日、「700MHz帯における移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画」の認定申請の受付を開始した。
本件は平たく言えば、携帯電話網の構築に適した電波伝搬特性を持ついわゆる「プラチナバンド」の一部、700MHz帯の空き帯域を通信事業者に新たに割り当てるため、挙手を募るものである。
割当予定の周波数帯は、715MHz~718MHzと770MHz~773MHzの3MHz幅×2(上下3MHzずつ)で、認定期間は10年間。
この周波数帯は、特定ラジオマイク・TV放送・ITSに用いられている周波数と既存の携帯キャリア(KDDI)が運用する周波数の間に位置しており、各システムの干渉を避けるためのガードバンドとして設けられていた空白地帯の一部を開放したものである。このため、通常は5MHz幅単位での割当・運用となるケースが多いなか、上下3MHz幅の狭帯域となっている。
この700MHz狭帯域プラチナバンドがどの通信事業者に割り当てられるかはあくまで今後の申請や審査を経て決まることではあるが、国内MNO4社のうち現状唯一プラチナバンドを持たない楽天モバイルが獲得する公算が大きい。
そもそもガードバンドの一部を削って異例の狭帯域での新規割当が行われることになった背景としては、既存MNO3社が保有するプラチナバンドの一部を再分配するよう楽天モバイルが強く主張し、それに対しコスト負担の問題や3社のユーザーへの影響から現実的ではないと各社から反発があった。その後、既存キャリアやそのユーザーに影響を与えず新規事業者にもプラチナバンドを与えられる代案として、この3MHz幅の利用が技術的に可能だとNTTドコモから総務省への提案が行われ、新世代モバイル通信システム委員会などでの検討を経て現在に至る。