「親父ギャグ」はよく聞く言葉ですが、具体的にはどのようなものを指すのでしょうか。

本記事では定番、子供にもわかりやすい、難しい、クイズ形式の親父ギャグの具体例を紹介。親父ギャグを言う心理やダジャレとの違いもまとめました。

  • 親父ギャグとは

    親父ギャグの意味やダジャレとの違い、さまざまな種類の親父ギャグなどを紹介します

定番で面白い親父ギャグ一覧

若い世代の人たちには「つまらない」「寒い」と敬遠されがちな親父ギャグですが、頻繁に使用せず、ここぞというときにあえてさりげなく使うことで、面白みを持たせられるかもしれません。

ここでは、誰もが知っているであろう定番の親父ギャグを紹介します。

そんなバナナ

「そんなバカな」の「バカな」と、「バナナ」の語感が似ていることからできたダジャレです。

相手に何かを言われて驚いたときに、リアクションとして「そんなバナナ」と使います。

なるへそ

納得したときに「なるほど」と言いますが、それを変形させたのが「なるへそ」です。

この「へそ(臍)」はおなかにある「おへそ」のことで、「へそ」は「ほぞ」とも言うことから連想してできたダジャレだといわれています。

ありがとうがらし

「ありがとう」と「とうがらし」の「とう」の部分を掛けたダジャレです。

お礼の気持ちを伝える際に使うと、相手を和ませることができるかもしれません。

お金はおっかねぇ

「お金」と「おっかねぇ」という2つの言葉が韻を踏んでいる親父ギャグです。

お金にまつわる話に使えるギャグですが、使いどころを間違えると空気が悪くなりかねないため、使うタイミングや相手には気を付けましょう。

アルマーニじゃあるまいに

「アルマーニ」という海外ブランドと「あるまいに」という音の似た言葉を並べ、韻を踏んだダジャレです。

「あるまいに」は、事実とは反対のことを仮想する意味の言葉です。

イスに座ってもいいっすか?

「イス」と「い『いっす』か」が韻を踏んでいます。

イスがあればどこでも使える、利便性の高いお手軽な親父ギャグですが、そもそも「っす」という言葉自体に拒否反応を持っている人もいます。

先輩や目上の相手に対して使うと失礼に感じられる場合もあるため、距離感をうまく読んでから言いましょう。

当たり前だのクラッカー

「当たり前」と「前田のクラッカー」を組み合わせたダジャレです。

「前田のクラッカー」とは、前田製菓というお菓子メーカーが現在も発売しているクラッカーの名称です。そのCMで使われていた「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」というフレーズから広まりました。

1962年(昭和37年)から使われている、歴史ある親父ギャグです。

だいじょーブイ(V)

「だいじょーブイ」は、親父ギャグとして根強い人気のフレーズです。

1990年代に栄養ドリンク「アリナミンV」のCMで、アーノルド・シュワルツェネッガーさんが手でVサイン(ピースサイン)を出しながら「だいじょーブイ」というせりふを言い大流行しました。

「ギャグ」の定義には、言葉だけでなく、身ぶりなども含まれます。

大丈夫だ、問題ないということを伝える意味を持っているので、もし部下が失敗を報告してきた際などに返しとして使えば、「大丈夫だから気にしないで」「落ち込まないで」という気持ちが伝わるかもしれません。

子供にもわかりやすい簡単な親父ギャグ一覧

  • 子供にもわかりやすい親父ギャグ一覧

親父ギャグは言葉の連想からできていることも多いので、まだ語彙力に乏しい子供には難しいものもあります。

そこでここでは、子供にも意味がわかりやすい、意味が簡単だったり、響きが面白かったりする親父ギャグを紹介します。

ガチョーン

「ガチョーン」は、トロンボーン奏者、コメディアンである谷啓さんが1963年に初披露したギャグです。

「ガチョーン」と言いながら手を引いて閉じるポーズをするギャグで、CM前のオチとして使われることも多くありました。

言葉の響きと動きにインパクトがあるので、子供たちにも受け入れられやすいシンプルな作りです。

トイレに行っといれ

「トイレ」と「行っ『といで』」という言葉が韻を踏む、古典的なギャグです。トイレに行く際に言われたことのある人も多いのではないでしょうか。

「トイレ」は日常的に子供も使う言葉なので、理解しやすいでしょう。

ちなみに「トイレに行っといれ」と言われた側が、「お元気で」をもじって「お便器で」と親父ギャグで返事をする場合もあります。

布団がふっとんだ(吹っ飛んだ)

「ふとん」と「『ふっとん』だ」という言葉を掛けたダジャレであり、昔から使われている歴史ある親父ギャグです。

布団が吹っ飛ぶという、通常ではありえないようなインパクトの強い絵面と、言いやすくリズムのよいシンプルな語感が、子供たちにもわかりやすいでしょう。

電話に誰も出んわ

「電話をしても誰も出ない」という意味合いの文章をコミカルに表現したものです。「電話」と「出んわ」を掛けています。

日常的なツールである電話をモチーフにしており、意味も分かりやすく使いどころも多いため、子供も理解しやすいでしょう。

ちょっと難しい言葉遊びが入った親父ギャグ一覧

  • ちょっと難しい言葉遊びが入った親父ギャグ一覧

親父ギャグの中には、一瞬意味を考えてしまうような少しひねった「遊び」が含まれるものもあります。

ここでは、大人がなるほどと思うような、ちょっと難しい言葉遊びが入った親父ギャグを紹介します。

帽子がなくてハッとした

「帽子」を英語にした「hat」を、「ハッと」と掛けています。

帽子が「hat」であることに気付かなければ理解できない、少し難しいギャグだと言えます。

「お肉の焼き方は?」「プレミアムで」

お肉の焼き方には、レアやミディアム、ウェルダンなどがあります。こちらは「ミディアム」の「アム」の部分と「プレミアム」の「アム」を掛けた親父ギャグです。

しかしすぐにそこまで連想できる人は少ないかもしれません。また、格式の高いお店で使うと浮いてしまうかもしれません。相手や状況を見て使いましょう。

「コーヒーはブラックでいいですか?」「他に何色があるの?」

ミルクやクリームを加えないコーヒーのことを「ブラックコーヒー」と言いますが、その飲み方と、色の種類の「ブラック(黒色)」を掛けています。

相手との距離を近づけたいとき、場を和ませたいときに使える親父ギャグで、冗談が通じる相手であれば「じゃあピンクにしますか?」などとウイットに富んだ返しをしてくれるかもしれません。しかし意味が分からず困ってしまう人もいるかもしれないので、こちらも相手や状況を見て使う必要があります。

なお実はミルクやクリームを入れたコーヒーを「ホワイト」と呼ぶので、コーヒー好きの人からは「ではホワイトにしますか?」と真面目に返されてしまうかもしれません。

クイズ形式の親父ギャグ一覧

  • クイズ形式の親父ギャグ一覧

なぞなぞのような表現の親父ギャグは、場を盛り上げるためにも使えます。

子供たちにも簡単に解けるものから、答えが分かると「なるほど!」と、思わず膝を打つものまで、さまざまなものがあります。一部を紹介します。

お父さんに見せると嫌がる果物はなんだ?

こちらの答えは「パパイヤ(パパ嫌)」です。

「パパが嫌がる(いやがる)果物」から、「パパイヤ」を連想した単純な親父ギャグです。簡単なため、子供にも理解しやすいでしょう。

お母さんが食べると凍ってしまう食べものはなんだ?

こちらの答えは「マーマレード(ママ0度)」です。

お母さんを「ママ」に言い換えて、「0度(れいど)」を「マーマ『レード』」と掛けています。

物が凍ってしまう温度に気付けないと、理解が難しい親父ギャグのクイズです。

名前を足すと森になっちゃいそうな動物はなんだ?

こちらの答えは「キリン(木林)」です。

キリンの「キ」を漢字の「木」で、「リン」を「林」で表し、2つの文字を足すことで「森」になる、という発想です。

漢字に置き換えないと答えが出ない、高度なクイズに仕上がっています。

すぐに帰宅したがる生き物は?

こちらの答えは「カエル(帰る)」です。

「帰宅」を別の言葉に言い換えると「帰る」になります。そして「帰る」の同音異義語には「カエル(蛙)」があります。

言葉の言い換えが必要だと気が付けるかがポイントです。

お風呂に入るのが好きな街はどこ?

こちらの答えは「ニューヨーク(入浴)」です。

「お風呂に入ること」を別の表現で言い換えると「入浴」です。「入浴」と「ニューヨーク」という2つの言葉の音が似ていることからできた、クイズ形式の親父ギャグです。

みんなで爆笑! おすすめの親父ギャグの本3選

  • おすすめの親父ギャグの本3選

ここでは、みんなで楽しめる親父ギャグがたくさん詰め込まれた、人気の本を3冊紹介します。

ぜひ参考にして、親父ギャグを楽しんでみてください。

ゾロリ式おやじギャグドリル

子供たちに大人気のシリーズ「かいけつゾロリ」から、親父ギャグをドリル形式で出題する本が出ています。いたずらの王者ゾロリと一緒に、楽しく親父ギャグが学べるというコンセプトの本です。

この本が一冊あれば、誰でも簡単に親父ギャグが言えるようになるでしょう。子供たちには、大好きなシールが付いている点もうれしいポイントです。

爆笑だじゃれおやじギャグ700連発! おもしろゲラゲラ!

タイトルの通り、ダジャレタイプの親父ギャグが700個も詰まった大容量の一冊です。クイズや迷路、クロスワード、川柳など、さまざまな形で親父ギャグを楽しめます。

楽しみながらたくさんの言葉に触れ合えるので、学習面でも重宝するでしょう。

昭和のダジャレ平成のギャグ 林家三平のクイズ式ダジャレあそび

初代林家三平さんが残した小話やダジャレを「昭和のダジャレ」として、2代目林家三平さんのギャグを「平成のギャグ」として集めたものを、それぞれクイズ形式で1コマ漫画とともに紹介している本です。

言葉遊びで国語のセンスを養うことをコンセプトに掲げたこちらの本では、小話を通して巧みな言葉選びのセンスを養ったり、ダジャレを通して同音異義語を覚えたりできるでしょう。

そもそも親父ギャグの意味とは

「親父ギャグ」とは、中高年層の男性、つまり「親父(おやじ)」が好んで言いそうなギャグのことを意味します。

具体的には、主に言い古された冗談や時代感覚からずれて面白くない冗談、つまらないしゃれなどを指します。

なお「ギャグ」とは演劇や映画などにおいて、本筋とは関係のない、客の笑いを誘うために入れる身ぶりやセリフ、冗談という意味を持ちます。

なぜ親父ギャグを言ってしまうのか、その心理とは

「つまらない」と言われつつ、親父ギャグを言ってしまう心理には、実は、男性の脳の働きが関係しているといわれています。

親父ギャグには「布団がふっとんだ(吹っ飛んだ)」のように、「しゃれ」、つまり言葉遊びがよく使われます。これはある一つの記憶から他の記憶を思い出す「連想記憶」と関わっており、この能力は年齢を重ねるごとに上昇します。

一方、感情をコントロールする器官である前頭葉は、加齢とともに機能が衰え始めます。そのため頭に浮かんで「みんなに言いたい」と思ったギャグを、中高年の男性は我慢できずに言ってしまう、とされています。

たとえそのギャグを言うことで話の流れが乱れたり、相手の気持ちを害したり、面白くなかったりするかもしれないという可能性よりも、自分の「言いたい」という気持ちが優先されてしまうので、「親父ギャグ」にはネガティブなイメージがあるのです。

ちなみに女性の場合は、連想の仕方がしゃれの方向ではなく、より実生活に関連する方向に働く傾向があります。例えば「布団」と聞いたら「明日は布団を干したい」「布団カバーを洗濯しよう」といった具合です。そのため「おばさんギャグ」とは言わないのです。

親父ギャグとダジャレの違いとは

「親父ギャグ」の中には「ダジャレ」がよく見られますが、親父ギャグ=ダジャレというわけではありません。この二つは厳密には異なるものです。

前述のように「ギャグ」とは、本筋とは関係なく客を笑わせるために入れる身ぶりやセリフのことです。

ギャグの幅は広く、例えば表情の面白さや動きの面白さ、言葉の面白さなどを含みます。その中でも中高年男性が好んで言いそうな、面白くないギャグを指して、「親父ギャグ」と呼ぶようになりました。

一方「ダジャレ」とは、下手なしゃれ、という意味の言葉です。漢字で書くと「駄洒落」です。「駄」は、名詞の前に付けて値打ちのないもの、つまらないものという意味を添えます。

「しゃれ」とはその場を盛り上げるために言う、気の利いた言葉を指します。二つ以上の同じ、あるいは非常に似た音の言葉を使って韻を踏んだり、語呂合わせをしたりします。主に言葉遊びを指し、特に年齢や性別は関係ありません。

まとめると、

  • 親父ギャグ…本筋とは関係のない、客の笑いを誘うために入れる身ぶりやセリフ(ギャグ)の中でも、特に中高年男性が好んで言いそうなつまらないもの、使い古されたもの
  • ダジャレ…韻を踏んだり語呂合わせをしたりして構成される言葉の中でも、つまらないもの

となります。表情や動きを含んでいるのかと、年齢や性別が関係あるのかという点が、違いのポイントと言えそうです。

親父ギャグでコミュニケーションを深めよう!

親父ギャグは周囲から冷たい目で見られることもしばしばですが、場を和ませようとする気遣いの気持ちと、巧みな言葉遊びというウイットに富んだ部分もあります。

単なる自己満足に陥らないようにシーンや相手に注意しながら、親父ギャグを上手に使ってコミュニケーションを楽しみましょう。